
日本と韓国の関係がギスギスしています。毎日何かしら日韓関係のニュースが流れてきていますね。
そんな日々の中で、今回の記事を書き始めたわけですが、調べていくと韓国最大手取引所のBithumbが、Binanceを抑えて取引高世界1位になっていました。
仮想通貨取引所に絞って考えると、日本は韓国に負けてることになります。
「う〜ん、これは揉めてる場合じゃないかも?」
じゃあ前回、国内の取引所を取引高で取り上げたのと同じように、韓国の取引所を取引高でランキングしてみようと思い立ったわけです。
ですので、前回はBTCの取引のみとしましたが、今回は全取引高を対象にします。
韓国の取引所は取り扱っている仮想通貨の数もかなり多いですからね。
出来高データの参考サイトはcoinmarketcapになります。
韓国取引所のことを説明する上での前提条件
ただ、記事を始める前にどうしてもお伝えしておかなければならないことがあります。
韓国最大手仮想通貨取引所Bithumbが「取引高94%水増しの実態」をForbesが報道。
2018年12月にアメリカの経済誌『Forbes』が、「韓国最大手仮想通貨取引所Bithumbが取引高94%水増しの実態」という記事を掲載しました。
『Forbes』といえば毎年春にアメリカの長者番付を発表するほどの経済情報誌です。
この『Forbes』が韓国仮想通貨取引所最大手のBithumbが取引高を水増ししていると報じたのです。
記事は、Bithumbが2018年の8月下旬頃から取引量を「ウォッシュ・トレード(※1)」という手法を用いて最大94%まで水増ししていたことを、取引所レーティングサイトのCREが調査しました。
そして取引量と価格の変動に関連性がないこと。
価格と取引量が一致しない「イレギュラー」な取引量も多く散見されていることから、ウォッシュ・トレードであると結論づけたというものです。
また一部の専門家は、6月のハッキング事件がもBithumbの作自演でないかとの疑いやビットコイン価格への影響があった可能性も指摘しているとのことです。
この報道に対して、Bithumbはその内容を否定していますが、否定を行なっているだけで、CREに対してデータを示して反論したわけではありません。
それ以外にも、Blockin Transparency Institute(BTI)は、2018年12月の「Exchange Volumes Report」というレポートの中で、取引量世界25位以内の主要仮想通貨交換所のほとんど(BinanceとBitfinex)が、ウォッシュ・トレードを行っていると発表してます。
これらの報道を受けてCoinMarketCapは、調整取引量(調整取引量 - 手数料およびトランザクションマイニングのない市場を除く現金取引市場での取引量)の表示を追加しました。
一方coingeckoではこの対応をまだ取っていません。
そこで今回は、正確を期するため、CoinMarketCapの調整取引量(24時間)にてランキングを行うことにしました。
法定通貨の単位も、構成を期するために日本円ではなくドルにしています。
つまりあなたが毎日見ているチャートとは、大きく違う結果が出ることになるでしょう。
そのことを前提として、これからの記事を読み進めていただきたく思います。
韓国仮想通貨取引所の基準
それではこれから、CoinMarketCapの調整取引量(24時間)ランキングを参考に、韓国の仮想通貨取引所を紹介していきます。
仮想通貨交換業者名 | CoinMarketCapの表記に準じる |
サイトURL | CoinMarketCapの表記に準じる |
登録開始年月日 | 設立年を記載 |
取引所形態 | 中央集権型 or 分散型 |
取扱通貨 | 取扱種類数(以下ベスト10) 順位 種類 / ボリューム
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ペア通貨 | 法定通貨 & 仮想通貨の種類 |
手数料 | 手数料(CoinMarketCap調べ) |
独自トークン |
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調整取引量 | CoinMarketCap調べ |
報告取引量 | CoinMarketCap調べ |
順位(2019年2月3日) | CoinMarketCap調べ |
表記するデータ内容は上記の通りです。
先にお知らせした通り、調整取引量(24時間)の取引量と順位を併記しますので、参考にしてください。
韓国取引所①:UPbit(アップビット)
仮想通貨交換業者名 | UPbit(アップビット) |
サイトURL | https://upbit.com/home |
登録開始年月日 | 2017年設立 |
取引所形態 | 中央集権型 |
取扱通貨 | 180種類(以下ベスト10) 順位 種類 / ボリューム
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ペア通貨 | ウォン・BTC・ETH・USDT |
手数料 | KRW: 0.05% / ETH: 0.2% |
独自トークン | 無し |
支払方法 |
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調整取引量 | $56,756,828 |
報告取引量 | $56,756,828 |
順位(2019年2月3日) | 43位 |
UPBitの特徴と考察
韓国仮想通貨取引所の中で、調整取引量と報告取引量に差異がなかった最上位は、UPBitになりました。
UPBitはLINEと同じメッセンジャーアプリである『カカオトーク』を提供している企業『カカオ』がベースになって運営している仮想通貨取引所になります。
そうした背景もあって、スマートフォンアプリが充実している取引所と言えるでしょう。
取扱通貨はアメリカ大手取引所のBittrexと連携することで、180種類以上の通貨の取引が可能です。
またセキュリティに関しても、カカオトークの認証アプリを利用した2段階認証や、『BitGo』(機関投資家向け仮想通貨ウォレットサービスを提供)と提携している点にも注目です。
日本国内の取引所と比べても、利便性・セキュリティにおいてなんら遜色なく、取扱通貨の種類の多さを見ると非常に魅力的なのですが、残念ながら外国人の登録はほぼできない(※1)のが実情です。
※1.登録に関してはこちらの記事『UPbit(アップビット)には日本人が登録できない!?』をご覧ください。)
一方でUPBitのネガティブなところを上げると、2018年5月にUPBitが保有する以上のBTCを顧客に販売したとして、韓国検察当局が家宅捜索を行い、それに市場が反応してBTCの価格が下がりました。
事件の内容としては、取引所間の清算のやり取りを、検察当局がB/S(バランスシート)の改ざんと疑ったために起こった事件と言えるものでした。
結局、UPBitには何の問題もなかったわけですが、BTCの価格がちょうど9,000ドル前後を行き来していた頃でしたから、事件そのものはすぐに収集しましたが、BTCの価格下落に拍車をかけてしまったことは間違いないと思われます。
韓国取引所②:Coinone(コインワン)
仮想通貨交換業者名 | coinone(コインワン) |
サイトURL | https://coinone.co.kr/ |
登録開始年月日 | 2016年設立 |
取引所形態 | 中央集権型 |
取扱通貨 | 16種類(以下ベスト10) 順位 種類 / ボリューム
|
ペア通貨 | ウォン |
取引手数料 |
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入金手数料 | 無し |
出金手数料 |
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独自トークン | 無し |
支払方法 | 銀行振込 |
調整取引量 | $4,009,419 |
報告取引量 | $4,009,419 |
順位(2019年2月3日) | 81位 |
Coinoneの特徴と考察
coinoneといえば、ブロックチェーン技術を活用した国際送金サービスを展開する子会社のコインワン・トランスファーと、SBIホールディングスの子会社であるSBIリップルアジアが提携したのが、2108年5月でした。
韓国で一番最初にリップルネットの送金システムを導入したのは、coinoneになるとリップルが発表しています。
このニュースからもわかるように、XRPに力を入れているようで、取引の半分以上がXRPになっています。
ただ、こちらのcoinoneも日本人を含む外国人登録は難しい状況で、サイトも各国言語に対応していないので、登録に行くにはそれなりの覚悟が必要でしょう。
韓国取引所③:KORBIT(コービット)
仮想通貨交換業者名 | Korbit(コービット) |
サイトURL | https://www.korbit.co.kr/ |
登録開始年月日 | 2013年設立 |
取引所形態 | 中央集権型 |
取扱通貨 | 20種類(以下ベスト10) 順位 種類 / ボリューム
|
ペア通貨 | ウォン |
取引手数料 | 0 〜 0.2% |
入金手数料 | 無し |
出金手数料 |
|
独自トークン | 無し |
支払方法 | 銀行振込 |
調整取引量 | $2,874,611 |
報告取引量 | $2,874,611 |
順位(2019年2月3日) | 86位 |
Korbitの特徴と考察
Korbitは2013年に設立された、韓国初の仮想通貨取引所です。
2017年には、韓国最大手オンラインゲーム企業『NEXON』がKorbitの株式65.19%を取得し買収、経営権を獲得しました。
NEXONは現在、日本に拠点・本社を移し、日本企業として様々なオンラインゲームやスマホのゲームアプリサービスを配信しています。
KorbitとNEXONに技術的バックアップの関係があるかは不明ですが、Korbitはクラッキング被害の多い韓国の取引所の中では、そうした被害の報告がほとんど無く、セキュリティに定評がある取引所となっています。
2018年10月に、Korbitの株主が率いる投資ファンドNXMH(本拠・ベルギー・ルクセンブルク)が、EUの仮想通貨取引所Bitstampを買収しました。
あくまでも、Korbitの大株主がBitstampの経営権を取得したというだけで、KorbitやNEXONとの連携はなさそうです。
ただETHの『クリプトキティズ』・『くりぷ豚』・『マイクリプトヒーローズ』と言った、ゲーム + 仮想通貨の組合せが主流になりつつあることから、今後は何らかの動きがあると考えられます。
また、韓国内の取引所のほとんどが日本語対応しておらず、Korbitもその対応はしていません。
韓国取引所④:GDAC
仮想通貨交換業者名 | GDAC |
サイトURL | https://www.gdac.co.kr/ |
登録開始年月日 | 2018年設立 |
取引所形態 | 中央集権型 |
取扱通貨 | 19種類(以下ベスト10) 順位 種類 / ボリューム
|
ペア通貨 | ウォン |
取引手数料 | 無料 |
入金手数料 | 無し |
出金手数料 |
|
独自トークン | 有り |
支払方法 |
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調整取引量 | $799,622 |
報告取引量 | $799,622 |
順位(2019年2月3日) | 115位 |
GDACの特徴と考察
あまり日本で知られていないGDACですが、取引額で見るとLiquid by QuoineやBTCBOXとほぼ同額になります。
また2018年11月のXRP上場に伴い、GDACの独自トークンであるGDAC Token(GT)を140万枚エアドロップするキャンペーンを行いました。
韓国国内ではICOが禁止されているためであり、本来ならばICOでやりたかったところをエアドロップで対応したのだと思われます。
この独自トークンGTは、他の取引所と同じく配当型のトークンであり、トレードマイニング方式を採用しています。
トレードマイニング方式とは、手数料還元と収益分配のどちらか、もしくは両方を取得できる、取引所の株を手にするのと同じことになります。
BinanceやHuobiといった大手取引所が採用しています。
ただ残念なことに、GDACも日本語対応はされていません。
韓国取引所⑤:Coinnest(コインネスト)
仮想通貨交換業者名 | COINNEST(コインネスト) |
サイトURL | https://www.coinnest.co.kr/ |
登録開始年月日 | 2017年設立 |
取引所形態 | 中央集権型 |
取扱通貨 | 20種類(以下ベスト10) 順位. 種類 / ボリューム
|
ペア通貨 | ウォン |
取引手数料 | 一律0.1% |
入金手数料 | 無し |
出金手数料 |
|
独自トークン | 無し |
支払方法 | 銀行振込 |
調整取引量 | $4,168 |
報告取引量 | $4,168 |
順位(2019年2月3日) | 199位 |
coinnestの特徴と考察
coinnestと言えば、2019年1月に60億ウォン(約5.8億円)分のBTCを、エアドロップする予定だったWe Game Tokens(WGT)と間違えて顧客に送信するという、大失態をやってしまいました。
それ以外にも2018年4月に、役員たちが顧客の「何十億ウォン」に相当する仮想通貨を、自分たちの個人口座に移したというニュースがありました。
共同創始者であるCEOと幹部が、詐欺と横領の容疑で告発されました。
現在、この捜査の行方は分かっていません。
一時期は800万ドル以上の取引があったのですが、今は事件 (事故?)の影響がモロに出ているようで、取引額は米ドルで5,000ドルに満たない状況です。
coinnestも日本人を含む外国人の登録、および日本語には対応していないようです。
韓国取引所⑥:Bithumb(ビッサム)
仮想通貨交換業者名 | Bithumb(ビッサム) |
サイトURL | https://www.Bithumb.com/ |
登録開始年月日 | 2013年設立 |
取引所形態 | 中央集権型 |
取扱通貨 | 75種類(以下ベスト10) 順位 種類 / ボリューム
|
ペア通貨 | ウォン |
取引手数料 | 0% 〜 0.15% |
入金手数料 | 無し |
出金手数料 |
|
独自トークン | 無し |
支払方法 | 銀行振込 |
調整取引量 | $0 |
報告取引量 | $1,425,133,985 |
順位(2019年2月3日) | 219位 |
Bithumbの特徴と考察
何かと話題の多い Bithumbですが、今や世界1位の取引量を誇る取引所になっています。
そんなBithumbですが、今回の調整取引量だけで見ると、取引量は$0となっています。
CoinMarketCapによれば、調整取引量とは、
「手数料およびトランザクションマイニングのない市場を除く現金取引市場での取引量」
と定義しています。
なので、ここで示す$0は取引が全て水増しされているという意味ではありません。
『取引の裏が取れていない』という解釈が正しいと思われます。
ですが、報告取引量にブロックチェーンの透明性を研究している海外の調査機関『BTI(Blockchain Transparency Institute)』取引高のレポートによれば、CoinMarketCapの取引高トップ25の内2社のみで、Bithumbの取引高の水増しはその後『Forbes』に報じられることになります。
とはいえ、未だ市場はそれに対する反応を見せていません。
どちらかといえば、2018年6月にクラッキング(Gox)による資金流出被害に遭った時の方が市場に影響が出ています。
ちなみに、資金流出の被害総額は3,000万ドル(33億円)でした。
ですがBithumbの対応は極めて早いもので、
「損失は弊社(Bithumb)が全額カバー。被害を受けていない通過はコールドウォレットに移動中」
と、クラッキングの発表と同時に対策を発信したことで、市場への影響は最小限に抑えられたとの声もありました。
しかしその後、特定通過の出金制限がかかるなど、クラッキングの影響が異なる形で出ているのも事実です。
韓国市場の実情
ここまで取引所の紹介をしてきましたが、ここからは韓国内の仮想通貨事情について、お伝えしていきます。
韓国では、仮想通貨取引で得た利益に対しては、非課税になっています。
私たちにとっては羨ましい限りですが、仮想通貨に人気が集中している、一番大きな要因がこれです。
それに対して韓国政府は、課税に向けた検討を開始しているのが実情ですが、本格的な内容はまだ出ていません。
仮想通貨市場の活性化を狙って、一度中止にしたICO取引を再開できるようにする動きも見られていますが、本格的な動きはまだのようです。
ビットコインよりアルトコイン
韓国内の取引の特徴としてもう一つあげられることは、BTCよりもアルトコイン先行の取引になっているという点です。
下の画像は、coingecko.comのBithumbの取引寮のグラフですが、左のグラフにBTCの文字がありません。
これは日本や世界各国では、BTCが仮想通貨界の基軸通貨となっているのに対して、アルトコインをウォン(法定通貨)で取引している現れです。
これは韓国市場特有で、独特の市場を形成していると言えます。
各取引所を取り上げた取引内容でも、上位に来ているのはアルトコインばかりで、他の取引所のようにビットコインがトップに来ている方が珍しいほどです。
それを反映するように、アルトコインの種類が非常に多いのも特徴です。
各取引所とも、20種類は最低ラインと見ているように思われます。
このような市場を形成している理由の一つに、韓国市場の仮想通貨取引は、非常に投機的である。という側面を持っているからです。
特に諸外国価格との乖離は激しく、上場した途端価格が暴騰する『韓国(キムチ)プレミアム』が加速度的に盛り上がり、多くのユーザーがアービトラージを狙って、韓国市場に集中したことがありました。
今は取引BOT(※2)が集中したことで、価格乖離が収束してきていますが、取引が活発であるため一定の価格乖離はまだ存在しています。
今回の調整取引高で、Bithumbが『$0』表記なのも、この価格乖離(かいり)が原因のようです。
セキュリティ&クラッキング事件
もう一つ韓国市場の特徴を挙げるとすれば、セキュリティが弱くクラッキング事件が発生しやすい傾向にあると言えます。
またセキュリティ対策だけでなく、仮想通貨取引所を悪用した犯罪があるのも、韓国の特徴です。
ピュアビット(Pure-bit)という取引所が、取引所をオープンするためにICOを行い、利用者を募集しました。
しかしこの取引所は、利用者にICOの入金をさせた後、ホームページを廃止して蒸発したのです。
被害額は数十億ウォン(約数億円)に達するとみられていると言います。
このような犯罪は、日本では金融庁に登録する過程で排除されるであろう内容ですが、韓国では実際に起こっています。
一方でAML(マネーロンダリング対策)として、韓国内の4取引所で連携することを表明したようです。
しかし、AMLに必要なのは、国内での情報連携だけでなく、諸外国の取引所との連携のはずです。
このように対策が内向的な一面を持っていて、独特の市場背景を形成しているのが、韓国市場と言えます。
まとめ
今、韓国市場に手を出したい方がおられるのなら、相当の覚悟を持って臨まれることが必要とお伝えしておきます。
韓国という国自体が今、揺れ動いています。
青年層の失業率は、10%を超えており2008年の通貨危機の再来とまで言われています。
景気対策の一環として、最低賃金を引き上げたことで、逆に中小企業の倒産が相次いでいるという本末転倒の状態に陥っています。
ヒュンダイ・サムスンに一時期の勢いはなくなっていますし、アメリカに進出した韓国系銀行は、コンプライアンス強化の要求に対応できず、送金中継や貸付などの核心業務を相次ぎ中断しています。
こうした韓国経済が後退を示す中で、日韓関係がギスギスしてきています。
2008年に韓国が通貨危機に陥った時、日本は通貨スワップを行い韓国を助けましたが、今度は助けるとは思えません。
何より、国連安保理の決定に背いて、北朝鮮に石油を送っていたという違反行為をしていたとなれば、世界中から見放されかねません。
景気後退でボロボロの経済状態なのに、その上何らかの制裁が課されたら・・・。
「もしかするとキプロスショックの再来があるかも?」と考えるのは考えすぎでしょうか?
韓国という国が安定していれば、韓国の仮想通貨市場は非常に魅力的です。
投機的ではありますが、一攫千金のチャンスは確かにあります。
ただ、仮想通貨は間違いなく金融商品です。
国際情勢と経済は非常に密接な関係があります。
韓国という国が揺れ動いている現状を考えたら、あえて火中の栗を拾いに行くのは、避けた方が良いのではないでしょうか。