
かつて2017年から2018年頃にかけて、ビットコインを中心に価格上昇で大きな盛り上がりを見せていた仮想通貨界。
テレビでは、仮想通貨取引所のCMが次々に放送され、有名な女優やタレントが起用されたことも話題となりました。
その影響もあって、ビットコインなどの仮想通貨の知名度が上昇。
2017年後半に起きたビットコインバブルを後押しする形となりました。
しかし、2019年現在では、仮想通貨に関するCMを見ることはほとんどありません。
この記事では「一体なぜ仮想通貨に関するCMが激減してしまったのか」そして「今後再び放送される可能性はあるのか」についてお届けします。
過去に出演した女優やタレントを振り返りながら、今後の可能性について考察していきます。
仮想通貨の今後を考える上で参考にしてもらえたら幸いです。
仮想通貨のCMに過去出演していた芸能人と女性
仮想通貨のCMがテレビで放送されていたとき、イメージキャラクターに有名人を起用したことが話題となりました。
まだまだ知名度、認知度が低かった仮想通貨界ですが、有名人を起用することで知名度を上げる狙いがあったようです。
ネット社会が進んだ現代でも、テレビCMの効果は未だ強力です。
そんな影響力の大きいテレビCMで、仮想通貨に関するCMに誰が出演していたのかを振り返ってみましょう。
Coincheck(コインチェック):出川哲朗
仮想通貨取引所CoincheckのCMにはタレントの出川哲朗さんが起用されました。
知的な印象ではなく、親しみやすさを前面に出したという狙いが見えます。
CMの内容としては、出川さんが双子の兄弟に扮して、ビットコインを知ってる知らないというコミカルな掛け合いが印象的でした。
当時、仮想通貨やビットコインを知らない人でも、出川さんを起用することで、自分にもできそうという印象を与えられたのではないでしょうか。
この出川さん出演のCoincheckのCMを見て仮想通貨投資を始めた人たちは「出川組」と呼ばれるほど話題となりました。
2019年現在では、このCMの放送は中止されています。
bitFlyer(ビットフライヤー)成海璃子
かつては、ビットコインの購入に前述のCoincheckかbitFlyerどちらの仮想通貨取引所を使うかという、人気を二分していた取引所です。
Coincheckが出川さんだったことに対して、bitFlyerは女優の成海璃子さんを起用しました。
これからの活躍が期待されている若手女優の成海さんを起用することで、若い年齢層や、女性の顧客を獲得する狙いがありました。
CMでは「コロブチカ」または「コロベイニキ」という曲名で、ロシアの民謡として有名な楽曲の替え歌を使用していました。
曲名だけでピンとこない人は有名ゲームの「テトリス」の曲というとイメージできるかと思います。
この有名な楽曲の替え歌を歌いながら成海さんを含めた数名の若い女性がダンスをするというCM内容。
若い女性が楽しくダンスすることと、テトリスを楽しんでいたであろう年齢層にも通じる楽曲を使用したことで、幅広い年齢層をターゲットにしていたCMです。
「世界を変えるコイン」というキャッチフレーズでビットコインを紹介しており、bitFlyerと合わせてビットコインを紹介していました。
このCMも2019年現在は放送が中止されています。
Zaif(ザイフ)剛力彩芽
仮想通貨取引所の一つ、ZaifもCMを放送していました。
起用されされていたのは女優やモデルとして活躍する剛力彩芽さん。
一時はアーティストとしてCDをリリースするなど幅広い活動をしていました。
剛力さんも若い女性ということで、同年代の女性をターゲットにしているものと思われます。
CMでは、剛力さんが鼻歌を歌うシーンや、モデルのような華やかな衣装や演出が印象的なものになっています。
他の取引所と比べてセリフがほとんどなく、最後に剛力さんが「ビットコインするならZaif」という一言だけ。
華やかな演出は、ビットコインの大幅な価格上昇が見られたビットコインバブルを、バブル時代のような華やかな印象を持たせるためかもしれません。
また、ビットコイン投資をすると、このような生活も夢じゃないというメッセージがあったのかもしれませんね。
2019年現在は、このCMも放送はされていません。
DMM Bitcoin(DMMビットコイン)ローラ
様々なインターネット事業を展開している大手会社DMMが運営する仮想通貨取引所のDMM Bitcoin。
取引所のCMにはモデルでタレントのローラさんを起用しました。
ローラさんといえば、バラエティ番組への出演や、モデル業、ハリウッド映画への出演など、幅広く活動をしていました。
テレビではタメ口キャラとして人気を確立し、若い世代を中心に支持を獲得。
タメ口キャラや、どこか抜けているような可愛らしさのあるローラさんをCM起用することで、若い世代や、どんな人でも参入できるという手軽さを前面に出していたイメージがあります。
CMではローラさんが先輩役で、後輩役には女優でタレントの中川梨花さんがカフェでビットコインについてトークするというもの。
BitcoinをPit inと間違えたり、仮想通貨を仮装通過(仮装して道を通過する)と勘違いするローラさんを、中川梨花さんが
「先輩、本当に分かってます?」
と詰め寄るという内容が、ローラさんのボケキャラやカフェでトークというシチュエーションが身近なイメージを抱かせています。
このCMに対しては「カフェで女の子同士の会話が楽しげで面白い」との声が多数あがるなど評判は上々でした。
前述のCoincheckやbitFlyer、Zaifの公式サイトに行くと、出川哲朗さんや成海璃子さん、剛力彩芽さんの写真などは掲載されていませんが、DMMだけはずっとローラさんがトップページを飾っています。
CM自体は放映されていませんが、公式サイトでは、しっかりと広告塔のローラさんを見ることができます。
GMOコイン:女性
GMOコインもCMを放映していましたが、有名タレントや女優の起用はありませんでした。
しかし、若い女性がメインキャラクターとなっているCMで、GMOも若い人をターゲットにしていることが伺えます。
一般の人(エキストラ)かと思いますが、もしかするとこれから活躍が期待されている女優さんかもしれませんが、名前まではわかりませんでした。
GMOコイン:香川真司
GMOインターネットグループでは、プロサッカー選手である香川真司選手をブランドアンバサダーとして就任をさせています。
仮想通貨のCMにはまだ登場していないものの、今後仮想通貨の知名度が向上すれば香川真司選手が仮想通貨のCMに出演される可能性はあるかもしれませんね。
仮想通貨のCMに女性が多く起用された理由
仮想通貨取引所を中心にビットコインのCMに出演していた有名人は、Coincheckの出川哲朗さん以外は若手の女優やタレントでした。
なぜ仮想通貨のテレビCMに女性が多く起用されたのでしょうか。
それは若い世代の支持を得たいということや、堅苦しいイメージを持たれないために女性を起用したのではないかと思われます。
仮想通貨がこれからという市場のため、将来性のある人という意味で若手の人が選ばれたという見方もできます。
そんな中でのCoincheckのベテラン芸人である出川さんは、ある意味意表をついた形となり、世間に大きなインパクトを残しました。
仮想通貨のCMが放送されなくなった理由
2017年の後半ごろは、ここまで紹介した仮想通貨取引所のCMをよく目にする機会がありました。
テレビのゴールデンタイムと呼ばれる視聴者が多い時間帯でも、仮想通貨取引所のCMは放映されており、個人的にはCoincheckのCMをよく目にした気がします。
CMはテレビだけでなく、電車の中で流れる映像でも放映されていました。
それだけ目にする機会が多かった仮想通貨やビットコインのCMでしたが、2019年にはほぼ見ることがありません。
その理由は何故なのかを探ってみましょう。
Coincheck不正送金事件
仮想通貨といえば2018年1月に起きたCoincheckの不正送金事件。
総額約580億円に相当する仮想通貨ネム(XEM)が、ハッキングにより流出しました。
テレビニュースでも報道されるなど、世間に大きな衝撃を与えました。
この事件により、ビットコインや仮想通貨にマイナスなイメージがつくことになり、CMの放映が中止の方向へ。
その影響から、CMを見る機会がなくなってしまいました。
金融庁による仮想通貨取引所への業務改善命令
2018年のCoincheckの不正送金事件を皮切りに、金融庁が仮想通貨取引所に立ち入り調査を実施し、多くの取引所が業務改善命令を受けました。
この影響から、業務改善命令を受けている取引所がCMを放映できるわけもなく、CM放映は打ち切られる流れに。
新規の顧客を獲得するよりも、運営内部の強化に力を入れなくてはならなくなったために、CMを流すということよりも、取引所運営に資金や人員などのコストを当てたこともCM放映現象の理由となりました。
仮想通貨の社会的なイメージダウン
ビットコインや仮想通貨は、これまでにもマウントゴックスの事件があり、その際にもビットコインは信用できないという風潮が生まれました。
ビットコインの価格上昇の盛り上がりで、その事件のことが忘れられていましたが、再び大きな事件が起きたことで、ビットコインをはじめとする仮想通貨全体の信頼が大きく下がりました。
また、2018年に入ると、それまで価格上昇の流れが続いていたビットコインの価格が大きく下落し、CMを見て仮想通貨市場に参入した人は大きな損失を出すこと。
特にCoincheckの出川さんのCMを見て仮想通貨投資に参入した人は「出川組」と呼ばれ、大きな損失を出した人たちの代名詞となってしまいました。
不正送金や損失が発生したことで「やっぱり信用できない」という声も多く上がり、その状態でタレントや若手女優を起用しても、出演者のイメージダウンに繋がってしまいます。
芸能事務所側の出演者イメージダウンを警戒した出演控えもCM放映が減少する大きな要因となりました。
仮想通貨のCMは大手を中心に禁止
仮想通貨のCMが減少した理由も、結局は大手ネット業界が仮想通貨の広告を全面的に禁止にしたのも大きいでしょう。
例えば、Facebookでは以下の様に記載しております。
29. 禁止されている金融商品や金融サービス
ポリシー
広告では、誤解を招く宣伝や詐欺的な宣伝と結びつけられることの多い金融商品および金融サービスを宣伝してはいけません。
具体的にはバイナリーオプション、新規仮想通貨公開、暗号通貨などです。こちらをクリックして詳細をご覧ください。
許可されていません:
イニシャル・コイン・オファリング
バイナリーオプション
引用:Facebook
上記は取引所の宣伝ではないものの、ICOの広告を禁止しています。
さらに、Twitterでも以下のように、金融庁に認可されていない取引所のCM及び広告を禁止にしています。
日本
銀行、証券、外国為替、仮想通貨為替取引、および保険の広告主様は金融庁の許可が必要です。
クレジットカードの広告主様は日本クレジット協会に所属している必要があります。
広告を掲載するには、事前にTwitterによる承諾を得る必要があります。
金融データ集約サービスは制限されています。
引用:Twitter
GoogleやInstagramでも仮想通貨に関する広告は禁止していることから、影響力の高いテレビCMで仮想通貨の放送が禁止されてもおかしくはありませんね。
仮想通貨のCMが再開される可能性
2019年4月現在では、仮想通貨やビットコインに関するCMを見ることはほぼありませんが、今後仮想通貨に関するCMは再開されるのか、その可能性について見ていきます。
再び、世間の多くの人が知るようなタレントなど出演するCMが増えると、仮想通貨の盛り上がりにも繋がるので、期待したいところです。
CM自粛ムードが続いていた仮想通貨界ですが、2018年8月20日に、仮想通貨取引所BITPOINT(ビットポイント)のイメージキャラクターにサッカー日本代表でも活躍をした本田圭佑さんが起用されました。

出典:BITPOINT
本田圭佑さんはサッカー以外にも実業家としての顔を持っており、失敗を恐れず日々挑戦・努力を続ける姿勢が起用の決め手に。
これまでの若手女優などとはまた違ったイメージ。
本田圭佑さんの起用をきっかけに仮想通貨やビットコインのCM、イメージキャラクターに起用される人が増える可能性もあります。
仮想通貨ではありませんが、GMOグループのGMOクリック証券では人気女優の新垣結衣さんがCMに出演しており、GMOコインのCMに新垣結衣さんが出演してほしいとの声も上がっています。
ビットコインの価格暴落や、業務改善命令を経て、仮想通貨取引所の営業再開や、価格暴落の流れがひと段落したことで、徐々に仮想通貨の信頼度が回復傾向に。
BITPOINTの本田圭佑さん起用のように、今後再び有名人を起用したCMが放映される可能性は十分にあります。
仮想通貨のCMのまとめ
今回は仮想通貨取引所のCMに起用されたタレントや女優を振り返ってきました。
一時的にCM放映自粛ムードが流れていますが、本田圭佑さんの起用は今後の有名人起用やCM放映の良いきっかけになったはずです。
少しずつでもCMが放映されるようになれば、再び仮想通貨界に活気が戻ってきます。
または、仮想通貨取引所がタイミングを合わせて一斉にCMを放映する可能性もあります。
今後の仮想通貨やビットコインのCMやメディアへの露出もチェックしていきましょう。