
世界中で米ドルが主流の通貨として使用されているのは周知のことでしょう。
では、仮想通貨の世界には、米ドルのように主流とされる仮想通貨はあるのでしょうか?
この記事では、仮想通貨の基軸通貨はあるのか、そしてどのような状況であるかを説明していきます。
基軸通貨とは
そもそも基軸通貨とは、具体的にはどのような通貨のことをいうのでしょうか。
ここでは、仮想通貨における基軸通貨について細かい説明をする前に、金融業界における基軸通貨とはどのようなものかを指すのかを確認していきます。
国際的な基準として採用されている通貨
基軸通貨は、国際的な基準として採用されている通貨で、国際通貨とも呼ばれています。
その時代において、経済的に主導権のある国家で使用されている通貨が基軸貨幣となるのが一般的です。
1920年以前は英ポンド、第二次大戦以降は米ドル
たとえば1920年代以前は、イギリスが世界的に経済的優位に立っており、イギリスのポンドが基軸通貨として利用されてきました。
その後、徐々にアメリカが経済的に成長してきて経済的に主導的な立場となり、第2次世界大戦以降から現在まで米ドルが基軸通貨として使われています。
国際間取引の際に決済通貨として使用される
基軸通貨が使われる場面としては、貿易や資本取引などにおける国際間取引の際に決済通貨として使用されます。
また、基軸通貨となるには、
- 使用している国が経済的に主導的な立場である
- 発達した為替市場と金融市場が存在する
- 対外取引規制がない
といった事が、必要な条件とされています。
仮想通貨での基軸通貨とは
一般的に基軸通貨というものは、世界的な標準として使用される通貨となりますが、仮想通貨における基軸通貨とはどういったものになるのでしょうか。
仮想通貨界では基軸通貨を取引所ごとに決定
仮想通貨においての基軸通貨は、国際的な取り決めではなく取引所ごとに決定されます。
その取引所で基軸通貨と決められた仮想通貨は、そのまま他のアルトコインとの取引に使用できるため、都度保有している仮想通貨を売却したりする必要がなくなります。
法定通貨に変えることも簡単にできる
また、米ドルや日本円といった法定通貨に変える事も簡単にできるようになります。
各仮想通貨取引所の基軸通貨は法定通貨に変えても問題ないと判断された結果、選定されることになります。
これは言い換えれば、価格の安定性や将来的な価値がしっかりとしており、資産価値が十分に判断されていると言えます。
基軸通貨の価格変動が市場全体へも影響
基軸通貨となっている仮想通貨は、価値が上がれば仮想通貨市場全体の価格があがり、逆に下がれば全体の価格が下がるというように、基軸通貨の価格の変動が連動して仮想通貨の市場全体へ影響するのも特徴です。
なお、基軸貨幣として選ばれた仮想通貨はその価値が飛躍的に上昇します。
基軸通貨でビットコイン建てが多い理由
仮想通貨界では、基軸通貨は取引所ごとに決定するとお伝えしましたが、実際には多くの取引所がビットコインを基軸通貨として採用しています。
ではなぜビットコインが、仮想通貨界の基軸通貨として世界的に採用されているのでしょうか?
時価総額が最も高く価格が安定している
多くの仮想通貨取引所が基軸通貨としてビットコインを採用しているのは、
仮想通貨として最も早く作られた仮想通貨であること、そして1,500を超える数々の仮想通貨の中で未だに時価総額がいまだにもっとも多く、その価値がもっとも安定している仮想通貨であるという理由からです。
言い換えると、仮想通貨界においては実質ビットコインが基軸通貨として取り扱われており、ビットコインで他のアルトコインの購入が可能です。
各国の法定通貨にへも簡単に交換可能
ビットコインは価格が安定しているので、日本円や米ドルに変えるということも可能です。
アルトコインによっては、日本円や米ドルに直接交換することができないため、他のアルトコインから一旦ビットコインに変えるという方法で取引が行われています。
また、新しいアルトコインを購入する際にも、ビットコインでの購入が可能となっています。
ビットコインの価格が他のアルトコインに与える影響とは?
ビットコインは仮想通貨の世界で実質的に基軸通貨として取り扱われているため、ビットコインの価格変動は他のアルトコインの価格変動にも影響があります。
価格変動が仮想通貨全体に影響を与える
例えば、ビットコインの価値が高くなれば仮想通貨全体のアルトコインの価値も高くなり、逆にビットコインの価値が下がれば、他のアルトコインの価格も連動して下がります。
通常はそれぞれのアルトコインの価値変動はそのプロジェクトの成果や展望によって影響をうけますが、これに関わらずビットコインの価値変動が影響をしてきます。
アルトコインの価格は基軸通貨から算出
ここで注意しなければならないのが、アルトコインを日本の取引所で購入しようとした場合、アルトコインの価格は日本円で表記されます。
しかし、アルトコインの価格は基軸貨幣となるビットコインの価格で算出されているため、ビットコインの価格変動の影響を大きく受けることになります。
日本円での価格表記の場合には、アルトコインの価値が変わったか、ビットコインの価値が変わったかなどの判断をつけるのが難しく、仮想通貨全体の価格変動に気がつかない可能性もでてきます。
このような変化に敏感になるためには、購入したいあるいは購入したアルトコインの価格をビットコインの価格で確認をしておくことをおすすめします。
次の仮想通貨の基軸通貨はリップル?
現在の仮想通貨の実質的な基軸通貨であるビットコインはその危うさから現在第2位のリップルが今後、仮想通貨の基軸通貨となるのではないかと予想をされています。
ハードフォークなどの内部分裂によってビットコインの危うさが露呈
まず、ビットコインの危うさとは、ビットコインキャッシュの主張がわかれてしまいキャッシュも分裂してしまいました。
それぞれがビットコインの本流が自分たちの方にあると主張し続けいているという内部分裂が発生してしまっています。
また、これによりお互いが主張を続けながらマイニングを続けた結果、赤字に転落してしまい、これを補うためにビットコインの大量売却をして補填するという動きを見せました。
大量売却をすることで、ビットコインの価格は大暴落を起こしてしまっているというのが現実としてあります。
このように大量保有しているものが大量売却して価格に多大なる影響を与えてしまうという状況にも危うさを感じます。
また、ビットコインは以前より発生している大量の出来高発生時に送金が遅延するというスケーラビリティの問題も解決されていないのが現状です。
リップルはビットコインよりも安定した通貨
一方、リップル(XPR)は現在の出来高において第2位に位置づけている仮想通貨です。
特徴的なのは大量に保有しているコインのほとんどを、一定期間の売買取引ができないロックアップ状態としている点にあります。
このため、ビットコインで発生した赤字補填のために一人のマイナーの大量売却による大暴落といった事態が起こる事がなく、より安定している仮想通貨であると言えます。
スケーラビリティ面ではビットコインに圧勝
スケーラビリティの面でも、リップル社が目標に掲げる「国際送金システムの効率化」「価値のインターネット」に使用されるのがXPRというわかりやすさが支持を集めています。
実際にビットコインの送金速度は早い時で7分から10分程度、遅い状態の時には何十分も送金に時間がかかりますが、一方のリップルの場合には送金はものの数秒で完了します。
時価総額でも差を縮めている
規模においても、ビットコインとリップルの差を見てみると2018年8月の時点で約7.5倍をつけていましたが、年末にはビットコインの時価総額は約8兆円、リップルの時価総額が約1兆6千億円で5分の1となっていますので、確実に差が縮まってきています。
このような理由からリップルが次の仮想通貨の基軸通貨となるのではないかと言われています。
仮想通貨の基軸通過は今後変わるのか?
金融業界における基軸通貨は世界経済の中心であったイギリスのポンドから、経済の中心がアメリカに変化していったことで、アメリカの米ドルに変わってきました。
仮想通貨においても、時代とともに変化していくとされています。
ビットコインは現時点でも様々な問題がある
現在は、一番はじめに生まれた仮想通貨であるビットコインが不動の基軸通貨のように扱われていますが、そのビットコインでさえ内部分裂やそれによる赤字を補填するために暴落するなどの動きがありました。
スケーラビリティの問題などにより、その人気も以前に比べて落ちてきているなど、ビットコイン一つを見ただけでも、さまざまな変化が生まれています。
時代とともに仮想通貨の価値は変化していく
また、仮想通貨はその目的や仕組みによりさまざまな付加価値をもつものであるため、現実社会において必要とされる内容も変わってきます。
時代の流れとともに、ビットコイン以上に需要のある仮想通貨の目的や仕組みが産み出されることで、ビットコイン以上に価値のある仮装通貨が産まれてくる可能性は、これからも十分にあります。
特に仮想通貨という技術は比較的新しく、イノベーションによる価値創造などが行われる要素もまだまだ十分に残されています。
この点も、時代とともに基軸通貨が変化していくだろうと予測される理由のひとつと言えるでしょう。
仮想通貨の基軸通貨ビットコインは未来永劫なのか
仮想通貨の基軸通貨は、世界で取り決めをするのではなく仮想通貨取引所ごとに決められています。
しかし、多くの取引所が時価総額や価値の最も高いビットコインを基軸通貨として採用しているため、仮想通貨界ではビットコインが実質的な基軸通貨として扱われいます。
そして、このビットコインの価格が仮想通貨市場全体の価格変動にも影響を与えています。
現時点では、ビットコインを保有していれば、アルトコインを購入する際にも日本円や米ドルなどと変えることなくそのまま取引することが可能となっており、基軸通貨としての地位を確立しています。
ただし、基軸通貨とされているビットコインにも、社内分裂やスケーラビリティ問題など不安要素があります。
そのため、出来高第2位のリップルが次の基軸通貨になるという声も上がっています。
また、ビットコインよりも社会の需要に叶う仮想通貨が開発されビットコイン以上の価値を生み出した場合には、基軸通貨としてのビットコインの地位が入れ替わるかもしれません。
仮想通貨界の基軸通貨は、時代の変化や新しい通貨の誕生とともに変わっていく可能性が大いにあるといえるでしょう。