
2009年にビットコインがリリースされ、分散型情報管理システムであるブロックチェーンに大きな注目が集まりました。
その後様々なシステムが考案され現在2,000銘柄にものぼる仮想通貨が存在します。
新たなシステムが開発される度にブロックチェーンに手が加えられ、通貨取引情報が一本に数珠繋ぎとなるベーシックなブロックチェーンの他にも、様々な情報を記録したチャイルドチェーンをメインチェーンに紐付けるシステムなどが生まれています。
数あるアルトコインの中でも最古参に位置付けられるネクスト(NXT)のスピンオフコインとしてリリースされ、汎用性の高いチャイルドチェーンを実装するArdor(アーダー)を紹介します。
Ardor(アーダー)のwiki的基本情報
仮想通貨名 | Ardor(アーダー) |
トークン名 | ARDR |
公開月 | 2016年7月 |
開発国 | スイス |
開発チーム | Jelurida |
開発者 | Travin Keith・Lior Yaffe |
発行上限 | 998,999,495 ARDR |
発行枚数 | 998,999,495 ARDR |
アルゴリズム | Proof of Stake(PoS) |
公式HP | ardorplatform.org |
ホワイトペーパー | Ardorのホワイトペーパー |
@ArdorPlatform | |
@ardorplatform | |
Ardor community | |
TelegramID | Ardor Community |
YouTube | Ardor Blockchain-as-a-Service |
ネクストのプラットフォーム上で構築されるトークンとして発行され、通貨単位は「ARDR」、発行上限は約9億9,899万枚に設定されています。
2019年2月12日現在、仮想通貨銘柄の時価総額ランキンサイト「CoinMarketCap」内では2,065銘柄中第70位にランキングされ時価総額約57億7千万円、市場価格は1ARDR=5.78円、発行枚数約9億9,899万枚で既に全てのアーダーが発行済みです。
マイニングアルゴリズムはネクスト同様Proof of Stake(PoS)が適用されています。
Ardor(アーダー)とは開発された目的
ブロックチェーンに多くの機能を実装しブロックチェーンの可能性を最大限に引き出せるシステムのビットコイン2.0として開発・公開されたのがアーダーのベースとなるネクストです。
アーダーはネクストがリリースから約3年半後の2016年7月にネクストの開発チームでスイスに拠点を置くJeluridaによってネクストのスピンオフコインとしてリリースされました。
アーダーはビットコインの後継通貨となるべく2014年に公開されたネクスト(NXT)のスピンオフコインとして開発されました。
開発当初はネクスト2.0(Nxt2.0・通貨単位FXT)と呼ばれていましたが、2016年7月の公開前に現在のアーダーに名称変更しました。
2013年にリリースされたネクストは独自通貨の発行・アカウント管理システム・投票機能・商品販売機能を実装しビジネスシーンに簡単に転用できる上に、マイニングアルゴリズムにProof of Stake(PoS)を世界初搭載するなど高い評価を受けました。
しかし、ブロックチェーン上に様々な機能を実装するが余り処理速度の低下を招き、送金詰まりというトランザクション問題を発生させたためチャイルドチェーンの開発を行い実装したのがネクスト2.0、つまりアーダーとなりました。
アーダーはネクストの弱点を補うためにチャイルドチェーンシステムを採用したことから、結果的にネクストのスピンオフコインとして独立し、リリースの前に名称を現在のアーダーに変更することで新たな通貨銘柄として確立されました。
Ardor(アーダー)の特徴
アーダーのリリースは2016年ですがベースとなるネクストは2013年にリリースされていることから、現在存在するアルトコインの中では最古参と言っても過言ではないプラットフォーム運営実績があります。
ネクストのプラットフォーム運営の歴史を引き継ぐアーダーは次に挙げる様々な機能を実装しながらも、チャイルドチェーンの採用によってより多くの情報をより短時間で処理することを実現した利便性・汎用性の高いシステムだと言えるでしょう。
- エイリアス機能:保存文章を単語に置き換え、チャイルドチェーンに簡単な名称を付け管理効率を向上させます。
- データクラウド機能:保存データを公開・非公開を選択しブロックチェーンで保管できます。
- アカウント管理機能:マルチ署名方式で第三者の不正アクセスを制限し、取引当事者の承認のない取引を制限・禁止します。
- 通貨システム機能:カスタマイズが可能なオリジナル通貨が発行できます。
- メッセージング機能:暗号化されたメッセージやファイルのやり取りをアカウントホルダー同士で行えます。
- コインシャッフル機能:データをシャッフルし外部から資金保有高の確認を困難にします。
- 投票機能:投票結果を改竄できない公平でクリーンな投票をブロックチェーン上で行えます。
- プラグイン:ブロックチェーン機能を拡張するプラグイン機能を利用できます。
- 段階性実行機能:契約遂行の遅延時に有効となる条件付取引や無条件取引を設定できます。
- マーケット機能:マテリアルアイテムとデジタルアイテムを売買できるマーケット機能には誰でも参加できます。
このようにArdorのプラットフォーム上で、既に十分熟成しているといえるNXT機能を利用することができるのはArdorの大きな魅力の1つだと言えるでしょう。
Ardor(アーダー)の欠点/問題点
特徴であるチャイルドチェーンを実装したアーダーのフラットフォームは熟成しているというメリットがあるものの、技術的には既に目新しいものではなくなっているのも事実です。
競合銘柄として多様性の高いスマートコントラクトを採用するプラットフォームであるイーサリアムやリスクなどが挙げられ、これらが知名度が高い通貨銘柄である点はアーダーにとって歓迎できる状況ではないと言えるでしょう。
またアーダーはBundlerと呼ばれるチャイルドチェーン運営者によってトランザクション承認が行われるため「中央集権構造」の色が強いシステムであると言えます。
Bundlerによる運営が順調であれば効率的な運営が行われますが、万一Bundlerにトラブルが発生した場合チャイルドチェーンを利用したトランザクション承認が全く行われなくなるリスクも抱えている点はアーダーの抱える弱点だと言えるでしょう。
さらにアーダーが国内取引所で取扱われていないことが、日本人投資家にとってアーダー購入のハードルを高くしていると考えられます。
アーダーを取扱う取引所が海外取引所であるためある程度仮想通貨取引の経験を積んだ投資家でなければアーダーの存在が知られていないのはアーダーの最大の弱点だと言えるでしょう。
実はArdor(アーダー)こんな企業と提携しています!
アーダーの開発チームがネクストの開発チームと同じJeluridaであることは既に紹介しました。
Jeluridaは積極的に多くの企業との提携を行っており、提携ニュースの詳細はJeluridaの公式サイト内のニュース欄で確認することができます。
最近の提携ニュースでは韓国に拠点を持ちSAP・SAMSUNG・LG・UBER・DELTA・EBAY・BMWなどの大手企業から高く評価される大手マーケティング代理店Creatipと提携しブロックチェーンビジネスモデルの構築を行うことが発表されています。
またグローバル不動産プラットフォームDominiumはアーダーとの提携によって不動産売買や賃貸、不動産管理活動をブロックチェーンシステムとチャイルドチェーンシステムを利用してテナントやバイヤー、投資家に情報提供することを発表しています。
Jeluridaは民間企業のみならずオーストリアのウィーン市役所を中心とした行政機関と提携し、オーストリア政府が提供するサービスの大部分を利用できるデジタル市民権のシステム構築を行っています。
デジタル署名のシステムは依存の手書きによる署名と同じ法的地位を持ちEU 加盟国28カ国で有効となるものです。
ネクストから引き継いだアーダーのフラットフォーム運営ノウハウが公的機関でも利用されている良い事例だと言えるでしょう。
Ardor(アーダー)の評判
高い多様性と利便性を持つアーダーに対しては、
- 「ビットコインの後継コインになり得る」という肯定的評価
- 「システムに目新しさが感じられない」という否定的な評価
が存在します。
肯定的な意見は民間企業や公的機関などと幅広く提携を行うアーダーの可能性を高く評価している傾向が強く見られます。
現在の市場価格がアーダーのポテンシャルに対して低いという見方から今後アーダーの価値が高騰するという見方をしているのが特徴的だと言えるでしょう。
しかし否定的な意見を持つ人にとってアーダーのシステム運営の実績は魅力的に映るものではなく、時代遅れのシステムであるという手厳しい意見も散見します。
アーダーには有名銘柄のイーサリアムのスマートコントラクトとの競合に勝てるだけの魅力や実力が認められないというのが否定的意見を代表するものだと言えるでしょう。
しかしアーダーは定期的なアップデートを行い、着実に提携先を増やしながら運営されているため時代遅れなシステムであるということはないのではないかと考えられます。
Ardor(アーダー)が購入できるおすすめの取引所3選
様々な機能を実装し相対的な評価は低くないアーダーですが、現在国内の仮想通貨取引所での取扱いがないためアーダーは海外取引所を利用し購入するしかありません。
アーダーを取扱う海外の取引所の中でも手数料を安く設定し購入しやすい取引所を3つ紹介します。
Binance(バイナンス)
香港の取引所で世界最大の取引高を記録する超大型取引所がBinanceです。
取扱い銘柄も非常に多く442種類の取引通貨ペアを用いて仮想通貨取引が活発に行われています。
アーダーはARDR/BTCの取引が第159位、ARDR/ETHの取引が第349位にランキングされています。
取引手数料が0.1%と安価に設定されているため、お得にアーダーが購入できる取引所だと言えるでしょう。
Bittrex(ビットレックス)
アメリカの仮想通貨取引所で仮想通貨取引高ランキング第53位にランキングされています。
一般的に草コインと呼ばれる通貨銘柄の取扱いが多く324種類の取引通貨ペアで取引が行われています。
アーダーの取引はARDR/BTCが第39位にランキングされ活発な取引が行われていると言えるでしょう。
取引手数料は0.25%に設定されています。
Upbit(アップビット)
仮想通貨取引高ランキング第14位にランキングされる韓国の仮想取引所Bittrexと提携し、303種類の通貨ペアの取扱いを誇ります。
アーダーはARDR/KRWが取扱高第41位、ARDR/BTCが第90位にランキングされているのは既述のCreatipとの提携の影響もあるのではないかと考えられます。
取引手数料は0.05~0.25%に設定されています。
Ardor(アーダー)の今後の将来性
類似システムが数多くリリースされる中で、アルトコイン最古参のシステムをアップデートして生まれたのがアーダーです。
新興システムが次々にリリースされる中でアーダーのシステムが目新しさを失ったシステムだという意見も見られますが、システムアップデートを続ける限りシステムは老朽化ではなく熟成されるものではいかと考えられます。
目新しいシステムも魅力的ではありますが、仮想通貨マーケットに提案される新システムの中には実用化されないものも珍しくないことや脆弱性が潜む可能性が低くないことなどから実用化の中で着実にアップデートされたシステムは魅力的なシステムなのではないかと考えられます。