
ブロックチェーン技術を活用した仮想通貨は現在たくさんの種類が開発されており、独自の機能を搭載したものもあります。
日本ではまだ実用的な使い方は少ないですが、海外では少しずつ決済などに法定通貨の代わりとして使われるようになっています。
そんな仮想通貨の価値は、市場の動向や仮想通貨の開発やアップデートの情報などによって日々日々変化しており、仮想通貨の今後に期待できる動きや情報があれば価値は上昇し、不安材料が増えれば価値が下落するのが特徴です。
ここ最近の仮想通貨の価値の変動はインドの動向に左右されていることが多く、仮想通貨投資を行っている人はインドの動向を確認することが重要になってきます。
今回はインドと仮想通貨の関係性について解説していきます。
インドでは仮想通貨取引が禁止ではない?
日本でも仮想通貨の規制が始まったように、インドでも仮想通貨に関する規制が始まりました。
日本では現在仮想通貨の取引所を開設などに関する規制はありますが、日本円と仮想通貨の取引や仮想通貨同士の取引、仮想通貨の保有は禁止されていません。
しかし、インドでは現在少しずつ仮想通貨の規制が厳しくなっています。
取引所へのルビー入金が事実上不可能に
2018年4月、インドの中央銀行にあたるインド準備銀行が、インドの民間銀行に対し、仮想通貨取引を行う企業や個人への銀行サービスの提供を停止するように命令しました。
インドの大手仮想通貨取引所でウォレットサービスも手掛ける、ウノコイン(Unocoin)は、インドの中央銀行であるインド準備銀行からの命令により、ルピーの預け入れと引き出しを停止した。
引用:コインテレグラフ
これによって事実上インドの法定通貨ルビーを使っての仮想通貨取引はできなくなり、インドの仮想通貨の取引所を運営する企業にとって厳しい状況となりました。
そのため、インドの大手取引所は命令の撤回を求めて裁判を起こしますが、デリー高等裁判所では勝訴するもののインド最高裁判所では敗訴してしまいました。
また、それだけではなく今後仮想通貨取引禁止に関する異議申し立てはどの高等裁判所でも受け付けないという宣告も発表しました。
インド最高裁判所は25日、インド政府に対し4週間以内に仮想通貨規制を策定するように命令した。インド政府に残された最後の機会であるとし、従わない場合、最高裁判所の法解釈によって判決が執り行われることとなる。
引用:コインポスト
これに伴い、インドでは法定通貨ルビーを取引所へ入金することが完全にできなくなり、ルビー建ての仮想通貨取引ができなくなりました。
しかし、完全に仮想通貨の取引が禁止されたわけではありません。
上手く海外の銀行口座を介して取引所に入金を行い、海外の取引所を介した取引に関しては今のところ制限されておらず問題なく行えます。
今後仮想通貨の保有や取引自体が違法になる可能性も
現在はインドの中央銀行にあたるインド準備銀行が民間銀行に対して、仮想通貨取引を目的とした企業や個人に対してサービスを提供しないよう命令している状態で、仮想通貨の取引自体や仮想通貨の保有は禁止しているわけではありません。
しかし、現状インドの仮想通貨の規制に関しては不透明なところが多く、今後どんな展開になっていくのかわからない状態です。
インドの国会議員が仮想通貨の取引に罰則を設ける法案を提出することを検討しているという情報もあり、仮想通貨の保有や取引自体が禁止になる可能性も十分にあります。
また、その法案は違反した場合懲役刑や罰金刑が設けられることも想定されており、厳しい規制になることも予測されています。
インドの仮想通貨取引所はなぜ閉鎖した?
インドではここ最近仮想通貨取引への規制が強化されつつありますが、それに伴ってインド国内の取引所閉鎖が相次いでいます。
現状、仮想通貨取引や仮想通貨の保有は禁止されていませんが、インド国内の銀行では仮想通貨取引を目的とした利用ができない状況です。
ではなぜインド国内の仮想通貨取引所が相次いで閉鎖になったのでしょうか。
ルビー入金ができなくなったから
インドの仮想通貨取引所が相次いで閉鎖している理由の一つ目が、ルビーによる入金が取引所の口座へできなくなったからです。
仮想通貨取引を始める際には、まず法定通貨で仮想通貨を購入する必要がありますが、規制によりインド国内の銀行から取引所の口座へインドの法定通貨であるルビーの入金が行えません。
そのため、インド国内の取引所では法定通貨で仮想通貨を購入することが難しく、全体の取引量も大幅に減少したのです。
さらに、取引量の減少によってビジネスとして取引所の運営が難しくなり取引所の運営が継続ができないため、取引所を閉鎖せざるを得ない状況に追い込まれました。
インドの大手仮想通貨取引所がまた1つ、仮想通貨業界を去った。
コイネックスが本日限りで取引所の運営をやめると発表。銀行からのサポートの欠如と規制の不透明感を理由にあげた。先月12日、もう1つのインドの仮想通貨取引所コイノミーが仮想通貨取引を停止すると発表したばかりだった。
引用:コインテレグラフ
今後の仮想通貨規制が不透明だから
ルビーの入金ができなくなったことによる影響以外にも、今後の仮想通貨に関する規制が不透明だからという点も挙げられます。
今後の動きによっては仮想通貨の保有自体が禁止になる可能も十分考えられ、場合によっては取引所の運営を続けることによって大きな損害を受ける可能性もあるため、それらを見越して閉鎖する取引所もあります。
インドが与える仮想通貨市場への影響
仮想通貨に関する規制の先行きが不透明な状況のインドですが、インドの仮想通貨に関する動向は仮想通貨市場に対してどのような影響を与えるのでしょうか。
他国への規制強化の動きが波及
インドの仮想通貨規制に関する動きが他国へ波及する可能性も十分考えられます。
欧米諸国の多くは仮想通貨に前向きな国が多いですが、中には仮想通貨に関してさまざまな理由で消極的な国もあります。
そのような国の中にはすでに規制を行っている国もありますが、インドが規制を行ったのを見習って規制を始める国が出てくる可能性も十分あります。
通貨の暴落
他国への規制強化の動きが波及する流れができることによって、仮想通貨の今後に関する不安材料が増え、各仮想通貨の価値の暴落が発生する可能性も考えられます。
これまで仮想通貨に関して不安材料となるようなことが発生した時には価格の暴落が起こりました。
規制強化が世界各国に広がっていけば、仮想通貨の成長や発展が見込めなくなり投資を行っている人の不安が募り売却が進むため、価格の暴落が発生する可能性があります。
インドの動きは仮想通貨にどう関係している?
徐々にインドの仮想通貨規制は強まりつつありますが、インドの動きと仮想通貨にはどのような関係があるのでしょうか。
インドの規制は、それぞれの仮想通貨の開発や発展には大きく影響していませんが、インドでの仮想通貨取扱量は減り続けています。
ドイツベルリンのグローバルデータリサーチ会社である「Dalia Research(ダリア・リサーチ)」が2018年5月9日に公表した調査結果によれば、調査対象国の平均7%に対して日本人の仮想通貨保有率は11%と最も高いことが判明しました。
この調査は仮想通貨の市場規模が大きい8か国の29,000人に対して、インターネットを通じておこなわれたものです。国別の仮想通貨保有率の他にも認知度、理解度、今後の購入意欲などについても調査されました。
保有率については調査対象となった国で日本は最高保有率を示しており、金融先進国であるアメリカやイギリスの各9%を上回る結果となっています。調査対象となっている8か国の内訳は日本の他、アメリカ、イギリス、デンマーク、インド、中国、韓国、ブラジルです。
引用:コインチェック
これはインド国内の銀行が仮想通貨の取引目的での利用が禁止されたことが原因で、インド国内の取引所が相次いで取引所が閉鎖されていることも起因しています。
また、現在は仮想通貨の価値が暴落することは起こっていませんが、今後の流れによっては価格の暴落が発生する可能性は十分あります。
今後インドの動き次第で仮想通貨の動向も変化する?
仮想通貨取引の規制が徐々に強化されつつあるインドですが、インドの仮想通貨の動き次第では仮想通貨の動向にどのような変化を与えるでしょうか。
市場規模の縮小
インドは中国に次ぐ世界第2位の人口を誇る国です。
そのため、今後インド国内での仮想通貨取引や保有ができなくなったりした場合、世界の仮想通貨市場からインドユーザーがいなくなるため規模が縮小することになります。
市場規模が縮小することは、仮想通貨の発展を考えるとあまりいいこととは言えません。
また、世界1位の人口を誇り世界的にも仮想通貨取引量が多かった中国も仮想通貨規制強化に動いており、年々取引量が減少しています。
さらにインドが規制を強化してインドの取引量も大幅な減少や0になった場合は、市場の規模が大幅に縮小することになります。
最悪の場合大暴落もありうる
何度も触れていますが、今後のインドの動向次第では、仮想通貨市場全体で大幅な大暴落が発生する可能性が十分あります。
インドの規制強化によって市場規模が縮小し、需要の減少と規制の動きが他の国へ広がることへの不安によって売却が進めば、仮想通貨市場全体で大暴落が発生する可能性は0ではありません。
そのため、仮想通貨投資を行っている場合は、敏感に情報を確認し、大きな損失が出ないように注意する必要があります。
仮想通貨の成長の鈍化
インドの仮想通貨の規制の動向によっては、仮想通貨全体の成長が鈍化することも考えられます。
先ほども触れましたが、インドで仮想通貨取引が禁止された場合、仮想通貨全体の市場が縮小してしまいます。
それによって仮想通貨の需要も減少します。
仮想通貨は使われれば使われるほどより便利になるように、仮想通貨の機能のアップグレードや今までになかった機能を持った仮想通貨の開発が進められやすいです。
しかし、市場規模が減少し需要が下がることによって仮想通貨の勢いが止まってしまい、仮想通貨の成長も鈍化してしまう可能性が高まってしまいます。
まとめ
インドは世界2位の人口を誇る国で、仮想通貨の市場としても大きな市場のうちの一つです。
そのためインドの仮想通貨に関する今後の動向によっては仮想通貨全体が暴落する可能性も十分考えられます。
現在、インドの民間銀行では取引所の口座へインドの法定通貨ルビーを入出金することはできないため、仮想通貨取引は難しい状況なのです。
インドの各仮想通貨取引所も裁判を起こし対抗していますが、裁判に負け取引所の閉鎖までに至っています。
今は海外送金などを行い海外取引所を使っての仮想通貨取引や仮想通貨の保有は禁止されていません。
しかし、仮想通貨そのものの保有を禁止しようとする政府の動きもあり、今後の動向は不透明な状況が続いています。
市場の大きなインドの仮想通貨に関する規制がどのような動向を見せるのか、今後の仮想通貨の明暗が分かれる可能性があるだけに目が離せません。
これからのインドの仮想通貨事情に目を向けながら仮想通貨とうまく付き合っていきましょう。