
仮想通貨とステーブルコインがたまにごちゃまぜになってしまうことがある...
それは無理もありません。
なぜなら、ステーブルコインは仮想通貨であり、仮想通貨と目的が多少異なるからです。
本記事では、ステーブルコインについて、仕組みと種類を徹底的に紹介します。
最後まで読むと、ステーブルコインについて理解できますので、ぜひ最後まで読んで下さいね。
ステーブルコインとは
ステーブルコインとは、ビットコイン(BTC)やイーサリアム(ETH)などの仮想通貨に比べ、価格が安定していてボラティリティ(Volatility ※1)が小さい仮想通貨のことです。
ボラティリティ(Volatility)とは、価格の変動性、変動率のことです。
すなわち、ボラティリティが大きいということは価格が安定していないことを意味します。
ステーブルコインの最大の特徴はやはり価格の安定性です。
詳しく後述しますが、日常生活での決済など、ステーブルコインは、実用的な使われ方を目指し開発されているものがほとんどです。
ビットコインも法定通貨に代わる新たな決済通貨としての実用的な使われ方が期待されていましたが今現在、ボラティリティの高さや手数料、スケーラビリティ(※2)などの問題点が多々あり当初期待されていたような使われ方はされていません。
スケーラビリティ問題とは、取引情報を保存するブロックの大きさ(スケール)が小さいことで、取引時の決済(反映)時間や手数料の上昇が起こる問題。
ステーブルコインの種類とその仕組み
ステーブルコインには大きく3つの種類があります。
- 法定通貨担保型
- 仮想通貨担保型
- 無担保型
それぞれ価格を安定させる仕組みに明確な違いがありますので、順番に解説していきます。
法定通貨担保型
まずは法定通貨担保型です。
法定通貨(※3)とは、日本で言えば【円】、アメリカで言えば【ドル】など、基本的には各国政府が発行しその国で強制力を持つ通貨のことです。
引用:ウィキペディア
そして法定通貨担保型とは、任意の法定通貨の価値と仮想通貨の価値を連動(ペッグ)させることで価格の安定性を実現する仕組みのステーブルコインです。
法定通貨はボラティリティが小さく価格が安定しています。
アメリカドルと日本円の価格を例にとると分かりやすいですね。
例えば、ビットコインの2017年1月時点の価格は約 100,000円/BTC ですが、一年後の2017年12月にはその価格は約 1,500,000円/1BTC まで跳ね上がっています。
それに対し、円とドルの価格関係は 1ドル=100円~120円ほどで安定しています。
もうお分かりだとは思いますが、法定通貨の価値と仮想通貨の価値を連動(ペッグ)させることで、他の仮想通貨とは比較できないほどボラティリティを小さくできるのです。
法定通貨担保型のステーブルコインとして有名なのは、ウィンクルボス兄弟が運営する仮想通貨取引所Geminiによって作られた【GeminiDallor(ジェミニドル)】や、イーサリアムのERC20に準拠しているTether(テザー)です。
>>>テザー(USDT)とは?テザー問題の真相・特徴・購入できる取引所・今後をガチ解説!
どちらもアメリカドルに連動しているステーブルコインで、とくにGeminiDollor(ジェミニドル)は初めてアメリカの規制当局から許可が下りたステーブルコインです。
仮想通貨担保型
続いて仮想通貨担保型です。
仮想通貨担保型のステーブルコインには大きく以下の2つのポイントがあります。
- 他の複数の仮想通貨の価格と連動させる
- 価格変動を吸収するための過剰な預金をする
仮想通貨担保型は、他の仮想通貨(複数の仮想通貨)価格の平均値を取ることでボラティリティを小さくするものです。
ビットコインやイーサリアムなどの仮想通貨と比べると、非常に価格が安定します。
しかし、仮想通貨担保型の最大の欠点は、同じくらい価格が不安定な仮想通貨を担保としている点です。
ビットコインやイーサリアムと比べて価格が安定するといっても、法定通貨担保型と比べるとやはりボラティリティは大きくなります。
そのため仮想通貨担保型のステーブルコインは基本的に、裏付け(担保)として過剰な量の預金をかけ価格変動を吸収しようします。
具体的には以下のような仕組みです。
1ドルのステーブルコイン1つを発行するときに、価格の変動に対応するため担保とする仮想通貨を2ドル分預金します。
そうすると任意のステーブルコインは200%担保されていることとなり、ある程度の価格変動には対応できるということになります。
無担保型
最後は無担保型です。
無担保型の最大の特徴は、スマートコントラクトという技術を用いて、法定通貨を完全に模倣しようとしている点です。
法定通貨は需要と供給に基づいて価値が変動します。
(社会全体で日本円が足りていなければ価値が上がり、余分に供給されていれば価値が下がるをことを意味します。)
この仕組みを完全に模倣しようとしているのがBasis(ベーシス)という仮想通貨です。
Basecoin is now Basis. https://t.co/yxmscbfiJy
— Basis (@basisprotocol) 2018年4月18日
ベーシスは短期的な目で見ると、アメリカドルと連動する予定ですが、後々にはベーシス利用者の消費者物価指数(CPI)に連動して価格設定を行うことを目指しています。
総務省の定義では、以下のようになっています。
全国の世帯が購入する家計に係る財及びサービスの価格等を総合した物価の変動を時系列的に測定するもの。
すなわち家計の消費構造を一定のものに固定し、これに要する費用が物価の変動によって、どう変化するかを指数値で示したもの
ステーブルコインの用途
ステーブルコインの主な用途は冒頭でもお話しした通り日常生活において実用的に使われることです。
そもそも仮想通貨は、法定通貨が中央集権的に管理されているためボーダレスに利用することが難しい、という状況を解決するために生まれました。
ここで言うボーダレスとは、例えば日本円がアメリカで使えないように、ユーロが日本で使えないように。
法定通貨が中央集権的に管理されることで利用できる幅が狭くなるという意味です。
つまり、ビットコインから始まる、アルトコインなどの非中央集権を掲げる仮想通貨を利用することで、世界中どこでも決済・送金がボーダレスに行えるようになったのです。
しかし、今現在、新たな問題が生まれています。
それは、ほとんどの仮想通貨が投資目的として利用され、法定通貨のように実用的な使い方が浸透してしないということです。
理由のひとつは簡単で、ボラティリティが高いからです。
例えば、30万円分のお給料をもらう場合、法定通貨であればおそらく20年先もその30万円は30万円の価値保ち続けます。
しかし、仮想通貨でもらうとなれば、そのボラティリティの高さから、明日には30万円の価値が15万円分の価値しか持たなくなっているかもしれないという懸念が残ります。
前置きが長くなりましたが、つまり、ボーダレスな利用と価格の安定の2つを同時に実現すべく、新たに生まれたのがステーブルコインというわけです。
ステーブルコインはまだまだ発達途中で法定通貨に及ばない点はありますが、目的としていることは、現存する法定通貨の上位互換通貨ですので、ステーブルコインの用途としては法定通貨の使い方とほとんど同じだという認識で問題ないでしょう。
ステーブルコインのメリット
ステーブルコインを利用するメリットとして挙げられるのは以下の2つです。
- ボーダレスな利用
- 資産の価値を守る
ボーダレスな利用
既述したように、ステーブルコインは国や中央集権の場所に関係なくボーダレスに利用できます。
そして、ステーブルコインを利用すれば、旅行をするときや海外の友人に送金するとき、輸出入や海外株取引の際にいちいち円をドルに換金したり、ユーロを円に換金する必要は必要ありません。
ですから、ステーブルコインを持っているだけで、海外へ行きやすくもなるのです。
資産の価値を守る
ステーブルコインの最大の特徴は、価格が安定しているという点です。
日本で生活しているとイメージしづらいかもしれませんが、世界には自国の通貨が信用できないという国がいくつもあります。
例えば、アフリカにあるジンバブエという国は2008年ごろ、ジンバブエ政府の政策により過剰なインフレが起こります。
そして、ジンバブエの法定通貨であるジンバブエドルの価値が50億分の1になるという事件が起きました。
しかし、ジンバブエドルを利用する人たちがその価値をステーブルコインに置き換えていたとすれば、多大な損失を被らずに済みました。
ジンバブエほどの暴落は世界でもまれですが日本も例外ではありません。
実際、資産を日本円から分散させ様々な国の通貨や株、仮想通貨を購入する人たちが増えています。
ですから、自国の通貨が信用ならない人や、資産を分散してリスクマネジメントをしたい人にとって、ボラティリティの小さいステーブルコインは有用といえます。
ステーブルコインの種類
現存するステーブルコインは、全部で18種類です。
最も特徴的なステーブルコインはPetoro(PTR)である
この中で特徴的なのは、Petro(PTR/ペトロ)です。
ペトロは、南米にあるベネズエラが発行した仮想通貨で、原油資産に価値保証されたステーブルコインです。
これまで金の価値に保証されたステーブルコインは存在しましたが、原油資産を担保としたステーブルコインは世界初なのです。
ペドロは、NEMブロックチェーンの技術を使用いて作られていて、価格は60ドル/PTRで、BTCもしくはアメリカドル(USD)で購入できます。
ペドロの使い方は、ベネズエラ政府への納税、手数料決済に限定されていますが、今後の動きに注目ですね。
日本で有名なステーブルコインと特徴
日本のステーブルコインとして有名なのはLCNEMです。
LCNEMは日本円と連動していて、1円=1LCNEMとなっています。
日本の法律では、仮想通貨の販売(提供)を行う場合、仮想通貨交換業者としての登録が必要になります。
しかし、仮想通貨交換業者の審査はとても厳しく、簡単には許可が下りません。
※日本で仮想通貨交換業者の登録ができているのは13社のみ
LCNEMを提供している株式会社LCNEMは仮想通貨交換業者としての認可をされていないため、現在LCNEMを法定通貨で直接購入することはできません。
つまりステーブルコインであるLCNEMは、前もってAmazonカードやプリペイドカードによって支払われたお金に対して同額のポイントを付与して価値を担保する、前払式支払手段といわれる方法で、間接的に取引をしています。
LCNEMのイメージとしては、日本では賭博は禁止されていますがパチンコは賭博が規制されていません。
なぜなら、パチンコ店は景品を渡すだけで、景品を受け取った客はそれは換金するため、賭博には当たらないからです。
パチンコは戦後日本が法律的に唯一【グレー】にしてきた分野ですが、パチンコ規制の声が大きくなる中、同じようにLCNEMの在り方に規制が入るのも時間の問題かもしれません。
ステーブルコインのまとめ
ステーブルコインは、ビットコインやイーサリアムに代わって、真に実用性をも持ち合わせる仮想通貨として今もっとも注目されている分野です。
法定通貨や他の仮想通貨、ないしは金や石油などの価値と連動することによって、仮想通貨の特徴である非中央集権的通貨という概念を崩すのではないか?という疑念や様々な問題点はあります。
しかし、ステーブルコインはまだ発展途上のコインですから、見限るには時期尚早、今後の動きから目が離せません。
ですから、ウィンクルボス兄弟を始めとするステーブルコインの動きについても、注目ですね。