
2017年途中まではビックカメラでビットコイン決済が導入されるなど仮想通貨決済の普及が現実味を帯びていましたが、一連の暴騰・暴落によって、決済する通貨としての利用価値には疑問が持たれるようになりました。
しかし、ブロックチェーンを用いた仮想通貨技術自体は有望なものと考えられ続け、法定通貨と連動する仮想通貨の開発、普及が進みました。
アメリカではドルと連動するステープルコインの一つテザーなどが普及していますが、日本でも『jコイン』というステーブルコインの開発、普及が進んでいます。
この記事では、日本円と連動するステープルコイン「jコイン」について紹介していきます。
jコイン(Jcoin)のwiki的基本情報
仮想通貨名 | jコイン(Jcoin) |
アプリ名 | J-Coin Pay |
単位 | 円 |
公開月 | 2019年3月 |
開発国 | 日本 |
運営会社 | 株式会社みずほ銀行 |
発行上限 | - |
発行枚数 | - |
公式HP | https://j-coin.jp/ |
ホワイトペーパー | - |
@jcoinpay | |
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TelegramID | - |
YouTube | - |
jコイン(Jcoin)とは

出典:J-coin
複数の銀行が共同開発した仮想通貨
jコインとは、みずほフィナンシャルグループ、ゆうちょ銀行、一部の地方銀行が共同で開発した仮想通貨で、日本国内での決済手段・送金手段としての普及を目的に開発されました。
1枚=1円で日本円と連動している
jコインはテザーと同じ性質を持つステーブルコインで、日本円と同じ価値(jコイン1枚=1円)を持っています。
jコインをステープルコインにすることによって、ビットコインなどの仮想通貨で問題となっていた「価値の上下動が大きく決済手段としては不向き」という点は解決されました。
異なる銀行間でも送金手数料が無料
また、ブロックチェーン技術を用いているため、送金手数料を無料にすることができます。
これまでは、異なる銀行間での送金には手数料がとられていましたが、jコインによって手数料の心配をすることなく送金することが可能となるのです。
jコイン(Jcoin)の特徴

出典:J-coin
ステーブルコインである
ここまででも紹介してきた通り、jコインはステーブルコインで1枚1円に価値が固定されています。
このため、決済や送金に使用するためにあらかじめjコインを所有していたとしても、ビットコインのようにその価値が大きく変動することはありません。
このような特徴から、jコインは決済や送金の分野で実用性が高い仮想通貨と言われています。
ちなみに、jコインと同じように日本円と連動するステーブルコインであるMUFJコインは、仮想通貨とみなされることで送金額の上限を撤廃したい思惑から1枚約1円と規定されています。
jコインの方がより厳密に円の価値と連動していると言えます。
送金手数料が無料
jコインは送金手数料が無料とされています。
これまで銀行振り込みでは手数料の問題がネックとなっていましたが、jコインによって手数料の問題が解決されます。
しかも、jコインのプロジェクトにはみずほフィナンシャルグループ、ゆうちょ銀行、一部の地方銀行が参画しており、別々の金融機関の間での送金手数料も無料にすることが可能となります。
送金が24時間365日可能
送金の分野では手数料が無料であるというメリットの他に、24時間365日送金が可能というメリットもあります。
これまで銀行間の振込は銀行の営業時間内に限られていましたが、jコインはブロックチェーン技術の導入によって、土曜・日曜・祝日・深夜の送金も可能となっています。
日中仕事などで忙しく送金する暇がないという人にとってもありがたいシステムと言えますね。
また、ビジネスの分野でもいつでも送金ができるということは、スピーディに仕事が進むため、これまで以上に仕事の進展が期待できます。
決済手数料がクレジットカードよりも安い
jコインを利用した決済では、クレジットカードよりも決済手数料を抑えることができます。
決済手数料は多くの経営者を悩ませてきましたが、決済手数料を抑えることができることで、よりキャッシュレス決済を普及させることができる可能性があります。
銀行が発行元
jコインの発行元はみずほフィナンシャルグループ、ゆうちょ銀行、地方銀行といった銀行になっています。
このため発行元への信頼性は高いと言えます。
しかも、みずほフィナンシャルグループは日本でも有数の大きな金融機関であるため、発行元の破綻リスクも極めて低いと言えます。
登録方法が分かりやすい
jコインには、みずほ銀行が公表している『初期設定ガイド』があります。
スマートフォン向けに分かりやすく写真付きで公開されているため、もし初期設定が分からない場合には、見ながら設定すると良いでしょう。
jコイン(Jcoin)の懸念点
送金の上限が100万円
jコインは、法的に仮想通貨とみなされていないため、資金決済法に基づき100万円までの送金しか行うことができません。
これでは大口の送金取引を取り扱うことができず、利用が個人間の小さな取引に限定されてしまいます。
今後、この問題が解決していくのかがjコインが送金分野で普及していくかどうかのカギとなってくると言えます。
決済手段として導入する店舗が増えるのか
jコインを決済手段として導入する店舗が増えるのかどうかという問題も懸念点の一つです。
QRコード決済で対応できるため、導入自体は難しいとは思えませんが、ネックになるのが手数料の問題です。
クレジットカードよりも決済手数料が安いと言われるのは、単にクレジットカードの決済手数料が高すぎたことが理由でもあるため、jコインにはクレジットカードよりも大幅に手数料が安くなることが期待されています。
例えば、PaypayやLINEpayでは決済手数料を期間限定で無料にすることで、中小の店舗でも導入が進むような対策がとられていますが、jコインでもこのような導入対策が行われるかどうかが重要です。
過去に不正アクセスによる流出があった
また、jコインのセキュリティ面での不安材料も導入への障害となりかねません。
実際にjコインのシステムに不正アクセスがあり、加盟店情報など1.8万件が流出する事件が起こりました。
jコインのような中央集権的な仮想通貨ではより強固なセキュリティ対策が必要となってきます。
このような営業やセキュリティ面での対策を銀行がどのように行っていけるのか注目されます。
利用者への普及対策が行われるのか
jコインの利用者への普及対策が行われるのかどうかも、jコインの未来を左右する重要な問題です。
例えば、クレジットカードでは利用者のポイント還元率を高めることによって普及が進みました。
PaypayやLINEpayにしても同様に高ポイント還元率で普及を進めています。
jコインに関しても、ポイント還元率を高く設定するなど利用者にメリットのある決済手段とならなければ普及は進まないと考えられます。
銀行が、このような対策を行うことができるのか注意しなければなりません。
また、ビットコインに関しては、投機対象となったからこそ多くの人が所持するものとなった経緯があります。
しかし、ステーブルコインであるjコインには投機目的での普及は期待できません。
ですから、より決済時のポイント還元などの対策が必要となるのです。
コイン発行元が破綻したらどうなるのか
jコインは中央集権型の仮想通貨であるため、jコインの発行元が破綻してしまった場合には、コインの価値が無くなってしまう恐れがあります。
発行元がみずほフィナンシャルグループであるため、比較的破綻リスクは少ないとは言え、一応そういったリスクも考慮しながらjコインを利用する必要があります。
jコイン(Jcoin)が使えるお店

出典:J-coin
ここではjコインによる決済を実際に行うことができる店舗を紹介します。
コスメティクスアンドメディカル
コスメティクスアンドメディカルは、東京都内の2店舗でjコイン決済を導入しています。
系列店舗が14店舗あるので他の店舗での導入も期待できます。
ZOZOマリンスタジアム
ZOZOマリンスタジアムは、プロ野球千葉ロッテマリーンズの本拠地です。
スタジアム内で販売されているビールなどのドリンクの購入にjコイン決済を利用することができます。
工房アルティスタ
工房アルティスタは北海道にある、お土産やキャラクターグッズなどを販売する企業です。
工房アルティスタの直営店でjコイン決済を利用することができます。
jコイン(Jcoin)の評判(口コミ)
ここではjコインのツイッター上での評判を紹介します。
またもや、QRコード決済の安全性に疑問が生じる事態に。いくら大丈夫って言っても、これで、地銀は乗りにくくなったはず!
仮想通貨Jコイン、加盟店のデータが流出 https://t.co/NF0KOUTEp2
— 中島真志 (@nakajipark) 2019年9月5日
やはり直近ではjコインのシステムへの不正アクセスによって加盟店情報が流出した事件に関しての口コミが多いです。
これが地方銀行の参画、加盟店増加の障害となる懸念があります。この問題に関して、早急に明確な解決策が必要となります。
消費者還元事業について
当店では楽天ペイ・Jコインペイの使用で5%還元の通知が来ました。
その他のauペイ・クレジット・電子マネーは連絡待ちとなります。
また9月26日よりWAONが使えるようになりました。
(シールがないため店頭表示はしていません。)#キャッシュレス #鶏笑千歳店 #WAON— からあげ専門店 鶏笑千歳店 【からあげグランプリ最高金賞受賞店】 (@torisyochitose) 2019年9月26日
また、消費増税に伴うキャッシュレス決済への還元制度からjコインに注目する人もいるようです。
この増税のタイミングで急速にキャッシュレス決済が普及していく可能性があるので、そこにどれほどjコインが食い込んでいけるかが注目されます。
ワイのような道民はこんな方法を使うと
無料送金アプリで振込手数料を節約しながらある程度自由に他行に送金することも出来る↓Jコインペイで北洋銀行と北海道銀行間で手数料0円で振込みをする方法https://t.co/rkvfDWzzxF
— 暗部郎 (@Ambrosia_Lunar2) 2019年9月25日
また、jコインの送金手数料無料に関してはポジティブなつぶやきが多いです。別々の銀行間で手数料無料で送金ができるのは非常にありがたいです。
国内の送金に関してはこれから普及が進んでいく期待が大きいように思います。
jコイン(Jcoin)の将来性

出典:J-coin
まず送金の分野に関しては、国内の送金を無料で行うことが可能となるので、これまでの銀行間の振込に取って代わっていく可能性は非常に高いでしょう。
問題は決済分野での普及です。
決済分野でjコインを普及させるためには、利用者と店舗の経営者ともにメリットがある必要があります。
例えば、決済手数料やポイント還元で利用者と店舗の経営者にメリットを与えることができるのかが注目されるところです。
利用者と店舗経営者の両者にメリットを与えることができるかどうかで、決済分野での将来性は大きく変わってくるでしょう。
jコイン(Jcoin)のまとめ
みずほFG・ゆうちょ銀行・一部の地方銀行が共同で開発したjコインは、日本円に連動したステーブルコインで、これまでの仮想通貨では現実的ではなかった決済分野での活用が期待できる仮想通貨です。
しかし、決済分野での実用化には、手数料やポイント還元など様々な障害があり、今後jコインの運営側がどのような普及対策をとってくるかで大きく将来が左右されるでしょう。
ただ、国内の送金が無料で行うことができ、送金分野での実用化は大きく期待できそうです。