日本を含むアジア各地で幅広いシェアを誇るSNS「LINE」。
今回は、そんなLINEを運営するLINE株式会社が、仮想通貨・フィンテック・ブロックチェーンとどのようなかかわりを持っているのかについて解説します。
この記事で解説している、LINEの仮想通貨関連事業は主に以下3つ。
- LINEのブロックチェーン開発部門 LVC社
- LINE運営の仮想通貨取引所 BITBOX
- LINE Token Economy構想
また、LINE Token Economy構想において重要になってくる「LINK Point」「LINK」や、それら2つの違いについてもわかりやすく解説しています。
ではまずは、LINEの概要・仮想通貨事業の全容をつかみましょう!
LINEとは?
会社名 | LINE株式会社 | 代表 | 出澤 剛 |
資本金 | 960億6400万円 | 社員数 | 1938名 |
上場市場 | 東京証券取引所
ニューヨーク証券取引所 |
サービス | LINE
LINE関連サービス |
LINE株式会社は、韓国最大のインターネットサービス企業「NAVER Corporation」傘下で、アジア最大級のSNS「LINE」を運営する企業です。
LINEプラットフォーム・LINE Clovaなどのサービスをグローバルに展開しています。(下記画像参考)
LINEと仮想通貨の関わり
2018年1月、アジア最大級のシェアを誇るSNS「LINE」を運営するLINE株式会社は、
フィンテック市場の拡大を見込み、LINEの仮想通貨取引事業などを手掛ける「LINE Financial Corporation(詳しく後述)」の設立を発表したことで初めて、仮想通貨業界への参入を表明しました。
発表によると、LINEは今後 すでに幅広いシェアを誇るSNS「LINE」に、様々な金融・決済サービスを結び付ける形でフィンテック業界におけるシェアを拡大する方針だということです。
また、後述する「BITBOX」や「LINE Token Economy構想」などから、フィンテックと同様に市場拡大が見込まれる”仮想通貨”に関連する事業にも力を入れている様子がうかがえます。
LINE Financial Corporationとは
仮想通貨取引などを手掛ける金融子会社「LINE Financial Corporation」は、2018年1月31日、LINE株式会社によって設立されたことが発表されました。
今回の新会社設立について、同社広報部は「中長期的にみると、金融とITを結ぶ”フィンテック”市場の拡大は続くと考えている」と発表しました。
LINE Financial Corporationは、すでに幅広いシェアを獲得しているSNS「LINE」と以下のような決済サービスを結び付け、利便性の向上を図ります。
- LINE Pay
- LINE ほけん
- LINE スマート投資
- LINE 家計簿
また、LINEを通して気軽に仮想通貨ビットコイン(BTC)などを取引できる「LINE×仮想通貨」のサービスも提供する予定だとしています。
LINE Fintechの概要については、下記画像を参考にしてください。
LINEのブロックチェーン開発部門 LVC社とは
LVCは、LINEの仮想通貨事業・ブロックチェーン関連事業を展開する企業です。
LINEが長年培ってきたセキュリティ等のノウハウを引き継ぎ、ブロックチェーン技術の研究開発を推進することで、ブロックチェーン・仮想通貨業界の発展に貢献することを目的としています。
実際にLVCが手掛けている事業として注目されているのが、2018年6月にLINEが発表した新たな仮想通貨取引所「BITBOX」です。
BITBOXのサービス対象地域に日本が含まれていなかったこともあり、日本ではあまり話題になりませんでしたが、
開設からわずか3か月で取引高ランキングトップ100に入るなど、着実に結果を残している取引所です。(2019年4月時点では222位)
LINEが運営する仮想通貨取引所「BITBOX」とは
取引所名 | BITBOX | 開設日 | 2018年7月16日 |
対象地域 | 日本・アメリカ以外 | 取り扱い通貨数 | 30銘柄以上 |
LINEのブロックチェーン部門(LVC)が運営する仮想通貨取引所BITBOXは、2018年6月に行われた「LINE CONFERENCE 2018」にて提供開始が発表された仮想通貨取引所です。
同取引所は、計30銘柄以上の仮想通貨を取り扱っているほか、業界最高レベルのセキュリティ・業界最低のスプレッドでサービス提供を行っています。
取り扱い通貨一覧は以下の通り。
AION | BAT | BCH | BTG | CVC |
DGB | ELF | ETC | ETH | GNT |
KNC | LTC | MONA | NCASH | OMG |
QTUM | RDD | REP | SALT | SNT |
VEN | XLM | XRP | ZIL | ZRX |
日本・アメリカでの利用は不可?!
BITBOX最大の特徴は、日本・アメリカがサービス対象外となっていることです。
BITBOXの対応言語にも日本語は含まれておらず、日本・アメリカに居住しているユーザーはBITBOXの公式HPにもアクセスできません。
>>>BITBOX公式HP
LINE Financial Corporationは、BITBOXのサービス対象地域について次のように説明しています。
日本居住者、米国居住者に対してのサービス提供ではありません。非対象のユーザーは、IPアドレス、電話番号、KYC(※6)によって利用を制限いたします。
※6 「Know Your Customer」(身元確認)の略。銀行口座開設の際に、架空の人物や法人の口座が作られるなどの、マネーロンダリングに使われることを防止する目的で、個人情報・法人情報の書類の提出などを求めるものです。
LINEが仮想通貨事業に参入したというニュースは喜ばしいものですが、日本で利用できないというのは残念ですね。
BITBOXが日本に対応する具体的な時期は明らかになっていませんが、先述した「LINE×仮想通貨」のサービスリリースが2019年度中に行われるという見方も存在します。
今後の動きに注目しましょう。
LINE Token Economy構想とは
2018年8月31日、LINE株式会社は「LINE Token Economy」構想を発表し、LINEが開発したブロックチェーンネットワーク「LINK Chain」を基盤とした「LINKエコシステム」を公開しました。
また、この発表に際して、LINKエコシステム内で利用できる汎用コイン「LINE Point(日本向け)」と「LINK(海外向け)」も公開しています。
【LINK Chain】「LINK Chain」は、LINEが開発したブロックチェーンネットワーク基盤のこと。
【LINK Point】LINK Pointは、日本国内向けのトークンです。ユーザーはサービスへの貢献度に応じて、インセンティブとしてLINK Pointを獲得することができ、それを「ラインポイント」に換金して利用することも可能です。
LINK PointとLINKの違いについては、後述する「LINK PointとLINKの概要・違い」にて詳しく解説しています。
LINEは、LINE Token Economy構想について、次のように説明しています。
「LINE Token Economy」構想は、LINEが独自に開発したブロックチェーン技術を活用することで、サービス提供者とユーザーの関係をよりフラットにし、ともに成長していくことができる共創関係の構築を目指すトークンエコノミー構想です。
引用:LINE
もっと簡単に
LINE Token Economy構想は簡単に、「価値生産に貢献した一般ユーザーに、価値を還元するプラットフォーム」の事です。
ユーザーは、LINKエコシステムに参加する「dApp」サービスや、「4CAST」「Wizball」などのサービスに登録・利用すると、
そこでのアクション内容やサービスへの貢献レベルに応じ、インセンティブとしてLINK Point(日本向け)やLINK(海外向け)を獲得することができます。
4CAST、Wizballについては、下記の記事でわかりやすく解説しています。
貢献度を評価する際の”信頼性”や”透明性”は、LINEが独自開発したブロックチェーン技術によって担保され、
価値生産に貢献したユーザーに対し適切な報酬を付与することにより、さらなる大きな価値を生産することが可能になります。
LINK PointとLINKの概要・違い
LINK PointとLINKの概要については以下の通り。
- 概要:「LINE Token Economy」において利用可能な汎用コイン
- URL:link.network
- 発行方式:LINEが提供する各dAppサービスのユーザーへのインセンティブとして付与
- 発行元:LINE TECH PLUS PTE. LTD.
- 単位:基本単位はLINK(1 LINK=1,000,000 cony)、LINK point
LINK PointとLINKは、あわせて10億個が発行され、内8億個は「LINK エコシステム」に参加する様々なサービス毎に設定された報酬ポリシーに従って分配(ユーザーに提供)されます。
残りの2億個は予備として、LINK ・LINK Pointの発行元であるLINE TECH PLUS PTE.LTD.(LVCの子会社)が管理しています。
では、ここからはLINK PointとLINKの違いについて解説します。
LINK Pointの概要
LINK Pointは、日本居住者向けのトークンで、主な用途は「価値還元への利用」です。
先述した通り、日本に居住するユーザーは「dApp」サービスや「4CAST」「Wizball」などのサービスに登録・利用すると、
そこでのアクション内容やサービスへの貢献レベルに応じ、インセンティブとしてLINK Pointを獲得することができます。
その他にも、レビューサイトや、コマース、ソーシャル、ゲーム、などのサービス内で「決済」「価値還元(報酬)」に利用することも想定されています。
LINE株式会社は仮想通貨交換業者としての認可を取得していないため、LINK Pointを法定通貨に換金することはできませんが、LINK Pointをラインポイントに換金して利用することは可能です。
ラインポイントは (1ポイント=1円 )は、LINE内の有料スタンプや着せ替えの購入などに利用できます。
LINKの概要
LINKは、日本・アメリカを除く地域に居住しているユーザーが利用できるトークンです。
LINKは、LINEが運営する仮想通貨取引所BITBOXで取り扱われており、利用用途はLINK Pointと同じ「価値還元への利用」です。
ただ、LINKとLINK Pointの大きな違いは、「法定通貨に換金できるか否か」です。
LINKの場合、BITBOX上で取り扱われているので法定通貨に換金することが可能です。(LINK Pointは日本向けトークンなので、BITBOXでの利用は不可)
まとめ
LINEは今後、SNSはもちろんの事、決済・金融、ショッピングや投資など、
我々の生活におけるあらゆる場面で利用されるサービスに発展してくことが予想されます。
現在は対応していない(日本での)仮想通貨事業も、LINEが仮想通貨交換業者としての認可を取得した時点から、加速度的にサービス展開が進んでいくはずです。
今、制度改革が追い付かないほどのスピードで成長し続ける、AI・仮想通貨・ブロックチェーンなどのテクノロジー。
そんな、最新のテクノロジーを用いた革新的なサービスをいち早く提供し続けるLINEからは、今後も目が離せそうにありませんね。