
ビットコインの高騰や国内仮想通貨取引所の不正流出が明らかになるなど、2019年は仮想通貨にとって良くも悪くも話題の年となっています。
様々な出来事がありますが、将来に向けて着々と進んでいるプロジェクトや仮想通貨もあります。
その中のひとつがオーブス(ORBS)。
かつてICO(Initial Coin Offering)で即時に売り切れたということで話題となったオーブスですが、この記事では、その特徴や現在の様子、今後の可能性についてお届けします。
今後の投資先のひとつとして参考にしていただければ幸いです。
そもそも仮想通貨オーブス(ORBS)とは

出典:ORBS X公式サイト
オーブスはイーサリアムのスケーラビリティ問題を解決するためにプロジェクトが立ち上がりました。
ICOでは0.1ドルで販売されましたが、あまりの人気で購入できなかった人も多いという人気通貨です。
世界的にも人気のあったオーブスですが、どのような特徴を持っているのかについて見ていきましょう。
イスラエル案件のひとつ
オーブスはイスラエル発祥の案件です。
イスラエルは仮想通貨先進国とも言われており、フィンテック技術に力を入れています。
また、イスラエルは軍事力が高いとされており、イスラエル案件は軍で使うようなセキュリティなどのレベルの高さが特徴のひとつです。
仮想通貨に対して積極的なイスラエルですが、オーブス以外にもイスラエル案件と呼ばれるものが存在します。
- Bancor(バンコール:BNT)
- Sirin Labs(シリンラボトークン:SRN)
- Endor(エンドール:EDR) など
こうしたイスラエル案件は、開発力やセキュリティの高さが売りとなっており、Sirin Labsは2018年にブロックチェーンスマホ「FINNY」を日本で発売しています。
このように、世の中へサービス展開を始めているイスラエル案件ですが、オーブスもそのうちのひとつということを覚えておきましょう。
イーサリアムの問題を解決するプロジェクト
オーブスはイーサリアムが抱えていたスケーラビリティ問題を解決するために立ち上がりました。
スケーラビリティ問題とは、利用者が増えた場合にデータの承認処理が追いつかず、送金の遅延が発生することを言います。
これはイーサリアムだけでなく、ビットコインにも現れた問題で、2017年の後半にビットコイン価格が上昇し続けていたビットコインバブルの時にこの問題が浮き彫りとなりました。
送金をするだけで数日間かかってしまうなど、大きな送金遅延が発生したのです。
オーブスは、こうしたイーサリアムやビットコインが抱えるスケーラビリティ問題を解決します。
どのように解決するかというと、VIRTUAL CHAIN(バーチャルチェイン)と呼ばれる、ブロックチェーン上に仮想的なブロックチェーンを構築することにより、この問題を解決しようとしています。
公式サイトには次のような図で説明されています。
バーチャルチェインの利点として次のようなことが挙げられています。
・各アプリごとにVirtual Chainのトランザクションを最適化するインテリジェンスシャーディング
・アプリ開発者はVirtual Chainの合意プロトコルとガバナンスモデルを選択可能
・自律的なガバナンスと柔軟性
・他のVirtual Chainが混雑状態であっても影響が出ない
・他のブロックチェーンに移行することなく、プライベート利用から始めて、あとからパブリックに切り替えられる引用元:ORBS公式サイト
専門用語が並んでいますが、他のバーチャルチェインが混雑状態であっても影響が出ないとことや、他のブロックチェーンに移行することなく、プライベート利用からスタートし、あとからパブリックに切り替えられるという点が大きな特徴です。
混雑状態でも影響が出ないということは、スケーラビリティ問題の解決になります。
ブロックチェーンにはメインチェーンやサイドチェーンという考えがありますが、オーブスはその切り替えが柔軟。
これら2つの要素を含めて、イーサリアムの問題を解決するプロジェクトとなっています。
分散型のプラットフォーム(AWS化)
オーブスのプラットフォームは、IaaS(Infrastructure as a Service)を目指しています。
IaaSというものは、AWS(Amazon Web Services)を例にあげるとイメージしやすいです。
Webアプリケーションの作成には、サーバやネットワーク、データベースなどの環境を整備する必要があります。
これらをWebサービスごとに行っていては、莫大な時間と費用がかかります。
これらを解消するために開発されたものがAWSです。
開発時に必要となる環境はAWS側が提供。
そのため、企業はその他の開発に力を入れることが可能になります。
民泊サイトのAirbnbや動画配信サービスNetflixなどがAWSを利用してサービスを展開。
オーブスは、Dapps(分散型アプリケーション)のAWS化を目標にしているのです。
セキュリティの高さとスピードが売りのRPOS
オーブスには、RPOS(Randomized Proof-of-Stake)と呼ばれるプルーフ・オブ・ステークが採用されています。

出典:ORBS公式サイト
他の仮想通貨で採用されているような従来のプルーフ・オブ・ステーク(POS)は、基本的に「トークン保有量が多い人が勝つ」という仕組みになっています。
しかし、オーブスは「アプリケーション開発者のニーズを第一に考えるプラットフォームを構築する」というビジョンを掲げており、従来のPOSを採用しているわけではありません。
ネットワークのパフォーマンスや平等性などの要素を満たすためにRPOSというステークを採用しています。
RPOSの特徴として、ネットワークの監視役であるガーディアンと、デリゲータと呼ばれるネットワーク監視をガーディアンに委任する人を設定していることが大きな特徴です。
監視役であるガーディアンには誰でもなることが可能。
また、バリデータと呼ばれるガーディアンから推薦を受けてネットワーク管理業務を実際に行う人を選ぶためにステークが使用されます。
RPOSはPOSの仲間ですので、投票権があるのはトークン保有者です。
この投票に参加することで、トークン保有者は一定の配当を得ることが可能になっています。
実際に投票に参加するには、自分で信頼する「ガーディアン」を選択し、投票を行うための設定を行う必要があります。
ガーディアンを選択したり、投票を行うための設定となると難しい印象を持つかもしれませんが、そんなことはありません。
一度設定や投票を行ってしまえば、その後は自動的に継続して同じガーディアンを選択し続けることになります。
つまり、毎回ガーディアンを選んだり設定し直すということはありません。
デリゲータになるためには、登録するウォレットに10,000ORBS以上の残高が必要になります。
もし、このRPOSで報酬を獲得したいという人は10,000ORBS以上を購入しておきましょう。
そして、投票の際には0.07ORBSを支払う必要があるため、合計で10,000.007ORBS以上は保有しておく必要があります。
トークン自体はウォレットの中に残りますが、委任する際の手数料としてイーサリアムが必要になりますので、イーサリアムも用意しておきましょう。
報酬額については、投票期間中に保有しているORBSトークンの量に比例します。
登録をしたウォレットにORBSを保管し続けることで報酬を受け取ることができます。
技術的にもレベルの高いPOSを活用していますし、投資者にとっても簡単に報酬を受け取ることができるRPOSはオーブスならではの特徴です。
仮想通貨オーブス(ORBS)の開発チーム

出典:ORBS公式サイト
オーブスを開発しているチームについても見ていきましょう。
公式サイトに関わっている人物のプロフィールが記載されています。
共同開発者は上の画像の4人です。
経済学や法学修士、電気工学やエンジニア、アドバイザー出身など様々な分野のスペシャリストがチームに。
さらに開発チームやビジネスチームにも多くのジャンルから人が集まっており、アドバイザーには株式会社レノバ代表取締役会長や、イー・モバイル株式会社元代表取締役会長兼CEOを務めた日本人の千本倖生氏が加わっています。
仮想通貨オーブス(ORBS)の将来性

出典:ORBS公式サイト
オーブスの将来性についてもみていきましょう。
バーチャルチェインや分散型アプリケーションのAWS化、投資家としてもRPOSという他にはない仕組みが特徴のオーブスですが、開発段階としてはまだまだ序盤です。
公式サイトのロードマップを見ると、各項目で開発状況の進行度がパーセントで見ることができます。
2019年7月現在では13個ある項目の進行状況のパーセントを平均するとおよそ23%です。
つまり、全体の1/4も完成していないという現状。
2021年の第二四半期までの開発計画ですので、あと2年をかけて完成に持っていくという予定になります。
まだまだ発展途上のため、これからがオーブスの力の発揮どころ。
ICOでも購入できな人が続出し注目を集めたオーブスですが、将来性は十分にあると考えられます。
2019年7月現在はICO割れしている価格帯で推移していますが、将来性を考えるならば仕込み時とも言えるでしょう。
オーブスは時価総額ランキングでは100位前後を行き来している状態です。
ランキング順位だけを見ると100位以下ですので、注目度はあまり高くないかもしれませんが、2000種類を超える仮想通貨の中で100位ほどというのは実力のある通貨と言えるでしょう。
今後はオーブスが上場する取引所も増えていくものと思われますので、ORBSの価格についても期待がかかります。
オーブスの技術が完成し、世の中に普及していくにつれてニーズも高まっていきますので、現状よりは価格についても明るくなるでしょう。
時価総額ランキングの上昇も期待したいところです。
まとめ
イーサリアムやビットコインが抱えているスケーラビリティ問題を解決すべく立ち上がったオーブスですが、開発段階としてはまだまだ序盤です。
しかし、独自の技術でDappsのAWS化に成功すると、世の中への影響度は相当大きなものになると思われます。
現在すでに投資をしている人も、RPOSというステーキングシステムで報酬が入ってきますし、とても将来性のある仮想通貨と言えるでしょう。
ICOがすぐに売り切れたという人気・注目ぶりも大きな実績で、ICO割れしているとはいえ、今後を考えれば悲観することではないでしょう。
開発段階が序盤ということもあり、しばらくは価格の上昇はないかもしれませんが、2019年7月12日には韓国政府の化学賞とICTと協力し教育プログラムに参加することを発表しています。
国の機関とも協力するほどですので、その実力は本物と言えます。
今後の開発と、世の中への普及を期待しつつ、ステーキングでオーブスを増やしながら今後の価格についても注目していきましょう。