
仮想通貨は今や1,000種類以上あると言われてますが、その中でも世界的に知名度が高いのはビットコインと言えるでしょう。
そんなビットコインの開発者は「サトシナカモト」氏ですが、そのサトシナカモト氏は何者なのでしょうか。
そして、なぜサトシナカモトが日本人の金子勇氏である可能性が高いと言われているのか。
本記事では、金子勇氏について詳しく紹介していきますので、ぜひ参考にして下さいね。
そもそもサトシナカモトとは?
サトシナカモトとは、先ほども紹介した通りビットコインの開発者です。
中本哲志と表記されることもありますが、カタカナもしくはローマ字表記で表記されることが多いです。
仮想通貨は開発者が名乗り出ていることが多いですが、ビットコインの開発者であるサトシナカモト氏は9ページのブロックチェーン技術を用いたビットコイン構想に関する論文を発表しただけで招待は未だに謎に包まれています。
また、サトシナカモト氏に関しては名前から日本人であると推測されていますが、日本人なのか、そもそも個人ではなく複数名がサトシナカモトを名乗っているのかすら判明していません。
サトシナカモトが金子勇氏だと言われるのはなぜ?
サトシナカモトの正体が金子勇氏であると言われているのにはいくつか理由があります。
その理由が以下の3点です。
- P2P分野に精通している
- 金子勇氏が開発したソフトWinnyに類似している点が多い
- Winny事件の逮捕理由が理不尽なものであった
- 「勇勇」と書いて「さとし」と読む
それでは1つ1つを検証してみましょう。
P2P分野に精通している
P2P通信とは"Pear to Pear"と呼ばれる通信技術の略称を言います。
かつてコンピューターは、複数のコンピュータが1つのサーバーと通信を行うクライアント・サーバー方式を導入していました。
しかし、この通信方法だと複数対1で通信を行うことからサーバー側の負担が大きいです。
そこで、複数のコンピューターがお互いにクライアントとサーバー両方の役割を果たすことで、サーバー側に負荷が集中しないというメリットがあります。
このP2P技術が用いられているサービスにはLINEやSkypeなどが挙げられます。
そして、金子勇氏はP2P通信に関する技術において優れた技術を持ったエンジニアとして知られていました。
しかも、P2P技術に強いエンジニアは世界中でも限られており、知名度が高い人はかなり限られています。
ビットコインは2008年にリリースされてからの1年間、1人のエンジニアによってマイニングされていました。
1人でマイニングを行うというのは、ブロックチェーンに関する深い知識・技術を持っていないと難しく、P2P技術にかなり精通した人物でないとできないことです。
それに加え、サトシナカモトという名前や更新される時間が日本の早朝時間であることから、正体は日本人ではないかと言われていました。
日本人のコンピュータサイエンティストの中でも、P2P技術に詳しく著名な人物は数名程度しか存在しないため、金子勇氏の名前が上がっているのです。
金子勇氏が開発したソフトWinnyに類似している点が多いこと
金子勇氏は2002年にファイル共有ソフト"Winny"を開発しています。
このWinnyはP2P技術を用いたソフトであり、ビットコインに用いられている技術はWinnyの開発に使われている技術に近い部分があります。
ちなみにこの2つの共通点として下記の3点が挙げられています。
- どちらも開発言語にC++が使われている
- プラットフォームがWindowsである
- 更新の際の書き込み時間が日本時間の早朝である
Winny事件の逮捕理由が理不尽なものであったこと
金子勇氏が世間に名を知られるきっかけとなったのが、2004年頃に起こったWinny事件でした。
金子勇氏はファイル共有ソフトWinnyを開発したものの、著作物の違法な共有にもWinnyが使われるようになり、著作権法違反幇助で逮捕されることとなります。
しかし、金子勇氏は違法ファイルを削除する手段を用意していたのにもかかわらず、違法として逮捕されてしまいます。
Youtubeでテレビ番組などの著作物をアップロードした場合、Youtubeが著作権法違反で訴えられることは無いでしょう。
このように金子勇氏の逮捕理由は理不尽なものであると言えます。
「勇勇」を書いて「さとし」と読むこと
サトシナカモトの名前はナカモトが名字、サトシが名前と考えられるでしょう。
そして、ナカモトという名字は漢字表記だと「中本」と考える人が多いです。
中元、仲本なども考えられますが、一般的には「中本」が多いでしょう。
この中本という名字は、左右対称という特徴を持っています。
それに対して、サトシとして考えられる名前は「哲」「聡」などが挙げられますが、左右非対称の字は存在しません。
そこで、左右対称ではありませんが、金子勇氏の勇という字を2つ並べた「勇勇」と書いて「さとし」と読む例が存在します。
これも金子勇氏がサトシナカモトの正体ではないかと言われている理由の1つです。
金子勇氏はどんな人物?経歴は?

出典:WIRED
人物像
金子勇氏は日本だとWinnyの開発者として有名です。
2002~2003年頃、WinnyやShareなどのファイル共有ソフトがインターネットに詳しい人の間でよく利用されていました。
本来これはソフトウェア開発などをとりスムーズに進めるために開発されたものでしたが、アニメやドラマなどといった著作物もこれらを通して違法に共有されるようになってしまいました。
これが問題となり、金子勇氏は2004年に著作権法違反幇助にて逮捕されてしまいます。
Winny事件は社会問題となったので、この事件を覚えている人も多いのではないでしょうか。
そんな金子勇氏は、Winny開発以外にも高い技術力を持ったコンピューターサイエンティストとして華々しい経歴を持っています。
経歴
金子勇氏は1970年に栃木県下都賀郡都賀町に生まれました。
小学生の頃からプログラミングを学び、高校は栃木県内の進学校である男子校栃木県立栃木高等学校へ進学します。
この段階で既にプログラマーとしての才能は開花しており、高校在学時に旧情報処理試験におけるソフトウェア技術者試験である第一種情報処理技術者試験に合格しています。
その後1年間の浪人生活を経て茨城大学工学部情報工学科に進学し、同大学の大学院の博士号まで取得しています。
金子勇氏は大学院を卒業後、日本原子力研究開発機構の博士研究員として勤務しつつ、情報処理推進機構の運営するプロジェクト「双方向型ネットワーク対応仮想空間共同構築システム」にも参加することとなります。
その後、2002年に東京大学大学院情報理工学系研究科数理情報学専攻情報処理工学研究室(数理情報第七研究室)特任助手に任命され、その最中にWinnyを匿名掲示板サイト「2ちゃんねる」にて発表します。
しかし、Winnyをリリースした2年後の2004年に著作権法違反幇助で逮捕され、2006年に有罪判決が下ります。
しかし、これに納得がいかず、金子氏は控訴を行い、晴れて3年後の2009年に無罪となります。
その後、検察側が判決を不服として上告をしますが2011年に最終的に無罪となりました。
金子勇氏はこの裁判をしている最中に株式会社ドリームボード(後の株式会社Skeed)の顧問に就任、そして無罪判決が下りた後に社外取締役にも就任します。
Skeed社ではWinnyに用いていたP2P技術を使い、高速ファイル転送ソリューションをを提供しています。
その後は2013年に東京大学情報基盤センタースーパーコンピューティング研究部門特任講師に就任したものの、2013年7月6日に心筋梗塞のため死去しました。
サトシナカモトの100万BTCの行方
ビットコインは今や仮想通貨の中でも代表格となっており、100万BTCも所有しているのであれば、一部だけでも売却するものでしょう。
しかし、金子勇氏はビットコインブームが起こる前の2013年にこの世を去っています。
それに開発者であるなら家族でさえ安易に自分の開発物・遺産に触れられない状態にするのが当然と言えます。
また、100万BTCもの大金なら、ハッカーなどが狙う可能性もあるでしょう。
しかし、現段階で100万BTCを奪取できた者はいません。
それを考えると、この100万BTCはかなり強固なセキュリティ環境で管理されていると考えることができます。
したがって、この100万BTCはセキュリティに関する高い知識を持っている人物が所有していると言えるでしょう。
金子勇氏の技術力であれば、ハッカーなどから自らが所有するビットコインを守ることができる環境を構築できると考えられます。
しかし、金子勇氏は亡くなっているので、誰も手が付けられない状況であることを考えると、100万BTCがもう売られないことにも納得がいきます。
結局サトシナカモトは誰?
サトシナカモト氏の正体に関しては様々な説が存在しますが、このように複数の有力説があることを考えると金子勇氏である説が強いでしょう。
ちなみに金子勇氏以外にも様々な人がサトシナカモトの正体として謳われています。
望月新一氏

出典:望月新一@数理研
望月新一氏は京都大学の数理解析研究所に勤めています。
数学者としては世界的に知名度がある人物で、アメリカ育ちで英語にも堪能であることからビットコインの開発者ではないかと言われていますが、本人は否定しています。
ニック・サボ氏

出典:COIN CENTRAL
ニック・サボ氏はアメリカのジョージワシントン大学にて教授を務める人物です。
ニック・サボ氏は、過去にビットコインに近い技術を用いた仮想通貨開発に携わった経験があること、サトシナカモトが発表した論文の文体にニック・サボ氏が書いた論文の文体が似ていることからサトシナカモトの正体では無いかと言われています。
しかし、ニック・サボ氏に関しても本人が否定しています。
まとめ
謎に包まれているビットコインの開発者サトシナカモトの正体として名前が上がっている金子勇氏はすでに亡くなっているため、真相は闇の中です。
しかし、サトシナカモトの正体として最も有力なのは金子勇氏と言えるでしょう。
様々な技術者や学者がサトシナカモトの正体では無いかと疑われている中で、サトシナカモトの正体が判明する日は来るのでしょうか。