仮想通貨決済を導入するECサイトや家電量販店は増え始めていますが、その動きはタクシー業界にも広がっています。
ビットコイン決済ができるタクシー会社が誕生しているだけでなく、仮想通貨取引所との提携で実証実験を始めたタクシー会社も存在します。
海外でも仮想通過の決済導入が進んでいるため、今後更に広がっていく可能性があるでしょう。
日本のタクシーで仮想通貨決済が可能に?
日本のタクシーでは、少しずつ仮想通貨の決済が進んでおり、ビットコイン以外でも決済が可能なタクシー会社も登場しています。
カードや現金、電子マネー以外の選択肢が加わるのは大きなメリットで、キャッシュレス化を加速させるという意味でも注目を浴びています。
大きな特徴になるのが、スマホを使った決済の幅が広がることです。
アプリなどの専用ウォレットからコードの読み取りなどで仮想通貨の決済ができるようになれば、財布が不要になる可能性もあるのです。
訪日外国人が両替不要な決済手段として利用する可能性もあり、さまざまな面で注目されています。
仮想通貨決済が可能になっているタクシーの種類
ビットコイン決済を最初に導入したタクシーは、東京の永田タクシーです。
LEXUSを利用した個人タクシーで、bitFlyer(ビットフライヤー)決済に対応し、予約を行うことでビットコイン決済を行えます。
ビットコインの残高が不足していれば現金やクレジットカードなどで支払う必要があり、ビットコイン決済を行う場合は予約時に伝えておく必要があります。
また、東京23区から羽田・成田の両空港への送迎サービスに実証実験も行われています。
ビットポイントは日の丸リムジンと業務提携
企業としてタクシー業界で仮想通貨決済を導入したのは、ビットポイントと日の丸リムジンの業務提携が初となります。
東京23区から羽田・成田の両空港への送迎サービスを対象に2018年11月から2ヶ月間の実証実験が行われ、結果によって実際の導入が決まるものとされていました。
特徴的なのがビットコインだけでなくビットコインキャッシュ、イーサリアムでの決済が可能だったことです。
利用できる区間などが限られていたものの、ビットコイン以外の仮想通貨が決済に使えるサービス自体が珍しくなっています。
実験は2019年1月に終了していますが、そのデータが今後生かされる可能性があります。
ロシアのタクシーではビットコインキャッシュで支払い可能に
ロシアではビットコインの普及が進んでいて、政府がどのように規制するかを検討している間に民間でも利用されはじめています。
ロストフ・ナ・ドヌのタクシー運転手たちは、明らかに仮想通貨の利用許可が待てない人たちの一部です。最近ある若者が、地元ソーシャルメディアチャンネルで一枚の写真を共有しました。その写真は、ロシア南部の都市ではタクシーが仮想通貨支払いに対応していることを示しています。
特に有名なのがソーシャルメディアで拡散された写真です。
タクシーのダッシュボードにビットコインキャッシュ受け入れを示すステッカーが貼られていて、さまざまなメディアに取りあげられました。
タクシー会社がビットコインキャッシュの支払いを受け入れていたのか、個人的に受け入れを行っていたのかは不明ですが、仮想通貨の決済に目をつける人が現れ初めているのです。
イタリアでもビットコイン決済が可能
イタリアはビットコイン決済の導入が早く、2016年11月にはタクシー協会『Cooperativa RadioTaxi 3570』がビットコイン決済の受け入れを発表しています。
イタリア最大のタクシー協会Cooperativa RadioTaxi 3570はビットコインを受け付ける。彼らはローマで3,700台を誇り毎年1,000万台を出動させる。
わざわざ両替を行う必要がないためタクシーでのビットコイン受け付けは観光客にとって便利である。更に、支払った後からでもブロックチェーンで追跡が行えるビットコインならばドライバーもぼったくりを行う気が失せそうだ。
また、2017年10月にSant’Agostino社はビットコイン決済が可能なオークションを開催するなど、仮想通貨受け入れの先進国になっているのです。
ただし、仮想通貨取引所BitGrailで巨額の仮想通貨流出事件が起き、その後破産申請を行うなど仮想通貨を巡る事件も起こっています。
ナポリ市の市長が2018年9月に独自の仮想通貨発行を発表するなど、なにかとニュースが多い国でもあるのです。
タクシーをビットコイン払いでするメリット
海外旅行で両替が不要になる
タクシーをビットコイン払いにする最大のメリットは、海外旅行で両替をすることなく決済が行えることです。
通貨の両替は手数料の負担が大きく、大幅に目減りしてしまうケースもあります。
どこで両替するかで手数料が変わってしまうのもポイントで、旅行者を悩ませる一因にもなります。
クレジットカード決済も可能ですが手数料の負担がかかります。数%の手数料がかかるのが一般的なため、ビットコインの支払いの方が手数料が安くなる可能性が高くなるのです。
国内での決済よりも海外での決済の方法がメリットが目立つ部分になっています。
キャッシュレスで支払いが可能になる
ビットコイン払いをするためにはスマホなどのアプリを経由するのが一般的になります。
現金を利用しないため財布が不要で、手続きも簡単になる傾向があります。
仮想通貨普及のために利便性を追及する企業が多いのもポイントです。
簡単に決済ができなければビットコイン決済自体が普及しないためです。
QRコードを利用した決済も広まっていて、スピード化が進んでいるのです。
キャンペーンや話題性も注目のポイントになる
ビットコインの支払いを加速するためにキャンペーなどが行われるケースが存在し、決済することでお得になる場合があるのがポイントです。
また、話題性が高いため、話題の確保として利用するのも方法です。
タクシーでビットコイン決済をしたことがある人自体が少ないため会話の種にも使いやすいのです。
SNSでアピールするなど工夫をすれば注目を浴びるチャンスにも繋がります。
タクシー代をビットコイン払いでする注意点
急激な価格の変化がありえる
タクシー代をビットコイン払いでする場合の注意点は、急激な価格の変化がありえるということです。
ビットコインは日に数%の価格の変動が起きることは珍しくなく、知らない間に価格が上昇することや下落することがありえます。
そのため、決済のタイミングによっては現金やクレジット払いで決済をしていた方がお得だったということがありえるのです。
現地通貨換算や各種手数料を含めた費用で決済されることが一般的なため、ある程度の価格の変動があることに理解が必要です。
決済用のアプリやプラットフォームの違いに注意が必要
タクシー代をビットコイン払いする場合は、アプリや各種仮想通貨のプラットフォームを利用するのが一般的です。
問題は、自分が普段利用しているアプリやプラットフォームとタクシー会社が対応アプリなどが共通していなければ決済自体ができないことです。
例えば、ビットポイントは日の丸リムジンの実証実験では、
- ビットポイントに口座を持っていること
- ビットポイントの決済アプリをインストールしていること
が支払いの条件になっていました。
他の取引所のアプリで決済しようとしても支払い自体ができない状態だったのです。
取引所で共通して利用できるアプリや、より使いやすいビットコイン用のウォレットが誕生するかは非常に重要です。
ただ持っているだけでは意味がないため、受け入れる側がどれだけの範囲で対応できるかも重要になるのです。
海外で利用したい場合は海外のタクシーがどんなアプリでの受け入れを行っているかも調べる必要があり、場合によっては面倒な操作が発生する場合や、そもそも支払い自体ができない場合があるのです。
適性な価格なのか判断することが難しくなる
ビットコインの支払いをする場合は、現地通貨のレートに合わせて支払いが行われることになります。
注意したいのは、現地通貨のレートとビットコインの価格を正確に結びつけることが難しいことです。
そのため、悪質な業者が不当に高いレートを設定する余地なども生まれてしまうのです。
大手のタクシー会社などであればクレームによって返金などが行われる可能性もあります。
しかし、海外では問い合わせのハードル自体が高いだけでなく、会社ぐるみでレートの設定を不正に操作していた場合は返金対応自体を迫るのが難しくなります。
規約自体に手数料が高めに記載されていれば対処できない可能性もあり、適正な価格か確認することも難しくなってしまうのです。
個人業者や中小企業の場合はさらに確認が困難になるため、海外でビットコイン決済を使うリスクについても知っておく必要があります。
支払いができるタクシー自体が少ない
仮想通貨を利用した決済はまだ始まったばかりのため、仮想通貨の支払いができるタクシー自体が少ないという注意点もあります。
決済に利用できるタクシー会社を探す、あるいは予約することからはじめなければ支払い自体ができないため、移動に大きな制限がかかる場合があるのです。
まだまだ便利に支払えるという状況ではないことに理解が必要です。
タクシー代をビットコイン払いするのは今後広まっていく可能性はある?
自分の国でタクシー代をビットコイン払いするメリットはそれほど大きくなく、話題性などの付加価値に注目するかで評価が分かれます。
国内需要だけでタクシー代のビットコイン払いが広まる可能性は低く、訪日外国人などがどれだけ仮想通貨の支払いを好むかで分かれる部分があるのです。
一方で、決済手段があること自体をアピールしなければ技術の発展や需要の開拓も見込みづらいため、どのように一般に定着させていくかも課題になっています。
ビットコイン自体が課題を抱えており、処理の遅さなどがタクシーの支払いに向いていないという見方もあります。
より高速な決済が可能で、手数料が安い仮想通貨が増えているためです。
電子マネーや仮想通貨のタクシー代支払いは普及する可能性がありますが、ビットコインを中心になるかは不透明であると言えるでしょう。
仮想通貨のタクシーまとめ
タクシー代の仮想通貨の支払いはまだ普及の途上にあり、決済をできるタクシー会社とアプリなどの組み合わせを見つけること自体が大変です。
利用なら両替手数料自体を節約できるなどのメリットもありますが、反面信用できるタクシー会社でなければ不当に高い料金を請求される可能性もあります。
まだまだ問題点が多いことを踏まえ、それでも話題性を取って利用するかなど金銭などの価値とは別の面でメリットを見られるかが大切な段階なのです。