
金融商品の一つに先物取引があります。
これは将来の売買についてあらかじめ現時点で約束をする取引のことで、売買の価格や数量などを約束だけしておいて、将来の約束の日が来た時点で、売買を行うという取引になります。
これにより価格変動リスクを回避できるという利点があることから、農作物を中心として古くから行われてきた取引です。
先物取引の対象範囲は常に変化しており、現在は農作物はもちろんのことあらゆる資源などがカバーされています。
そんな先物取引の大手取引所が、今回紹介するCME(シカゴマーカンタイル取引所)です。
このCMEは、ビットコインを対象とした先物取引を行うようになって話題となりました。
この記事では、CMEの特徴や注意点、評判や購入方法について解説していきます。
これを読めばCMEやビットコインの先物取引に関する話題などをより知ることができるでしょう。
CME(シカゴマーカンタイル)取引所のwiki的基本情報
仮想通貨取引所名 | CME(Chicago Mercantile Exchange:シカゴ・マーカンタイル取引所) |
独自トークン有無 | - |
設立日 | 1898年 |
運営会社 | CME(Chicago Mercantile Exchange:シカゴ・マーカンタイル取引所) |
CEO | Craig S. Donohue |
取引所がある国 | 米イリノイ州シカゴ |
公式ホームページ | https://www.cmegroup.com/ja/ |
登録ユーザー数 | - |
日本語対応 | ○ |
日本人対応 | - |
アプリ対応 | - |
@CMEGroup | |
/CMEGroup | |
/cmegroup/ | |
- | |
YouTube | user/cmegroup |
TelegramID | - |
CME(シカゴマーカンタイル)取引所とは
CMEは、1898年に開設されたアメリカ合衆国のシカゴにある先物やデリバティブ商品を取り扱う取引所です。
様々な商品を上場していることで有名な取引所となっており、取引量は世界最大と言われています。
日本関連の先物も取り扱っており、日経平均の株価指数を取引する日経平均先物が日本の投資家の中でも有名です。
2017年からBTCを投資対象にした
このCMEですが、2017年末から仮想通貨のビットコインを投資対象にしたのです。
仮想通貨取引所ではなく、しかも伝統ある従来の先物取引所が仮想通貨の価格の先物取引を始めたことは大きな話題となりました。
CMEがビットコインを投資対象としたことにより、アメリカ国内の他の取引所も先物取引としてビットコインを取り扱う動きが出てきたのです。
扱うのは米ドル建ての差金決済取引
CMEで扱うビットコインの先物取引商品の概要についてもお話しします。
CMEのビットコイン先物は、BRR(一日に一度算出)をベースとする米ドル建ての差金決済取引です。
端的に言うと、CMEの独自指数BRRを元に算出されたレートでレバレッジがかけられる現金の決済です。
BRRは、CMEグループとクリプト・ファシリティーズ社(※)との共同開発によるビットコインのドル建て参考基準レートと呼ばれるものになります。
仕組みは、主要ビットコイン取引所の取引フロー(取引の流量)を集計することで算出している数値です。
この数値には、欧州の老舗仮想通貨取引所のBitstamp、アメリカの大手仮想通貨取引所のCoinbase、アメリカのビットコイン専門通貨取引所のitBit、アメリカンの初期から仮想通貨の取り扱いを行っているKrakenと言った欧米の仮想通貨取引所の数値をもとに採用しています。
世界最大の仮想通貨取引所である香港のBinanceなどアジアの価格を反映していないというのが特徴ですが、若干の数値の違いはあるもののビットコインの価格相場に対してかなり忠実に価格を反映させている数値でもあります。
休場時間があり直接取引とは異なる
また、24時間世界のどこかで取引されているビットコイン自身と異なり、このビットコイン先物は取引に休場時間があります。
休場時間は、他の為替取引などの金融商品同様、米国中央時間(CT)の日曜日から金曜日、午後6時から翌午後5時(日本時間で午前8:00~翌午前7:00)の23時間以外の時間、つまり1時間の休場時間があります。
更に、サマータイムがあるので1時間早まることもありますから注意してください。
加えて定期的に土曜日やアメリカの祝日は取引が停止するなど、ビットコインの直接取引とはやや異なったスケジュールになっています。
ちなみに先物は1契約は5BTC以上、日本円にして最低でも500万円相当以上の資金が必要となるため、大口の機関投資家向けのサービスとなっています。
CME(シカゴマーカンタイル)取引所の特徴
CMEの特徴は、先物取引を行っていること、大口の機関投資家が対象であること、大手取引所であること、休場時間があること、そしてビットコインの先物取引には取引上限が設けられていることです。
それぞれの特徴を詳しく見ていきましょう。
先物取引を行っている
CMEは、ビットコインの売買を直接行っているのではなく、仮想通貨取引所の価格を利用した先物取引を行っているというのが特徴です。
そのため、ビットコインを実際に保有せずに米ドルで売買を行うことができるというメリットがあり、仮想通貨の専用口座を持っていなくとも取引が可能です。
大口の機関投資家が対象である
大口の機関投資家が対象という点も特徴です。
通常の仮想通貨取引所では、最小単位のsatoshi(0.00000001 BTC)からでもビットコインを購入できる場合があるのに対し、CMEは5BTC以上からでないと購入できないばかりか、1口5BTC相当なので最低500万円相当の日本円、2口契約をしようと思ったら1,000万円程度必要です。
そのため、個人レベルではなかなか難しく機関投資家のような組織的に投資を行う集団を対象とした取引を行っているのが特徴です。
大手取引所である
CMEは仮想通貨の関連商品を取り扱う企業として非常に大きいという特徴があります。
基本的に、仮想通貨取引所の多くは中小企業かどんなに大きくても比較的規模の小さな大企業、時に個人事業主レベルの仮想通貨取引所すら存在するというのが現実です。
しかし、CMEは3.3 billion USD(日本円換算で3,500億円相当)もの売り上げを誇る大企業で、しかも伝統のある世界最大級の先物取引所となっています。
この規模の取引所がビットコインを直接取り扱わないとはいえ、派生の金融商品である先物取引を取り扱うということはビットコインにとって大きな影響を与えます。
休場時間がある
休場時間があることも特徴です。
通常の仮想通貨取引所では24時間不定期のメンテナンスを除いては基本的に常に動いています。
しかし、ビットコインを直接扱わないCMEは、先ほどもお話しした通り休場時間があるため、これを利用して取引を行うことができます。
取引上限が設けられている
ビットコイン先物の取引制限があるというのも特徴です。
取引制限は価格の乱高下を避ける目的があり、現在は月2,000契約(1万BTC、1億ドル相当)に設定されています。
ただ、2019年前半まではその半分の制限だったため、今後増えていく可能性もあると言えます。
CME(シカゴマーカンタイル)取引所を利用する際の注意点
CMEを利用する際の注意点ですが、個人で直接利用できない点、大口の契約が必要である点、日本の場合は米ドル建てのため為替の影響を受ける点が挙げられます。
個人で直接利用できない
CMEは、アメリカ在住の場合、一定の基準を満たせば個人でも利用できます。
しかし、日本在住の場合は、証券会社などを介して取引する必要があります。
通常の仮想通貨取引所のように個人でアカウントを作成して取引を開始するということができないのです。
こういった点があるため注意が必要と言えます。
大口の契約が必要である
大口の契約が必要であるという点も注意です。
特徴でもお話しした通り、CMEは1契約当たりの金額が大きく、個人ではなかなか用意できない場合も多いと言えます。
個人の小遣いで行っているような小口投資家にはなかなか敷居が高くなっているのです。
米ドル建てのため為替の影響を受ける
また、CEMは米ドル建ての商品ばかりなので、例えば先物で利益を上げたとしても日本円に戻すタイミングを間違えると為替の影響で意外な損失を被ることがあります。
このように、CMEは大手の取引所だからこそ敷居が高く、様々な面で個人投資家の壁となっている点も見られるため注意が必要です。
CME(シカゴマーカンタイル)取引所の評判(口コミ)
CMEの評判について仮想通貨の観点から見た評判を見ていきます。
BTC速報:CMEが提供するビットコイン先物の取引制限を2倍にする申請書類をCFTC(米商品先物取引委員会)に提出。 #CFTC が反対しない場合、#CME ビットコイン先物の取引制限は現在の5000BTCから1万BTCへと増加する#ビットコイン #Bitcoin #仮想通貨 #BTCFX #ビットコイン先物
— ひまり@暗号通貨 (@SendStan) 2019年10月2日
取引量が倍になることは大ニュースです。
#仮想通貨速報 CME、現物のBitcoin先物の予定はないと発言 #仮想通貨 #Bitcoin #ビットコイン
— Beetalk (@beetalk_jp) 2019年10月2日
現物取引は行わなわずあくまで今の商品にこだわるというニュースを聞いています。
BTC速報:世界最大手先物取引所CMEのビットコイン先物のコントラクト数が33,700(16.8万BTC)コントラクトを超え、過去最高を記録。想定元本は約1,100億円となり、今年4月2.2万コントラクトより50%も増加する #ビットコイン #Bitcoin #仮想通貨 #CME #ビットコイン先物
— さな@暗号通貨 (@clauste_norio) 2019年10月1日
CMEの取引量は非常に増えていると発言しています。
ビットコインの相場に直接影響を与えることはありませんが、間接的には大きな影響を持っていると言えます。
CME(シカゴマーカンタイル)取引所で先物を買うには
CMEで先物を買う場合、日本では証券会社を通じて間接的に購入するという方法があります。
取り扱いのある日本の証券会社は、2019年現在「楽天証券」と外資系の証券会社である「インタラクティブ・ブローカーズ証券(IB証券)」の2つのみとなっています。
さらに、購入できる先物も限られており、楽天証券では数種類のみの取り扱いでビットコインの先物は購入できません。
また、インタラクティブ・ブローカーズ証券(IB証券)では、商品の中にCMEのビットコインの先物がリストアップされていましたが、アメリカの仮想通貨に関連する規制は厳しいため、日本在住でこの商品が購入できるかは、やや不透明です。
このように間接的に購入するという形になるため、利益も証券会社に一部手数料として支払う必要があり、直接取引するよりもやや利回りが落ちる可能性があります。
CME(シカゴマーカンタイル)取引所のまとめ
CMEは世界最大級の先物取引所でビットコインの先物取引を扱っています。
巨大な取引所であるCMEは、先物とはいえビットコインの価格に、間接的ではありますが大きな影響を持っているのです。
日本在住の場合は直接購入ができない、最低でも500万円相当の日本円を用意する必要があるなど、日本の個人投資家にとっては敷居の高い取引所と言えるでしょう。