
リップル(XRP)は、仮想通貨の中でも時価総額の上位に位置するコインです。
時価総額ではビットコインとイーサリアムに次いで第3位に位置しており、一時的にイーサリアムと逆転して第2位になった時期もあります。
それほど人気の高い通貨ですが、他の仮想通貨に比べて独自性があり、激しい価格変動も起こりがちです。
仮想通貨は国家の管理を受けない通貨であるため全般的に価格変動の激しい点が特徴ですが、リップルに関しては価格変動以外にも、他の通貨の値動きと違った独自の動きをすることもあります。
独特の特徴からリップルには根強いファンが存在し、将来有望な仮想通貨として高い評価を獲得しています。
一方で、注目を集めるがゆえにその将来について否定的な見解を持つ人もいて、評価が分かれる面もあります。
そもそもリップルはブロックチェーンではない
仮想通貨は、ブロックチェーンという根幹技術によって支えられている点に大きな特徴があります。
分散型システムであり、取引記録がブロックチェーン上に記載されることによって運営管理されています。
ブロックチェーンが存在することにより、国などの特定の管理者がいなくても仮想通貨が安全に取引されています。
ブロックチェーンを使用していない
ところが、リップルは仮想通貨を特徴づけるこのブロックチェーンを使用していない点に独自性があります。
仮想通貨においては、取引データの承認を「マイニング」と呼んでいます。
承認作業はネットワーク上の不特定多数のマイナーと呼ばれる人たちによって行われ、マイニングを行うことでマイナーは報酬を得ることができます。
そのため多くの人や事業者がマイニングに参加しています。
承認作業は特定の承認者が行っている
しかし、リップルはこの承認作業を不特定多数ではなく特定の承認者に限っている点が特徴的です。
そのため取引の承認がスムーズに行われ、スピードを上げることが可能になっています。
中央集権色の強い仮想通貨
リップルは分散型台帳によって取引の管理を行っていることはビットコインなどと変わりませんが、ブロックチェーンを使用しているのではなく、「XRP Ledger」と呼ばれるリップル独自の分散型台帳を使用しています。
仮想通貨はそもそも特定の管理者がいない非中央集権型ですが、リップルはリップル社が取引承認などに関して大きな権限を有するように中央集権色が強いのが特徴です。
リップルに将来性がないと思われる理由
リップルは将来性に期待の持てる通貨というのが一般的な認識ですが、一方で将来性について疑問視する声もあります。
ここでは、リップルに将来性がないという声がある理由を5つの視点でみていきましょう。
他の仮想通貨とは一線を画する特徴がある
一般的な仮想通貨では、パソコンや設備があればマイニング作業は誰でも行うことが可能です。
このことが仮想通貨市場の公平で透明性の行き届いた取引を担保するものになっています。
しかしリップルにおいては、マイニング作業はリップル社が定めた特定の承認者に限られており、仮想通貨の魅力的な特徴に合致していないという見方があります。
リップルは仮想通貨としての要件を本当に満たしているのかという危惧の声もあり、リップルの仕組みに対して疑問を持つ人が一定数存在します。
大量のリップルをリップル社が保有しているリスク
リップルは大量の発行済通貨がありますが、その多くをリップル社が保有しており、このことが通貨に大きな影響を与える点が憂慮されています。
仮にもしリップル社が保有する通貨を大量に手放せば、価格の急激な下落リスクがあるからです。
中央集権的であるため送金スピードの速さなどのメリットがありますが、逆にリップル社の意向によって大きく価格が変動するデメリットも考えられるのです。
リップル社ではこの疑念を解消するため、ロックアップの対策を実施しています。
ロックアップとは、リップル社が保有している通貨を売りに出さない期間を設けることです。
期間限定ではあるものの、このことによってユーザーに安心感をもたらしています。
ロックアップ後は少しずつ通貨を開放する仕組みを取っており、市場に大きな影響を与えないようにする配慮はされていますが、まだ完全には疑念が払拭されていないという声もあります。
プラスのニュースが必ずしも価格上昇に反映されていない現状
リップルの値動きそのものに対して不安を感じる投資家もいます。
リップルは優れた機能性から大企業と提携するなど、様々なプラスのニュースが多く伝えられる通貨です。
ところが、通常であれば価格の上昇つながるようなポジティブなニュースが発生しているにもかかわらず、価格にあまり反映されないという傾向が続いています。
そのため値動きに影響を与える要素をつかみにくく、投資のしにくさを感じさせる点にもなっています。
仮想通貨全体が法定通貨に比べて予想外の値動きをする傾向が大きいため、リップルだけが特徴的というわけではありませんが、その中でもリップルは予想外の価格の上昇や下落が発生することがあるため、将来性について疑問が起こる理由にもなっています。
送金システムの変革が起きる時期が不透明
リップルは送金システムに対して革新的な状況をもたらす可能性のある通貨です。
このことはもちろんリップの将来性に大きな期待が持てる点ですが、このような送金システムの革新的な進歩がどの程度の期間で実現するのかについて、まだ不透明な部分があります。
リップル自体の価格が低迷すれば、通貨に対する信頼性が高まらない懸念もあり、将来的な不透明さがリップルの期待に対して疑問を抱く声にもつながっています。
発行枚数の多さが価格上昇にブレーキをかける疑念
リップルの発行済通貨は、1000億XRPという非常に大きなものです。
ビットコインとリップルは共に人気通貨ですが、単位での価格はリップルの方がはるかに小さい額です。
それは、リップルに比べてビットコインの発行枚数が格段に少ないことが要因になっています。
発行枚数が少なければ、希少価値が高まり、価格上昇の要因になることもあります。
リップルはそもそも発行枚数が多いため、価格上昇につながりにくいという主張をする人もいます。
リップルのメリット
リップルが高い時価総額や人気を集めているのは、通貨の持つ優れた機能性に理由があります。
リップルのメリットについて、4つの点から述べてみます。
素早い送金スピード
リップルは国際送金に優れた機能性を発揮する通貨です。
現行の国際送金では、中継の銀行が間に立って送金に一定の時間がかかります。
送金スピードの遅さは、円滑な取引において時間的ロスが発生するため効率的とは言えない状況です。
しかし、リップルを利用することにより、国際送金にかかる時間が大幅に短縮されます。
一般的に仮想通貨は送金スピードに優れていますが、その中でもリップルは特に高速送金が可能で、処理速度は3~4秒程度という速さです。
圧倒的な手数料の安さ
国際送金においては複数の銀行を経由するため、その分手数料も高くなります。
この欠点を解決できるのがリップルです。
リップルを利用すれば、法定通貨の間にリップルが架け橋となってシンプルな国際送金が可能になります。
国際送金にかかる手数料を圧倒的に抑えることができるため、リップルを使用することによるコスト削減に大きな期待ができます。
有名な金融機関や企業との提携が進んでいる
リップルは、リップルネットと称するネットワークに多くの有名な金融機関や企業が参加しています。
実用化が進んでいくことでリップルの価値が大きくなる期待が持たれています。
国内の大手銀行の中にもリップルネットに参加している銀行があります。
このようなネットワークが世界中でさらに拡大されることによって、必然的にリップルの実用範囲の広がりに大きな影響をもたらすと考えられます。
リップルには根強いファンが多い
リップルは根強いファンが多い仮想通貨であることも大きな特徴です。
他の通貨に比べて独自性があり、機能面で優れている点がリップルに対する熱意あるファンを作っている要因になっています。
固定のファンが存在することは、リップルの購入に意欲的な層が安定的にいるということにつながっています。
これはリップルの価格維持や上昇にプラスの影響を及ぼす要因と考えられます。
結局リップルは将来どうなる可能性がある?その理由は?
リップルが中央集権的であることは、機能面で優れた特徴を発揮する要因になっている面がありますが、一方で不透明性をもたらすデメリットにもなっています。
今後リップルがユーザーや投資家の不安を払拭する透明性を確保し、投資先としての信頼性も高くなれば価格の高騰が期待できるでしょう。
機能面では大きな優位性を持つ通貨であるため、多くの金融機関や企業がリップルを国際送金の手段として実用化に向けて動き出す機運が高まっています。
この機運がさらに広がっていけば、リップルの将来性は非常に希望が持てるものになるはずです。
もちろん、仮想通貨市場全体の盛り上がりがリップルの価格にも影響を及ぼします。
仮想通貨の機能性や革新性が広く世間に認識されるようになれば、リップルの価格にも好影響を与えるのは言うまでもありません。
まとめ
リップルに対しては、肯定も否定も含めて様々な意見がありますが、それだけリップルが仮想通貨として注目を集めている証明でもあります。
現状では値動きの幅が大きく、その点で見れば投資家にとっては安定的な投資先とは言い難いでしょう。
しかしリップルの取り扱いを行う仮想通貨取引所は世界的に増えており、流動性が大きくなる可能性には期待が持てます。
将来性まで含めて考えれば、長期保有によって価格が高騰する可能性もあり、今後の展開が注目される通貨の一つです。
投資に関しては、仮想通貨リップルの持つメリットやデメリットの双方を理解した上で行うことが大切です。