
JPモルガンが独自の仮想通貨「JPMコイン」を発行
アメリカ・ニューヨークに本拠を置く、世界的にも有名な大手銀行のJPモルガンが、独自の仮想通貨を発行したとCNBCが報じました。
独自通貨は「JPMコイン」との名称で、アメリカ国内の銀行が独自通貨を発行したことは前例がなく今回が初めてのこと。
JPモルガンと仮想通貨といえば、同行CEOのジェームズ・ダイモン氏が発言した「ビットコインは詐欺」が波紋を読んでいました。
そのため、JPモルガンは仮想通貨に対しては懐疑的な立ち位置かと思われていましたが、ここにきて独自の通貨を発行するにまで至ったことで、JPモルガンの動向の変化に今後を期待する声が高まっています。
世界的に有名な銀行が独自通貨を発行したことによって、どのように活用していくのか、アメリカ国内の他の銀行や、世界の銀行にどのような影響を与えていくのでしょうか。
JPMコインとは
JPモルガンが今回発行した独自通貨は「JPMコイン」。
JPMコインを利用したサービスは、数か月後に小規模での試行を計画しているという。
「JPMコイン」は、同行のエンジニアチームによって開発されたもので、ステーブルコインとよく似たシステムとのこと。
しかし、その通貨を利用できる対象者はごく一部の人に限定されており、企業や銀行、ブローカーなど、同行の大手顧客がその対象となる模様です。
そのため、一般投資家がこの通貨を購入することは現時点では難しく、その使用用途については仮想通貨と大きく異なっているものと思われます。
JPMコインの利用方法
具体的な利用法として、まず顧客がドルの手付金を支払った時点で、その金額と同額のトークンが新規発行されます。
決済が完了した段階でトークンが消滅し、トークンと同額分のドルが支払先の顧客へと渡るという仕組みとなっています。
この仕組みが実現することで、大型の決済や送金、即時決済を行う際に、ブロックチェーン上に記録を残すことが可能に。
同行のデジタル資金サービス・ブロックチェーン担当責任者のウマル・ファルーク氏は、独自通貨の発行に関して、
「顧客口座とJPモルガンの口座の間で、新たな技術を使った資金移動の実験に成功した」
と述べています。
すでに実験が成功しており、実用化はそう遠くない時期に実現しそうです。
また、JPMコインを利用するメリットについて、
「顧客のカウンターパーティーリスクと決済リスク、資本要件を低下させ、迅速な資金移動を可能にするという点で、ブロックチェーン利用におけるJPMコインのメリットは大きい」
と説明しています。
JPMコイン3つのアプリ
JPモルガンのブロックチェーン・プロジェクト代表のUmar Farooq氏によれば、JPMコインを利用したアプリケーションが3つあるとのこと。
大企業による国際決済
まず1つ目のアプリケーションは、大企業の国際決済のためのもの。
現在のSwiftのようなネットワークでは、国際決済が完了するまでに1日以上の時間をようすることも。
JPMコインを活用することで、同日に決済を完了することができるリアルタイム決済が可能となります。
債権取引
2つ目のアプリケーションは、有価証券取引用のアプリ。
同行は2018年4月にブロックチェーン上での債券発行のテストを行い、カナダ銀行とともに、1億5000万ドル(約165億円)にも及ぶ決済ミュレーションを行っていました。
このシステム導入で、振り込み時間と受け取り時間そのギャップが埋め合わせられるとしています。
大企業向け財務サービス
3つ目のアプリケーションは、大企業を対象とした財政サービスのためのアプリ。
このサービスを利用すると、子会社を抱える大企業で、子会社が抱えている従業員や供給会社への支払いのために送金していたドルをJPMコインに置き換え、それにかかっていたコストを削減することが可能となります。
JPMコインの今後の展開
JPMコインの今後の展開としてFarooq氏は、
「今後、ブロックチェーンの技術が追い付けば、インターネットにつながったデバイス上での決済の利用も考えている。」
と言及し、インターネット上での決済を視野に入れていることがわかりました。
初期は大手顧客のみが対象になりますが、一般人にも利用できる日が来るのでしょうか。
今後の普及に期待が集まります。
【参考文献】