プライベート型ブロックチェーンとは?特徴・事例・今後の課題まとめ

ブロックチェーンと一口に言っていますが、ブロックチェーンは、

  • パブリック型ブロックチェーン
  • パーミッション型(プライベート型)ブロックチェーン

の二種類に大別できます。

この記事では、プライベート型ブロックチェーンを中心にブロックチェーンについて解説します。

プライベート型ブロックチェーンとは

プライベート型ブロックチェーンとは

参加者が限定されているのがパーミッション型ブロックチェーン

ブロックチェーンは、ネットワークへの参加者を限定するかしないかでパブリック型とパーミッション型に分かれます。

この内、ブロックチェーンネットワークへの参加者を限定するものが、パーミッション型ブロックチェーンとなります。

参加者が限定されているために、不特定多数のネットワーク参加者がいるパブリック型ブロックチェーンよりも、管理者が許可した特定数のネットワーク参加者しかいないパーミッション型ブロックチェーンの方が情報の秘匿性が高くなっています。

プライベート型ブロックチェーンは管理者が単独

パーミッション型ブロックチェーンは管理者が単独であるか複数であるかによって、「プライベート型ブロックチェーン」「コンソーシアム(協会)型ブロックチェーン」に分かれます。

管理者が単独であるプライベート型ブロックチェーンの方が、より情報の秘匿性が高くなっています。

したがって、プライベート型ブロックチェーンとは、「単独の管理者がブロックチェーンネットワークへの参加者を限定する最も情報の秘匿性が高いブロックチェーン」となります。

プライベート型ブロックチェーンの特徴

プライベート型ブロックチェーンの特徴

情報の秘匿性

プライベート型ブロックチェーンの最大の特徴が、情報の秘匿性です。

ブロックチェーンには、大きくパブリック型とプライベート型の二つがある。前者は誰でもいつでも参加できる形態で、仮想通貨などで利用されている。一方、後者は参加の許可が必要であり、管理者がコントロールする形態。

「医療情報においては、閲覧者である医師などを認証する必要があるし、自分の情報管理のために本人認証も必要になる」(水島氏)ため、医療での活用はプライベート型が基本となる。

引用:日経デジタルヘルス

管理者がブロックチェーンネットワークへの参加者を制限できるので、特定数にしか情報が公開されません。

顧客のプライバシーなどを守れるために、ブロックチェーン技術を取り入れている企業はプライベート型ブロックチェーンを利用することで、顧客情報流出を防げるのです

スピーディーな取引

プライベート型ブロックチェーンの特徴の一つとしてスピーディーな取引が可能というものがあります。

ブロックチェーンは、“ノード”と呼ばれるブロックチェーンネットワーク参加者のコンピューター全てに取引情報が保存・共有される仕組みになっています。

このため、取引を行う場合に全てのノードに情報を行き渡らせる必要があります。

誰でもノードになれるパブリック型と違い、管理者がノードを指名して特定数のノードしか存在しないプライベート型ブロックチェーンの方が、情報が行き渡るスピートが早く、よりスピーディーに取引することができるのです。

パブリック型ブロックチェーンを活用した仮想通貨は、ビットコインが代表的です。

一方、ブロック型ブロックチェーンを活用した仮想通貨はリップルがあります。

ビットコインは取引承認スピートが約10分なのに対し、リップルは取引承認スピートが約5秒と非常にスピーディーな取引が可能となっています。

手数料の安さ

プライベート型ブロックチェーンには、手数料の安さという特徴もあります。

手数料の安さの理由の一つは、ノードの少なさです。

ノードが少ないために手間がかからずコストが安くなるので手数料が安くなります

もう一つは、マイニング報酬を払う必要がないからです。

ブロックチェーンとは、約10分ごとに取引記録を区切って一つのブロックを作ります。

これを前のブロックと次々とチェーンのように繋げていくからブロックチェーンと呼ばれます。

ブロックとブロックが繋がる際に、情報に間違いがないかを確認して承認するマイニングという作業があります。

パブリック型ブロックチェーンでは、誰でもなれる“マイナー”と呼ばれる人が行います。

マイニングに成功すると、マイニング報酬というものが支払われます。

ビットコインの場合、日本円に換算すると何百万円という報酬が支払われます。

それに対し、プライベート型ブロックチェーンでは信頼できる特定数の人だけがネットワークに参加しているので承認する必要がなく、マイニング報酬を払う必要がありません。

マイニング報酬を支払う必要がないため、プライベート型ブロックチェーンの取引は手数料が安くなっているのです

プロトコルが変更しやすい

企業がブロックチェーン技術を取り入れてビジネスを行う場合、プロトコルを変更する事態が発生することが珍しくありません。

プライベート型ブロックチェーンは、管理者が指名したノードしかネットワークに参加していないから容易に管理できる中央集権型のシステムとなっているため、必要な時に用意にプロトコルを変更可能となっています。

不正が発生しやすい

プライベート型ブロックチェーンには、悪い特徴もいくつかあります。

そんな特徴の一つが、不正の発生しやすさ。

プライベート型ブロックチェーンは管理者への信頼で成り立っていると言っても過言ではありません。

管理者がこの信頼を裏切る場合、取引データなどを容易に改竄できるので不特定多数の人が監視をするパブリック型ブロックチェーンと比べて遥かに不正が発生しやすいという悪い特徴があります。

発展性の低さ

ブロック型ブロックチェーンで仮想通貨を発行する場合、管理者が管理しているネットワーク内のみで有効な仮想通貨しか発行できません

このため、発展性の低さが悪い特徴としてあります。

カウンターパーティリスク

プライベート型ブロックチェーンは、カウンターパーティである管理者がブロックチェーンの要となっています。

管理者が破綻してしまうと、ブロックチェーンネットワークが崩壊するカウンターパーティリスクがあるという悪い特徴もプライベート型ブロックチェーンにはあります。

カウンターパーティリスク(英語: Counterparty Risk)とは、経済・金融分野の用語で、「取引先(英語から、カウンターパーティとも)が破綻するなどして契約が履行されずに損失を被るリスク、または当該損害金額」を指す。

カウンターパーティ信用リスク(英語: Counterparty Credit Risk)とも。

信用リスクの一種、もしくは信用リスクに包含される概念。

引用:Wikipedia

プライベート型ブロックチェーンとパブリック型ブロックチェーンの違い

プライベート型ブロックチェーンとパブリック型ブロックチェーンの違い

プライベート型ブロックチェーンと、パブリック型ブロックの違いの根本は“管理者の有無”です。

管理者不在のパブリック型ブロックチェーン

パブリック型ブロックチェーンは管理者が存在していません。

このため、パブリック型ブロックチェーンを利用した取引はブロックチェーンネットワークに参加している(誰でも自由に参加可能)不特定多数のノードやマイナーが関与して承認して相互監視の状態で参加者全員が共同で管理をしています。

このようなシステム形態は不正防止の能力は非常に高いですが、取引データを誰でも自由に閲覧できるので情報の秘匿性はありません。

パブリック型ブロックチェーンの代表的な存在であるビットコインの取引も、「chainFlyer」などで取引の全てを閲覧することができます。

管理者がいるプライベート型ブロックチェーン

それに対して、プライベート型ブロックチェーンは管理者が存在しています。

管理者がノードの指名などをしてブロックチェーンシステムを統治しており、情報閲覧は特定数の人しかできないので情報管理が厳重です

ただし、管理者の権限が強い中央集権型のシステムなのでパブリック型ブロックチェーンに比べて不正がしやすいというデメリットがあります。

プライベート型ブロックチェーンを活用した事例

プライベート型ブロックチェーンを活用した事例

リップル

プライベート型ブロックチェーンを活用した代表的な事例が、仮想通貨のリップルです。

プライベート型ブロックチェーンであるリップルは、パブリック型ブロックチェーンのビットコインとは比べ物にならないほどスピーディーに取引が可能となっています。

取引スピードは1/120という圧倒的な早さです。

また、ノードとしてマイクロソフトやSBIといった世界的な大企業が参加することで、不透明になりがちなプライベート型ブロックチェーンの信頼性を飛躍的に高めています。

日本ジビエ振興協会のジビエ食肉トレーサビリティシステム

一般社団法人の日本ジビエ振興協会という法人があります。

この法人は、「mijin」というプライベート型ブロックチェーンを採用して食肉のトレースアビリティシステムを構築しました。

食肉トレーサビリティシステムとは、商品生産段階からの流通経路を追跡可能にするシステムです。

プライベート型ブロックチェーンmijinを使用した食肉トレーサアビリティシステムは、食肉加工地でmijinに商品データを記録し、流通過程の拠点や業者などで履歴を記録します。

もし流通データに改竄があればすぐに検知して追跡できるので、食肉の安全性を担保することが可能となっています。

ジャパンネット銀行が契約書締結に活用

まだ実験段階ですが、ジャパンネット銀行はプライベート型ブロックチェーンのmijinを契約書締結に活用しました。

企業間で契約書締結をする際に、データをノードが保管するブロックチェーンならば管理者が意図的に改竄しない限りデータの改竄が難しいので活用されました。

プライベート型ブロックチェーンの課題

プライベート型ブロックチェーンの課題

プライベート型ブロックチェーンは、参加者を管理者が限定するため権限が非常に強くなっています。

このため、プライベート型ブロックチェーンシステムの信頼性が管理者に依存する側面が強いので、プライベート型ブロックチェーンを活用してビジネス展開する場合は信頼性をどうやって担保するかが課題となります。

リップルのように有名大手企業をノードにするなどが必要になってくるでしょう。

プライベート型ブロックチェーンのまとめ

プライベート型ブロックチェーンは、管理者が認定した特定数の参加者しかネットワークに参加しない情報の秘匿性が高いブロックチェーンシステムです。

従来の分散型データベースの上位互換と言えるので、プライベート型ブロックチェーンに置き換えて、各ブロックが台帳としての役割を果たすことによる情報の保管や外部からの情報改竄対策などブロックチェーンシステムのメリットを取り入れやすくなっています。

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