
仮想通貨と言えばビットコインを思い浮かべる方が多いでしょう。
2017年の仮想通貨の全面高の際も、市場をけん引したのはビットコインでした。
しかし、イーサリアムもまた、代表的な仮想通貨で、ビットコインとともに仮想通貨市場を盛り上げてきた存在です。
スマートコントラクトを実装しているイーサリアムは、日常生活におけるありとあらゆる契約に関わる仕事に取って代わるポテンシャルを有しています。
しかしながら、現在のところ実用化に向けて大きな進展は見られておらず、イーサリアムの価格は下落が続いている状況です。
イーサリアムの将来性に期待して投資した人は、その将来性に不安を持ち始めているかもしれません。
そこでここでは、ここまでのイーサリアムの下落の要因、今後の懸念材料と将来性について詳しく紹介していきます。
イーサリアムが下落した要因
まず、イーサリアムが下落した要因についてですが、以下のような要因が挙げられます。
ICO需要の減少
まず、直近のICO需要の減少が挙げられます。
2017年後半から2018年前半にかけて多くのICOが行われてきましたが、そのうち80%以上がイーサリアムをベースにしたトークンでした。
このICOの盛り上がりに伴うイーサリアムの需要増加を受けて、イーサリアムの価格は上昇していたところもありましたが、2018年中ごろからICO件数が激減しました。
これに伴いイーサリアムのICO絡みの需要が減少し、これがイーサリアムの価格下落につながっているところがあります。
ICOがなぜ激減していったのかというと、SECなどによるICOの規制強化が挙げられます。
これは、ICOの健全化に向けたもので、イーサリアムにとっては長期的には好材料ですが、短期的には需要が減って悪材料となっています。
ビットコインキャッシュの分裂騒動
2018年に起こったビットコインキャッシュの分裂騒動がイーサリアムの下落にも影響を及ぼしたと考えられます。
イーサリアムは、ビットコインキャッシュと同様にコミュニティ主導型の仮想通貨となっています。
そのため、今後の開発方針で意見が二分してしまうと、イーサリアムもビットコインキャッシュ同様に分裂してしまう恐れがあり、この点が懸念材料となっているのです。
実際に、イーサリアムは第四のハードフォークと言われるセレニティでPoWからPoSへの変更を予定しています。
これによって、イーサリアムのマイニングが今まで通りにはいかなくなってしまいます。
これに備えて、イーサリアムのマイニングの難易度を上げて、採算が合わないようにして、マイナーを追い出すような動きをしています。
こうしたマイニング報酬を減らす方針に賛成する人たちと反対する人たちで二分しており、これがイーサリアムの分裂につながる恐れもあります。
こうした懸念からイーサリアムは下落が続いています。
マイナーによる売り圧力
ここまででも紹介してきた通り、イーサリアムは第四のハードフォークであるセレニティの際に承認方法をPoWからPoSへと移行する予定となっています。
これに伴い現在とはマイニングの形式が変わってきます。
現在のマイニング方式よりもマイナーが少なくて済むPoSに備えて、マイニング報酬を少なくして、マイナーを少なくしていこうという動きを見せています。
これに対して、マイナーたちはイーサリアムを売って手じまいする動きを見せています。
この売り圧力がイーサリアムの下落につながっています。
仮想通貨市場全体の冷え込み
仮想通貨市場全体の冷え込みもイーサリアムの価格を押し下げた要因と考えられます。
仮想通貨市場に流入してくる資金が減少したため、イーサリアムの買い圧力も当然弱くなって、価格が押し下げられたものと思われます。
ただ、直近ビットコインがトレンド転換したのではないかと示唆できるような値動きをしているので、それに追随してイーサリアムも上昇していく可能性が高いのではないかと考えています。
イーサリアムに対する懸念点
イーサリアムの分裂懸念
ここまででも紹介してきた通り、イーサリアムには分裂の懸念があります。
PoWからPoSへの移行に伴って、マイナーの必要数が少なくなるので、早い段階からマイニング報酬を減らして、マイナーの数を減らそうとしています。
このようなマイニング報酬を減らすことに賛成する人たちと反対する人たちとで意見が二つに分かれている状態になっていて、これが激化すると分裂が起こるのではないかという懸念があります。
イーサリアムに対抗する仮想通貨の台頭
スマートコントラクトを実装しつつ、イーサリアムの欠点であるスケーラビリティやトランザクション速度の問題を改善したEOSのような仮想通貨が台頭してくることによって、イーサリアムが実用化を目指していた分野へのEOSなどの実用化が進んでしまう恐れがあります。
イーサリアムに関しても、ライデンネットワークの実装やPoSへの移行によってスケーラビリティ、トランザクション速度の問題を解決しようとしていますが、まだ実際に解決されていないので、機能面で後れを取っている感は否めません。
流動性が損なわれる
PoWに代わってイーサリアムの承認方法に採用されるPoSでは、イーサリアムを多く持っている方がマイニングやフォージングに成功しやすくなり、より効率的に報酬を受け取ることができるようになります。
そのため、イーサリアムをできるだけ多く手元に保持しておこうと考える人が増えてくるので、イーサリアムの流動性は失われるのではないかと懸念されています。
イーサリアムはあくまでも通貨であるため流動性の欠如は致命的と言えます。
イーサリアムの将来性はない?
ここまでイーサリアムについて主にネガティブな材料を紹介してきましたが、イーサリアムは決して将来性のない仮想通貨ではありません。
現在はイーサリアムが変貌の時期を迎えていて、これは仮想通貨として生き残っていくためには避けることのできない道です。
しかし、この変貌の時期をうまく乗り越えていくことによって、イーサリアムには明るい将来が待っているかもしれません。
多くの企業と業務提携を行っている
まず、何より将来性を感じさせるのが、現時点で多くの企業と業務提携を行っている点です。
これは実用化に向けて大きな武器になっていくことは間違いありません。
現状ではEOSなどのスマートコントラクトを実装した仮想通貨にトランザクション速度やスケーラビリティで劣っています。
しかし、これが第四のハードフォークのセレニティやライデンネットワークの実装によって、トランザクション速度、スケーラビリティで他の仮想通貨と同等以上になってくると、多くの企業と業務提携しているイーサリアムが再び実用化に向けて一歩リードした状態になります。
ですから、これからの進捗次第では十分に将来性があると考えられます。
ETF上場の可能性
また、イーサリアムはETF上場の申請を2016年7月に行っています。
ETF上場申請の審査は現在保留の状態となっていますが、今後ETF上場の可能性は十分にあります。
もし、ETF上場が実現すると、大口の投資家から大量の資金がイーサリアムに流入することが予想されます。
そうするとイーサリアムの価格は大きく高騰することが期待できます。
イーサリアムの今後の見通し
直近のイーサリアムの価格は横ばい傾向が続いています。
ただ、週足チャートをみると下値は切り上げてきていることが確認できるため、もう少し横ばい傾向が続くかもしれませんが、十分再び高騰してもおかしくないようなチャートの形状にはなってきています。
注目すべきは直近の高値で、40,000円を更新していくのかが大きな焦点となりそうです。
ここを上抜けしていくと、さらに上値を目指していくことができるようなチャートの形状になっていきます。
ただし、上値を目指していくためには仮想通貨業界全体の盛り上がりも不可欠かと思います。
まずはビットコインに資金が流入するようになって、そこからイーサリアムなどのアルトコインに資金が流入してくると思うので、たちまちはビットコインが上昇基調になることを期待したいです。
そういった意味ではビットコインのチャートにまずは注目しておくべきなのかもしれません。
ビットコインで注目すべきポイントは、150万円を上抜けることができるかどうかです。
もし、ビットコインが150万円を上抜けてくると、一気に過去最高値の200万円超えを試してくる展開になると思います。
そこを更新してくる頃には、イーサリアムなどのアルトコインも再び過去最高値を目指して動き始めるかもしれません。
まとめ
イーサリアムは、ビットコインとともにこれまで仮想通貨市場をけん引してきた存在ですが、スケーラビリティやトランザクション速度の問題がネックとなってまだ実用化には至っていないのが現状です。
近年、イーサリアムと同様にスマートコントラクトを実装していて、なおかつスケーラビリティやトランザクション速度でイーサリアムを上回る仮想通貨がいくつも現れましたが、それらは他企業との業務提携などの面ではまだイーサリアムに後れを取っています。
そうしている間に、イーサリアムが第四のハードフォークであるセレニティを受けて、PoWからPoSへの移行やライデンネットワークの実装によって、従来からの問題点であるスケーラビリティやトランザクション速度の問題を改善してくれば、再び他の仮想通貨よりも実用化の面では一歩前に出た存在になると考えられます。
また、チャートの面でも下値が切り上がってきており、底をついたことが示唆される状況になってきています。
後はビットコインが順調に過去最高値を更新してくると、それに追随してイーサリアムなど他の仮想通貨の価格上昇も再び見ることができると思われます。