
2018年の年初に当時日本最大、海外でも大規模な部類に入る仮想通貨取引所であったコインチェックにハッキングが起こりました。
この仮想通貨の流出事件が起こって以降、ビットコインは長らく下落トレンドが継続してきましたが、2019年中ごろあたりから徐々に持ちなおしの兆しをみせています。
一時は1ビットコインが30万円台まで下落していましたが、今年中ごろには一時150万円に迫るほどまで回復していました。
その後、再び調整下落となり、80万円台で落ち着いていましたが、ここにきて再び100万円の大台を突破するような値動きとなっています。
もちろんテクニカル的にも反発してもおかしくない局面にはありましたが、この動きには中国の周主席の発言が深く関与しているという風にも言われています。
では、中国の周主席は具体的にどのような発言をしたのか、そして今後どのような値動きが予想されるのかについて紹介していきます。
ビットコインの価格が大幅上昇した理由
ビットコインは2019年9月あたりから1か月ほど1ビットコイン80万円から90万円あたりを行ったり来たりして推移していましたが、10月25日から急上昇し、100万円の大台を突破しようかという動きになっています。
中国 周主席の発言が関連している
このような急上昇が起こっている背景には中国の周主席の発言が関連しているようです。
中国の周主席はビットコインの根幹技術であるブロックチェーンに関して言及しました。
その内容は、「今後ブロックチェーン標準化の研究に力を入れて、国際的な発言権とルール制定権を高めなければならない」というものでした。
「イノベーションのための重要なブレイクスルー、その中核となるテクノロジーとしてブロックチェーンを導入する必要がある。方向性を明確にし、投資を増やし、主要な中核技術に焦点を当て、ブロックチェーンぎゆつとイノベーション開発を加速する必要がある」
またブロックチェーン分野で中国が主導的な地位に就くべきだとも述べた。
「基礎研究を強化し、独自のイノベーションを強化し、新しいブロックチェーン分野で中国が主導的な地位に就くことで、新たな産業上の優位性を獲得するよう努力する必要がある」
引用:コインテレグラフ
中国では2017年に中国国内でのビットコインをはじめとする仮想通貨の取引を禁じました。
しかし、今なおビットコインをはじめとする仮想通貨市場をけん引しているのは中国です。
このため、ブロックチェーン技術の研究が中国でより進んでいくことで、仮想通貨市場がより発展していくことが期待されてビットコインなど仮想通貨の価格が上昇しました。
周主席の発言に対しバイナンスのCZ氏も言及
また、周主席の発言に対して、世界最大手の仮想通貨取引所バイナンスのCZ氏が言及しました。
その内容は、これまでのビットコインの価格変動と中国の動きとの関連性についてです。
これまでのビットコインの価格高騰の前段階には、必ず中国での要人発言があったことを紹介しつつ、「習主席の鶴の一声がどのような影響をもたらすか、言うまでもないだろうか」と言及しています。
CZ氏の発言がさらに今回のビットコインの急騰を支援したと考えられます。
ビットコインが上昇した理由は大量のショートカバー?
ビットコインが上昇した理由として、ショートカバーが入った可能性もあるとは思いますが、必ずしもそうとは言い難いところがあります。
ファンダメンタルに基づいた価格上昇の可能性
そもそもショートカバーというのは、ショートポジションをとっていた投資家がこれ以上価格が下落することはないだろうというタイミングで一気に買戻しをする行動から生じます。
このショートカバーのタイミングをどのように判断するのかというと、一般的にはテクニカル分析に基づいた判断となります。
今回の上昇がもし周主席の発言やバイナンスのCZ氏がさらにそれをあおったことに起因しているのであれば、それはテクニカルではなくファンダメンタルに基づいた価格上昇が起こったと言えるため、完全にショートカバーによる動きかと言われれば疑問が残ります。
ショートカバーに入った可能性
ただ、必ずしもショートカバーが起こっていないとも言いづらい状況ではあります。
ビットコインの週足チャートをテクニカル分析してみると、逆三尊の形を形成していこうとしているように見えます。
三番目のボトムをどこで形成するかに注目が集まりやすい局面だったのですが、一番目の2018年中ごろに作っていたボトム付近で形成したトレンドラインを延長すると、80万円付近に今このトレンドラインがあります。
このため9月から1か月ほど80万円を割りそうで割らなかったとも考えることができます。
このトレンドラインにしたがって、もう80万円を割ることはないと判断してショートカバーが起こったというのであればショートカバーの可能性も捨てきれません。
ショートカバーによる反発とは断言できない
ただし、2018年中ごろにサポートとなっていた65万円付近まで今回も下落が起こった後に逆三尊を形成する可能性もあります。
そのため、このタイミングで価格上昇が起こるということは完全にショートカバーによる反発とは言いづらいのです。
ショートカバーと通常の上昇の違い
ショートカバーとは上昇の一つの要因
ここまででも簡単に説明しましたが、ショートカバーというのはショートポジションを解消する時に起こる価格上昇です。
通常の上昇というのを定義することは難しいですが、上昇にはショートカバー以外にも単純に買いポジションをとることによる上昇も含まれます。
つまりショートカバーというのは上昇の一つの要因に過ぎないのです。
ショートカバーによる上昇ではトレンド転換が起こりにくい
ちなみにショートカバーによる上昇ではトレンドの転換は起こりにくい傾向にあります。
なぜトレンドの転換が起こりにくいのかというと、ショートカバーが起こることによってショートポジションが少なくなってしまうからです。
価格上昇のエネルギー源はショートポジション
価格上昇に必要なエネルギー源としてショートポジションが挙げられます。
ショートポジションが多く残っているということは、将来買いが入る保証が残っていることを意味しているのです。
テクニカル的に明らかに下落トレンドから上昇トレンドに転換したタイミングでショートポジションは決済され、これがさらなる上昇のエネルギー源となるのです。
しかし、上昇トレンドに移る前にショートポジションが解消されてしまうと、その上昇のエネルギー減が少なくなってしまうため、大きな上昇が見込めなくなってしまうのです。
今回の上昇はトレンド転換の為の上昇?それともダマしの可能性あり?
ここまででも考察した通り、今回の上昇はファンダメンタルによる上昇とショートカバーによる上昇の2つの要素が混ざっていると言えます。
要人発言はダマしにもよく使われる手口
ビットコインなど仮想通貨市場はまだ未熟で取引量も少ないので、大口が人為的にトレンド転換を起こすということも可能ではあるので、中国の周主席、及びバイナンスのCZ氏がトレンドを転換させるために意図的に発言したという可能性もないわけではありません。
ただ、このような要人発言というのはダマしにもよく使われる手口ではあります。
要人発言で買いポジションを増やしておいて、その後ネガティブサプライズとなる発現を出すことで、その買いポジションをカモにするということも十分に考えられます。
容易にポジションを取るべきではない
いずれにせよ、ファンダメンタルズだけでポジションをとるべきではないということは言えます。
確実にトレンド転換が起こったと言えるタイミングまでは、あまり安易にポジションを取るべきではありません。
もし、今回の上昇でトレンド転換を見込んで買いポジションをとった、もしくはとろうと考えている場合には損切ポイントを明確にしておく必要があります。
ダマしである可能性も想定した取引がおすすめ
今回の場合は、80万円を再び割り込んでくるような値動きとなるとダマしであった可能性は高いでしょう。
このような場合は損切をして、65万円あたりまで再び買いポジションを持つのを待つべきでしょう。
また、ダマしである可能性を想定してなるべく低レバレッジの取引をおすすめします。
ビットコインの今後はどうなる?
ビットコインの今後についてですが、今回の周主席の発言をきっかけに起こった短期的な上昇で上昇トレンドが確認できるまでに上昇するかがポイントと言えます。
直近高値付近での値動きに注目
とりあえず、直近高値の150万円付近まで上昇したとして、その150万円付近でどのような値動きをするかによってビットコインの未来が変わってくるでしょう。
例えば、150万円を突破した後に再度下落して150万円まで戻ってきた時に、そこで反発してレジサポ転換が起こっていることが確認できたならば、150万円をサポートに上昇トレンドに転換する可能性が高いです。
逆に150万円付近で頭打ちをして弱い値動きを見せた場合には再び調整が入る可能性が高いので、弱い動きを見せた場合には一旦利確して、様子を見るのもいいかもしれません。
もし、今後80万円を割ってくることがあれば、再び週足チャートで逆三尊を形成するかどうかに注目が集まってきます。
65万円付近で反発して逆三尊を形成することが最も有力と考えられるので、再び買いポジションをとるのであれば65万円まで待つことが理想的です。
様々な可能性を想定した上で取引した方が良い
このように色々な可能性を考えながら取引をした方がいいでしょう。
ビットコインをはじめ仮想通貨市場はいまだに未熟で出来高が少ないです。
そのため、ちょっとしたファンダメンタルズや大口の仕掛けによってトレンドを変えることもできます。
ですから、あまり方向性を決めつけすぎない方がいいのです。
まとめ
今回のビットコインの急騰の引き金となったのは、間違いなく周主席の発言でしょう。
2018年中ごろに形成したトレンドラインを延長したポイントが80万円付近にあるので、テクニカル的にも反発してもおかしくないタイミングではあったためショートカバーである可能性ももちろんあります。
トレンド転換を起こすためには、できればショートポジションを減らさずに上昇していくことが理想的ではあるので、ショートカバーを起こしているのであればトレンド転換がやや起こりにくい状況にあると言えます。
この急騰をきっかけに再び上昇トレンドに回帰していくためには、まずは直近高値の150万円の突破が必要です。
ここを突破してくることでようやくトレンド転換の可能性が出てくるのではないかと考えています。
仮想通貨市場は出来高が少なく、ダマしも起こりやすいので、ここでは安易にトレンド転換が起こったと判断して買いポジションをとらない方がいいでしょう。