
かつてハードウェアで行っていた処理が、ネットワークを利用したクラウド化によって徐々にネットワーク上に移行しつつあります。
しかし、こういった流れではあるものの、中枢となるシステムに傷害が起こると様々な不都合が起こります。
記憶に新しいところでは、2019年の8月に起こったAWSが東京リージョンで障害発生し、様々な分野に大きなダメージを与えたということが記憶に新しいのではないでしょうか。
そういった中枢を分散させることができたら…と考えられたのが今回紹介する「ANKR」です。
このANKRの特徴や懸念点、評判などを紹介し、ANKRについてまとめました。
これを読めばきっと仮想通貨ANKRについて多くのことを知ることができるのではないでしょうか。
ANKR(アンカーネットワーク)のwiki的基本情報
仮想通貨名 | ANKR(アンカーネットワーク) |
トークン名 | ANKR |
公開月 | 2018年 |
発行上限 | 10,000,000,000 ANKR |
発行枚数 | 3,996,177,788 ANKR |
公式HP | https://www.ankr.com |
ホワイトペーパー | https://s3-us-west-1.amazonaws.com/app.ankr.network/assets/Ankr_Whitepaper_20190524.pdf |
@AnkrNetwork | |
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ankrnetwork | |
TelegramID | Ankr Community |
YouTube | Ankr Network |
ANKR(アンカーネットワーク)とは
上海とサンフランシスコに拠点を持つANKRは、稼働率の低いデータセンターやサーバーを需要に応じて提供できるプラットフォームを作るプロジェクトで生まれた仮想通貨です。
バークレー大学でComputer Scienceと Electrical Engineeringを専攻し、AmazonウェブサービスのEC2部門で勤務経験がある「Chandler Song氏」が立ち上げました。
この分野はほとんどがアメリカの大手企業の独壇場であり、Amazon Web ServicesやGoogle Cloudと言った巨大企業が寡占状態の分野となっています。(アジアではAlibaba Cloud)
しかし、これらのサービスには高額な費用が必要と言う欠点があります。
高額な費用が必要と言う欠点をシェアリングエコノミーによって解決しようというのが、ANKRのプロジェクトの目的になります。
従来のサービスは、巨大なサーバーを持ち、顧客にそれを再販売すると言うスタイルですが、これを休眠中や稼働率の低いのデータセンターを利用して行わせ需要が高いエリアについては値段が上がり、低いエリアは安くなるというモデルを採用することで低価格のクラウドサービスを提供することができるとしています。
そして、業務用の用途から将来的には個人利用できるように裾野を広げていくという展望を持っています。
つまり分散型コンピューティングプラットフォームを作り出すプロジェクトで用いられるトークンがANKRなのです。
ANKR(アンカーネットワーク)の特徴

出典:Ankr.
ANKRの特徴は、DCCN、ANKR Hub(アンカーハブ)、WDRFアルゴリズム、PoUW、ブロックチェーンが4層あるという点です。
DCCN
DCCN(Distributed Cloud Computing Network)は、分散型クラウトコンピューティングネットワークのことです。
ただネットワークを作るだけでなく、クラウド上で独自の仕組みを作って統一性を持たせる工夫をしているのが特徴になります。
それはアプリ―ケーションを構成するコード(コンピュータプログラムの文字列)や各種の設定データをまとめたコンテナと呼ばれるセットによる、どのような環境下でも動く機能やクラウドネイティブと呼ばれる今お話ししたコンテナを使ったサービスによって実現を目指しているのです。
これによりどのような端末でもプログラムが安定して動かせるという仕組みになっています。
この仕組みは「Kubernetes(クバネテス)」によって管理されているコンピューティングリソースによって維持される予定です。
ANKR Hub(アンカーハブ)
ANKR Hubは、DCCNをコントロールするクラスター(複数のコンピューターのパワーをひとまとまりにしたまとまり)です。
ANKR HubはANKR独自の仕組みで、これにより効率的な分散型のクラウドコンピューティングネットワークを維持することが可能となっています。
やや踏み込むと、KubernetesとAnkrのDCCNをつなぐ役割を果たしている仕組みです。
WDRFアルゴリズム
ANKRのWDRFアルゴリズムは、ユーザーが公平に分散型のネットワークを使えるようにするWDRF(Weighted Dominant Resource Fairness、公正にリソースの占有権を割る仕組み)という特徴を持っています。
これはフィルタリングにより仕訳を行い、評価スコアと価格スコアという独自の評価により優先順位を決め、スケジューリングによって割り振りを簡単に行えるようにしています。
PoUW
PoUWは、ビットコインのマイニングのような作業で使われるパワーを分散型コンピューティングの処理として行わせる仕組みです。
ビットコインのマイニングには非常に大きな力を必要とします。
その力を決済処理の代わりに分散型コンピューティングの維持に使おうという考えです。
ブロックチェーンが4層ある
ブロックチェーンが4層あるという特徴は、マイクロペイメントなどを行う時に利用されます。
ネットワークの中でどの部分に動きがあるかを追跡するために、すべてのデータ使用料や取引データがブロックに記録される仕組みを持っています。
これによりデータの改ざんを防ぐことができ、マイクロペイメントと呼ばれる少額決済システムに利用されています。
このブロックチェーンを維持するものとしてコア層(コンセンサスを行う層)、リレー層(データを高速で届ける層)、アクセス層(通信を行える最低限の情報を持っているノードの層)、マイクロノード層(いろんな機器に対応させる層)という4つの層で構成されており、この4つの層により決済や使用料など様々な情報を分散して管理しています。
これらの特徴によって分散型コンピューティングのネットワークを構築しようとしているのです。
ANKR(アンカーネットワーク)の懸念点
ANKRの懸念点は、実現性、ライバルが巨大すぎる、価値の暴落です。
実現性
ANKRは、安定したシステムの維持やパワーの維持が難しい可能性があります。
パワーは常に安定しているわけではなく、その総量は常に変化します。
そのため安定したパワーをユーザーに供給できなくなる問題があるのです。
これを維持するために様々な仕組みを構築していますが、その実現性は疑問符が付きます。
ライバルが巨大すぎる
ライバルが巨大すぎるという懸念点もあります。
クラウドコンピューティングの業界はAmazon、Google、そしてAlibabaと言った巨大企業が寡占状態にあります。
そういった中、料金だけで勝負をしても勝ち目がないという点や分散型というパワーの供給がやや不安定な弱点を抱えているANKRには、それらの弱点を克服できるのかと言った懸念があるのです。
価値の暴落
最後が価格の下落です。
2019年10月に入り、ANKRの価格が一気に下落しました。
これにより評価が一気に下がり、プロジェクト自体の進展にも赤信号がついたのです。
さらに仮想通貨取引所のバイナンスでも取り扱いのペアが3つ削除されるなど流動性に関しても弱みが露呈しました。
これらの懸念点をANKRは抱えています。
ANKR(アンカーネットワーク)の評判(口コミ)
ANKRの評判について、Twitter上の評判をまとめました。
気になるツイートを3つ紹介していきます。
#仮想通貨 #ANKR
Bittrex高騰/暴落 速報(5分前価格と比較)
[ETH-ANKR]-100.00%0.000000000【30%以上】大変動です!!#拡散希望
— ボンボン@仮想通貨攻略 (@mmm_bitcoin_mmm) 2019年10月13日
イーサリアムとのペアが大暴落しています。
That will be amazing, Ryan Fang COO of #ANKR speaking at a big event in presence of great people and great place. https://t.co/84XBUyjUP7
— Vinay TM (@VinayTM1) 2019年10月14日
COOのRyan Fang氏のイベント参加を評価しています。
$ANKR は運営も信者もガチ嵌め込み詐欺師。今が買い!信じろ!って、100satから25satまでこいつらはずっと言い続けている。テレグラムが特にやばい。嵌め込み詐欺師しかいない。私は売ったからもう二度と買うことないけど、新しい被害者が出ないように書き残しとく。後は自分で勝手に調べて判断して。
— アルアル (@aruaru_real) 2019年9月25日
詐欺案件だったと非難しています。
10月に入り大暴落しており、案件自体が詐欺ではないかと言う評判が立っています。
しかし、関係者は今の海外の講演会などに出席しており、その点を評価している意見もありました。
それでも、価格は非常に低下していることから、余り評価は高くないといえます。
ANKR(アンカーネットワーク)の将来性

出典:Ankr.
ANKRの将来性は明るいものではありません。
ANKR自体の価格がすでに価値を失っているという点もありますが、ブロックチェーンを利用したクラウドコンピューティングは類似のプロジェクトが立ち上がってきていますし、直接のライバルも大手ばかりというのが現状です。
更に実現性に関しても問題が多く、安定したパワーを安定して供給でき、しかもエラーを起こさずに運用できると言う仕組みを構築するのは困難が伴います。
こういった困難な環境から立ち直り、何とか実現にこぎつけることができれば将来性は見えてきますが、その頃にはAmazonやGoogle、Alibabaと言った企業が分散型コンピューティングを実現している可能性もあるのです。
ANKR(アンカーネットワーク)のまとめ
ANKRは、従来のクラウドコンピューティングの弱点であった中央集権的なシステムや高額な利用料金と言った問題を解決するプロジェクトとして誕生しました。
しかし、実現性の問題やANKR自身の価格の下落によって、その将来性は厳しいものがあるかもしれません。