
仮想通貨はメディアなどで一時の間かなり頻繁に取り上げられた時期もありました。
ビットコインの急騰が起こったり不正流出などの事件などが起こったりと、国内ではかなりの社会現象になり仮想通貨の知名度もいろいろな意味でも広がっています。
そのため「仮想通貨の市場規模はどのくらいあるのだろ?」と、ふと疑問に思ってしまうこともあるのではないでしょうか?
そこでこちらでは、仮想通貨の市場規模がどのくらいあるのかをフォーカスし、さまざまな市場規模と比較していきたいと思います。
国内、海外の仮想通貨の市場規模や、法定通貨などの他業種との市場規模を比較していきます。
仮想通貨は市場規模はどれくらい?
それではまずは仮想通貨の市場規模の基本から見てきましょう。
国内、海外の仮想通貨の市場はどのようになっているのでしょうか?
国内の市場規模
2018年度7月の仮想通貨の国内市場規模を見てみると、およそ時価総額では4兆5,000億円となっています。
日本の国家予算はおよそ100兆円規模になるので、その約25分の1の時価総額となります。
この数字がどのくらい多いのかはこの後の「他業種との比較」で紹介しますが、4兆5,000億円という規模はそれほど多くはありません。
国内の仮想通貨の時価総額をまとめているデータは希薄のため、世界の仮想通貨の取引量と比例した結果のデータとなってしまいますが、国内の仮想通貨の時価総額はそのぐらいの数字となります。
取引される通貨種類の構成の違いなどもあり単純比較はできませんが、世界の時価総額は約29兆円なので、取引量のシェア並と仮定すると日本国内の時価総額は4兆3,000億円程度となります。
引用:コインハック
海外の市場規模
海外の仮想通貨の市場規模を見てみると、全世界での仮想通貨の取引量は2018年7月のデータでは約30兆円となっています。
東京証券取引所の時価総額では約677兆円となっているので、世界の仮想通貨の時価総額はまだまだ規模は小さいものです。
2018年1月に起きたビットコインの急騰の時期には時価総額は一時期90兆円をこえていましたが、同年2月には約47兆円まで下がっています。
そのため、仮想通貨の市場規模はかなりボラティリティが激しく今後もどのようになるのかは分かりません。
先ほど紹介した、国内の仮想通貨の時価総額では4兆5,000億円ほどになるので、日本の仮想通貨の市場割合では世界の仮想通貨の時価総額の13%程となります。
13%という数字は世界各国と比較してみると高い数字で、日本ではビットコインの取引が盛んに行われていたことがこの数字に反映されているものと考えられます。
世界のビットコインの取引量の約半分は日本国内で行われていたので、時価総額もやや高めに推移しています。
続いて仮想通貨の市場規模の成長がどれくらいあるのかを見てみましょう。
仮想通貨の市場規模の成長度合い
仮想通貨の市場規模の成長では、2017年2月のデータと2018年2月のデータを比較してみてみると分かりやすいです。

出典:coinmarketcap.com
2017年2月の仮想通貨の時価総額では約2兆円でしたが、2018年2月では47兆円とかなりの成長をしています。
また、2018年の7月の時価総額では約30兆円となっているので、2017年2月の時価総額の約15倍まで成長があったことになります。
ただ、仮想通貨はボラティリティが激しくセキュリティーの面での不安要素が未だに根強いため、マウントゴックスやコインチェックのような流出騒動があると時価総額も下がる可能性があります。
仮想通貨と他業種の市場規模を比較
では、仮想通貨と他の業種による市場規模を比較していきましょう。比較するデータとしは先ほど紹介した2018年7月の仮想通貨の時価総額30「兆円」と比較しています。
金融商品と仮想通貨
まずは金融商品と仮想通貨の市場規模を比較してみましょう。
金融商品と言ってもさまざまな商品がありますが、ここでは世界の債券市場と比較していきます。
そもそも債券とはどの様なものなのかというと、株などと同じもので企業や個人事業主の資金調達のときに貸し出すお金のことです。
その債権の世界市場規模では約1京8400兆円(18400兆円)となり、かなりの金額の規模となります。
世界の債券の時価総額は約1京8400兆円、一方で世界の株式市場の時価総額は約1京円、おおざっぱに言うと 世界の債券市場の時価総額は世界の株式市場の時価総額の倍になる。 ところで資産運用の世界では、金額が大きくなれば、債券市場か株式市場のどちらかに投資するしかない、
引用:NewsPICKS
仮想通貨の時価総額では30兆円となるので、その約330倍の市場規模となります。
この数字から見てみても、仮想通貨の市場規模はまだまだ小さく一般的な金融商品と比べても低い数字になっています。
法定通貨と仮想通貨
続いて法定通貨との比較をしていきます。
比較する法定通貨では日本円、米ドル、ユーロ、とそれぞれ比較していきます。
また、データの時期としては2016年度の法定通貨の時価総額を使用しています。
日本円
まずは日本円の時価総額ですが、市場での規模は120兆円ほどとなり、仮想通貨全体の時価総額の約4倍となります。
米ドル
続いて米ドルの市場規模では、約1,700兆円の規模となっていてこちらは仮想通貨の56倍となります。
ユーロ
ユーロに関しては1,300兆円の規模となり、仮想通貨の約43倍となります。
それぞれ見てみるとやはり仮想通貨の時価総額は法定通貨の時価総額と比較してしまうと、まだまだ小さい規模に見えてしまいます。
とは言え、仮想通貨は2009年にできたばかりの通貨になり、大昔からある法定通貨に比べてれば急速な成長と言っていいでしょう。
株式商品と仮想通貨
続いて株式商品と仮想通貨の時価総額の比較をしていきます。
比較する時期としては2015年の株式の時価総額と比較しています。
株式の時価総額で大きな規模を持っているのはアメリカがやはり大きく、時価総額では4,000兆円の市場規模となりなります。
続いてユーロ株式、日本株式、それぞれの時価総額では600兆円と540兆円とそれぞれの市場規模となります。
仮想通貨の市場規模では30兆円規模になるので、株式の時価総額と比べてみても小さな規模となっているのが分かります。
参照:株式会社東京証券取引所
FXと仮想通貨は
最後にFXと仮想通貨の比較をしていきましょう。
こちらの比較では2017年度のそれぞれの「取引量」を見ていきたいと思います。
2017年度のFXの取引量は金融先物取引業協会の発表によると、約4,179兆円となっています。
日本仮想通貨交換業協会のデータによると、2017年度の取引高は、現物と信用取引等合わせて約69兆円と昨年度の約20倍に膨れ上がっています。
また、金融先物取引業協会によると、17年度の店頭FX取引金額は4179兆円で、16年度比15%減となり、2年連続で減少したことが明らかになっています。
仮想通貨取引高の約69兆円という数字は、株式の約280兆円には及びませんが、約30兆円の上場投資信託(ETF)、約2兆円の不動産投資信託(REIT)を大きく上回っています。
引用:COINPOST
対して同年の仮想通貨の取引量では約69兆円という規模になります。
FXの取引量は仮想通貨全体の取引量のおよそ60倍という市場規模となります。
かなりの開きがあるように見えますが、前年比のそれぞれの取引量を見てみると仮想通貨の方が大きく膨れ上がっていて前年比の約20倍になっています。
一方、FXは前年比よりも取引量はマイナスになっていて、仮想通貨に投資する人の割合の方が圧倒的に増えていることが分かります。
市場規模が大きい仮想通貨ランキング!
では仮想通貨の市場規模のランキングを見ていきたいと思います。
仮想通貨の市場規模でも代表的な仮想通貨はビットコイン、イーサリアム、リップルの3つの仮想通貨が挙げられます。
それぞれの、仮想通貨の時価総額は2019年5月現在の数字をピックアップしています。
ビットコイン
2019年5月現在のビットコインの時価総額は15兆7,300億円という市場規模となっています。
仮想通貨全体の時価総額はおよそ30兆円規模になるので、ほぼ半分はビットコインが占めていることになります。
また、1日の出来高では3兆3,300億円となり、イーサリアムの約2倍の出来高になります。
このことからも分かるとおり、ビットコインは仮想通貨の中でもまだまだ先駆者としての立ち位置をキープしているのが分かります。
イーサリアム
続いて決算システムなどに強い仮想通貨のイーサリアムの市場規模を見ていきましょう。
イーサリアムはビットコインに続く2番目に大きな市場規模を持っていて、2019年5月現在の時価総額では約3兆円の規模となります。
また、1日の出来高では1兆6,000億円となり、時価総額の割合と比較するとビットコインよりも多いい割合で取引されていることになります。
ただやはり、ビットコインの時価総額と比較してしまうと、市場規模はかなりの開きがあります。
リップル
最後に、銀行送金に強いリップルの市場規模を見てみましょう。
リップルの時価総額は2兆600億円となりビットコイン、イーサリアムに次いで3番目に大きな市場規模を持っています。
1日の取引高では約4,600億円と上位2つの仮想通貨と比べてしまうとやや少ない取引量となります。
ただ、銀行送金を瞬時に行えるリップルは今後の銀行送金システムがより一層進めば、かなりの市場規模を広げて行きそうです。
仮想通貨の市場規模は今後どうなっていく?
仮想通貨の市場規模は普及していく可能性は高いでしょう。
今では電子マネーなどが進みキャッシュレス決算が当たり前になっているので、仮想通貨の需要は大きく期待されます。
ただ世界経済を見てみると中国の動向が懸念されてしまいます。
中国では仮想通貨にかなり消極的でICO(イニシャル・コイン・オファリング)という仮想通貨の資金調達を禁止してしまいました。
中国における金融ニュースメディア、Caixin〔財新〕 [中国語版]の記事によれば、同委員会は60箇所の暗号通貨取引所のリストを作っており、これらの証券取引所に対して監督当局は調査を行うと同時にその報告の提出が求められているという。これと同時に中国では新規のICOは凍結された。
中国の委員会はICOの大部分は「金融詐欺であり、ネズミ講(pyramid scheme)である」と警告していた。
引用:TechCrunch
また、その中国はアメリカとの貿易が上手くいっていないため、両国の仮想通貨での国際送金なども2019年現在の段階では期待することができません。
仮想通貨の市場規模の広がりは間違いなくなるのですが、中国という世界大2位の経済大国が仮想通貨に積極的になればそのスピードも加速することになります。
まとめ
仮想通貨の市場規模は普及していく可能性が高いですが、世界経済の動向次第ではブレーキがかかってしまいます。
今現在の仮想通貨の役割は投資目的になっており、法定通貨と同じような市場規模になって行けばスピディーな送金ができ手数料なども削減されていきます。
どの様になるのかは中国での仮想通貨への姿勢がポイントで、今後の動向にも目が離せないものです。