仮想通貨の基軸通貨となっているビットコイン(BTC)。
世界各国で取引され価格に大きな変動があると、ニュースになるなど注目を集めている通貨です。
ビットコインの価格といえば、かつて「ビットコインバブル」と呼ばれていた時代がありました。
ビットコインの価格が上がり続け、盛り上がっていた時期ですが、その後バブルは崩壊し仮想通貨市場の低迷につながりました。
今後、再びビットコインバブルの到来はあるのか。
過去のビットコインバブルやバブルの崩壊を振り返り、今後の可能性について考察していきます。
今後のビットコイン投資の参考にしていただければ幸いです。
ビットコインバブルとは
2019年1月でビットコインが誕生して10年となりました。
ここまで様々な過程を経て現在のビットコイン価格に落ち着いていますが、かつてはビットコインバブルと言われる時期がありました。
2019年4月、5月で大きな価格上昇を見せたビットコインですが、今後再びビットコインバブルが来るのか注目を集めています。
今後の予測をして行く前に、知らない人もいると思いますので、ビットコインバブルとはどのような状況だったのかを振り返っておきましょう。
2017年後半は熱狂の渦中
バブルを象徴する特に大きな動きがあったのは2017年の後半。
それまでも、価格の暴騰や暴落が度々話題に上がりましたが、2017年の後半は明らかに熱狂の渦中にありました。
上の画像は2017年9月1日から2018年2月1日までのチャートです。
価格の上下はありながらも、2017年9月の中旬から2017年12月中旬まで、価格が上昇の流れが継続していることがわかります。
この価格上昇の流れが続いていた期間をビットコインバブルと言います。
1990年前後に日本で起きたバブル時代のような状態を模してこのように呼ばれました。
3ヶ月で1BTCの価格が約170万円上昇
2017年9月1日時点のビットコインの価格はおよそ4,700ドル(約515,000円)ですが、2017年12月17日には19,909ドル(約220万円)にまで価格が上昇しています。
およそ3ヵ月半の間に1BTCの価格が170万円ほど上昇しているという異常な事態。
当時を知らない人からすると、衝撃の時代だったと想像するでしょう。
当時を知っている人は、異常な熱狂ぶりをチャートを見ながら毎日チェックしていたはずです。
1BTCの価格が最高の2,202,822円をつけた時期辺りや、価格の暴落が起きた2018年1月までをビットコインバブルと呼んでいます。
ビットコインバブルが起こった理由
では、なぜ数ヶ月間という短期間でそれほどの価格上昇が起きたのでしょうか。
ここからはビットコインバブルが起きた理由について見ていきます。
将来同じようなことが起こるか、あるいはそれに近いことが起きればビットコインバブルの予感を感じ取ることができますので、過去の例を振り返っておきましょう。
仮想通貨取引所のCM放映
2017年の後半になってくると、仮想通貨取引所のCMが盛んに放送されていました。
特に、仮想通貨取引所CoincheckのCMが放送回数も多く、タレントの出川哲朗氏を起用したことも話題となりました。
有名な芸能人を起用したことによって、世間で仮想通貨、ビットコインという言葉が認知され、ビットコインの購入を加速させました。
また、bitFlyerでは女優の成海璃子氏、Zaifでは剛力彩芽氏、DMMBitcoinではローラ氏と、著名な芸能人を起用したこと、若手女優を起用したことで、投資に親近感を持ってもらったこともバブルに拍車をかける要因となりました。
テレビではCoincheckやDMMBitcoinのCMが多い印象でしたが、電車の中での放送ではbitFlyerが多い印象でした。
テレビや電車内など、多くの人に仮想通貨取引所の認知を広めたことが大きな影響の一つです。
YouTuberやインフルエンサーの影響
近年では若者を中心にテレビ離れが話題となっていますが、動画配信サービスのYouTube上でも、仮想通貨にまつわる情報発信を行うYouTuber(ユーチューバー)やTwitterを中心にインフルエンサーが多く登場しました。
YouTubeなどSNSでは、ブームに乗っかった方が動画の再生数やチャンネル登録者、フォロワーを獲得しやすく、流行りに乗る形で多くの人が仮想通貨情報の発信に取り組んでいました。
この影響もあり、YouTubeやTwitterをやっていた人を中心に
「数万円で始めたビットコイン投資が数百万になった」
「ビットコイン投資は簡単に儲かる」
「この流れに乗らないと損する」
このような類の情報が乱立し、投資初心者の人も、ビットコインは簡単に儲かるものと思い、ビットコインを購入するという流れが生まれました。
また、仮想通貨投資に詳しくない人がキャラクターを作り、YouTubeやTwitterで情報発信をし、「ビットコインは儲かる」という情報が大量に流れたことも、ビットコイン購入の流れを加速させる原因となりました。
また、ビットコイン長者と呼ばれるビットコインで巨額の富を得た人も多く登場。
このようなインフルエンサーが発信した情報を得て、ビットコイン長者を目指した人たちの購入圧力がバブルを加速させました。
ハードフォーク祭り
2017年の8月に初めてビットコインがハードフォーク(分裂)し、ビットコインキャッシュ(BCH)が生まれました。
当初は、ビットコインの上位性能のものが生まれるとして、ビットコインの価値は暴落する、無くなると危惧されていましたが、ハードフォークに伴って、ビットコインと同量のハードフォーク後の通貨がもらえるとなると状況は一転します。
ビットコインキャッシュの場合、10BTCを持っていれば、無料で10BCHがもらえるということで、タダでお金がもらえるという情報が先行し、ハードフォーク後の通貨をもらうためにビットコインを購入するという流れが生まれました。
さらに2017年の後半は、ビットコインキャッシュを皮切りに
- ビットコインゴールド(BTG)
- ビットコインダイヤモンド(BTD)
- スーパービットコイン(SBTC)
- ライトニングビットコイン(LBTC)
- ビットコインゴッド(GOD)
などのハードフォークが起きました。
他にも、ビットコインシルバーやビットコインウランなどのハードフォークが予定されるなど、ビットコインのハードフォーク祭りが開催。
ネーミングを楽しむという人もいれば、ハードフォーク後の通貨をもらい、タダで資金を獲得しようと目論んだ人たちがビットコインを購入し、さらにビットコインの価格が上昇するというバブル状態に拍車をかけました。
ビットコインバブルが崩壊した理由
様々な要素でビットコインを購入する流れが生まれ、ビットコインバブルとなりましたが、その流れも長くは続かず、2018年に入るとバブルが崩壊し始めます。
大きな流れとなっていたビットコイン購入の勢いは、なぜストップしバブル崩壊につながったのか、その原因となった出来事を振り返っておきましょう。
同じ過ちを繰り返さないための参考にしてもらえればと思います。
期待が先行しすぎた
ビットコインバブルの時は、1BTCあたりの価格だけが注目され、ブロックチェーンなどの技術面が注目されることがありませんでした。
投資というよりは、一時的な価格を取りに行く投機的な動きばかりが先行しました。
FXにおける「買われすぎ」「売られすぎ」を示す指標のRSIが「買われすぎ」を示し続けているという状態でした。
70%以上だと「買われすぎ」で30%以下だと「売られすぎ」という指標になりますが、上の画像からも分かる通り、2017年は常に「買われすぎ」という状態でした。
期待が高すぎる状態が続き、どこかでその流れが終わるのは時間の問題だったということです。
こうした分析をしていない人が、さらに価格が上がるだろうと期待して保持し続けた結果、流れが止まり、バブル崩壊につながりました。
保有者の多くが日本人の投資初心者だった
ビットコインバブルの当時、ビットコインを保有しているのはほぼ日本人でした。
日本人は世界に比べて、金融の教育や知識が乏しい傾向にあり、投資に関する知識が少ない初心者がビットコインを多く購入していました。
テレビやインフルエンサーの煽りを受けて、投資初心者が「ビットコインを買っておけば儲かる」という期待だけで購入したこともあり、投資のプロや、トレードのプロがここぞとばかりに利益を確定(売却)。
初心者は少しでも価格が下がると不安に襲われ、今のうちに売却しようと、売却が価格下落を呼び、価格下落が売却を呼ぶという売却の流れが生まれることに。
投資やトレードのプロは、出口を決めて取引しているため、価格が下がることを織り込み済みで取引しますが、初心者はその場の気持ちで取引を行います。
価格下落の流れに耐えられなかった人、大きな損を出した人が、これ以上の損はしたくないとビットコインを売却し、購入よりも売却が圧倒的に先行しバブルの崩壊を迎えました。
Coincheck仮想通貨流出事件
ビットコインの価格下落の流れに拍車をかけたのが、2018年1月に起きた仮想通貨取引所Coincheckの不正送金事件。
流出した通貨はネム(XEM)で、ビットコインと関係はありませんでしたが、約580億円総統が流出したとあって「仮想通貨は信用できない」と考えた人が、ビットコインを手放し始めます。
ビットコインの価格が大きく下がり始めた時期に、仮想通貨流出事件が起きたため、世間では仮想通貨の信頼度も大暴落。
テレビCMも自粛され、世の中からビットコインや仮想通貨という言葉が消滅することに。
大きく損失を出した人や、仮想通貨への絶望を感じる人が続出し、バブルの崩壊と仮想通貨市場の冷え込みに拍車をかけることになりました。
ビットコインバブルはもう一度来るのか
2018年から2019年の始めにかけては、仮想通貨界は話題に上がることも少なく、冷え込みの時代となりました。
大きな価格上昇もなく、世間では仮想通貨に関する規制が進み、かつての盛り上がりは嘘のように消沈。
2019年4月から再び価格が上昇
しかし、2019年4月から5月にかけてビットコイン価格が大きく上昇し、再び注目が集まり始めています。
かつてのビットコインバブルを経験している人は、慎重な見方をしていますが、4月から5月で2倍ほどの価格になる成長を見せています。
「再びビットコインバブルが来るのでは」
という声も上がり始めていますが、どうなるかは「神のみぞ知る」です。
ビットコインの未来は今後のニーズ次第
再びバブルが来るかは誰にもわかりません。
しかし、以前のビットコインバブルと違う点は、決済手段としてビットコインが認知され始めているということ。
価格の期待だけでなく、実生活にどれだけ馴染むかで今後のニーズが変わってきます。
バブルが起きるとしても、実需の伴った購入が進むはずで、ハードフォーク目当てなどはありませんので、緩やかな価格上昇が継続するのではないでしょうか。
著名人のビットコイン価格予想も大きな価格差がありますので、期待だけで購入せず、じっくり市場や世の中を見ていくと良いでしょう。
まとめ
ビットコインは価格の動きが注目されがちです。
価格が上昇すれば盛り上がり、価格が下落すれば関心がなくなる人がほとんど。
今後、ビットコインバブルがもう一度来るかはわかりませんが、投資を行う場合は期待だけで出資すると、かつてのバブル崩壊を味わうことになります。
また、ビットコイン価格が上昇すると、息を潜めていたインフルエンサーが戻ってきたり、再びブームに乗っかって情報発信する人が増加します。
ビットコイン購入の流れを作ろうとする人もいるかもしれませんので、そうした情報を鵜呑みにせずに、自分でしっかりと分析することをおすすめします。
バブルに左右されず、自分のルールを作ってビットコイン投資を楽しんでいきましょう。