
古今東西のいつの時代もどんな人も余程の聖人でない限り少しでも多くのお金を持ちたいと考えます。
それは時代を下った現代でも同じで、仮想通貨を始め様々な投資対象で少しでも利回りの良いものを求めています。
そんな中、高い利益を生み出す高利益な投資方法であるHYIP (ハイプ) と呼ばれるものが出てきました。
しかし、実際どんなものであるか知る人は意外と少ないのが実情です。
そこで今回は、このHYIP (ハイプ)について、概要や仕組み、HYIP (ハイプ)のリスクや見分けるためのポイントなどを解説していきます。
さらに、HYIP (ハイプ)に投資すべきか否かについても言及していきます。
HYIP (ハイプ)とは
HYIP (ハイプ)とは、High Yield Investment Program(高利回り投資案件、高収益プログラムなどと訳される)の頭文字を取った用語のことです。
実際にその利回りの高さは驚異的で、年利1%行けば優秀とされる定期預金や年利4~5%が平均的な資産運用の従来の利回りをはるかに超える月利40%(年利約5,570%)と言った案件があります。
つまり、10万円預ければ1年後には567万円になる計算です。
これは世界有数の投資家で投資の神様とも呼ばれるウォーレン・バフェット氏の投資実績(年利約20%)の280倍近い数値です。
「1年で資産が50倍以上に増える」そんな桁外れの利回りからHYIP (ハイプ)はどう考えても夢のような話で、詐欺の雰囲気すらします。
しかし実際にそういった案件は存在するのです。
その仕組みについてお話ししていきます。
HYIP (ハイプ)の仕組み
HYIP (ハイプ)の仕組みは大きく三つあります。
- MLM
- ポンジスキーム
- ねずみ講
最後のねずみ講は一気に信用が落ちそうな方法ではありますが、ひとつひとつ説明していきます。
MLM(Multi-level marketing:マルチ・レベル・マーケティング)とは
MLM(Multi-level marketing:マルチ・レベル・マーケティング)とは、連鎖販売取引とも呼ばれる手法です。
これは商品を買ってくれた方に販売員として活動してもらい、更にそこから買った方を販売員として活動してもらうという方法です。
勘の鋭い方はお気づきかもしれませんが、マルチ商法に酷似した販売方式です。
下位の販売員から仕入れ購入という形で売り上げの一部を徴収していく形式をとっているため、組織の上に行けば行くほど多くの収益を上げることができるシステムです。
一見違法にみえる方法ですが、マルチ商法と異なる点は直接金品を取らないということです。
あくまで上のランクの販売員から商品を購入し、下のランクの販売員へ商品を販売するという方式や紹介料という形でお金をとっているので、合法なのです。
規模の大小は問わないものの、訪問販売などはこの形式をとっていることが多く、実際にそれらの企業が摘発されたということはありません。
ただ、金品を直接徴収するというシステムだった場合は違法です。(何の見返りもなしに上納金のようにしてお金を吸い上げるなど)
HYIP (ハイプ)の手法としては最も長続きし、合法的に収益を挙げるポテンシャルを秘めています。
ポンジスキームとは
ポンジスキームは違法行為です。
お金を一括で支払わせて月額いくらかでお金を渡していくという方法です。
例えば、月利5%(年利換算79.6%)の金融商品の加入を募り、最初に100万円受け取ります。
そして毎月5万円支払い続ければ20カ月は持つ仕組みになります。
その間に別の出資者に100万円を支払わせて、それを別のところへ支払っていくということを繰り返すと手元にはどんどんお金が集まってきます。
そして適当なタイミングで逃げれば大金を手に入れられます。
これは文字通り違法行為です。
時々ニュースで逮捕者が出ています。
実際は少し巧妙に行って、集めたお金で見せかけの運用をしたり、見せかけの事業を起こしたりして信用させ、更に出資者を集めると言った応用をして逮捕されたりいます。
ねずみ講とは
ねずみ講も周知の通り違法行為です。
無限連鎖講と呼ばれるMLMに似たHYIP (ハイプ)になります。
MLMとの違いは商品ではなく出資金を集めることです。
これはポンジスキームに通じるところがありますが、新たな出資者が支払った出資金の一部が報酬として得られる仕組みでMLMの性格を帯びたポンジスキームという見方もできます。
このねずみ講はうまく仕組みを作ることに成功すれば大金を手に入れられますが、基本的にどこかで息詰まるため破たんし、逮捕されたり元締めが逃走するという結末を迎えます。
仮想通貨のHYIP (ハイプ)はリスクが高い?低い?
仮想通貨のHYIP (ハイプ)はリスクが非常に高いです。
確かに最初のうちは配当がきちんと支払われてネットで残高が確認できるので安心して依頼することができます。
しかし、いきなり出金不能になって運営会社も閉鎖して資金を持ち逃げし、飛ぶ(資金が最大になった時点で会社が消えること)のが常套手段となっています。
そもそもネットの残高すらいい加減に表示された数字という可能性もあります。
仮想通貨はその驚異的な相場の急騰で多くの億万長者を生み出しました。
そのため、現在もそういった高利回りの可能性があると信じて安易にHYIP (ハイプ)の案件に手を出し、結果として大きな痛手を負ってしまうということは珍しくないのです。
HYIP (ハイプ)の事例
このようにHYIP (ハイプ)による大きな損失を避けるためには事例を知ることが大切です。
そこで海外の仮想通貨などによる下記3つの事例についてお話ししていきます。
- BitClub Network (ビットクラブネットワーク)
- Right Rise (ライトライズ)
- USI-TECH (ユーエスアイ・テック)
BitClub Network (ビットクラブネットワーク)
BitClub Network (ビットクラブネットワーク)の事例は、出資者を募ってビットコインのマイニングを行い運用したというものです。
確かにビットコインはマイニングによって収益が得られますが、大きな設備投資が必要です。
そのための資金を集めるというのであれば出資者も信じて出資を行います。
しかし、この組織は、2018年後半にビットコインが値下がりしてからマイニングを中断し、それ以降配当も行っていません。
現在も実在する組織ではありますが、いつ倒産したり、飛ぶか分からない事例です。
Right Rise (ライトライズ)
Right Rise (ライトライズ)は非常に巧妙です。
なぜならイギリス政府の公認まで受けていると宣伝した事案だからです。
どのような案件かと言うと、出資を募って高速道路の速度超過を取り締まるシステムを開発し、そこから得た罰金の40%を配当にするというものです。
これはイギリス政府の公認を受けていると自称しました。
そして実際に配当を受け取り引き出すこともできたので多くの方が騙されたという事例です。
結局、運営会社は飛びました。
USI-TECH (ユーエスアイ・テック)
最後がUSI-TECH (ユーエスアイ・テック)です。
これは仮想通貨のトレードやマイニングなどで運用を行い利益を出すという内容で、出資者を集めたBitClub Network (ビットクラブネットワーク)に似ている事例です。
さらにUSI-TECH (ユーエスアイ・テック)は独自の仮想通貨であるTechCoinを発行し、出資者に法定通貨をTechCoinに変えてもらうという名目でお金を集めています。
しかし、TechCoin自体はどこの仮想通貨取引所にも上場していないので、ポンドやユーロ、ドルなどの法定通貨にすることができません。
現在実在する会社ですが、ほとんど機能しておらず飛ぶ可能性は非常に高いです。
HYIP (ハイプ)を見分ける為のポイント
これだけ危険なHYIP (ハイプ)ですが、下記3つの見分けるポイントを押さえることで回避できます。
- 閉鎖的な環境での販売
- 限定販売
- 最低購入価格の設定
閉鎖的な環境での販売
閉鎖的な環境というのは、例えばセミナーや知人を集めた閉鎖的な集会での販売や代理店が販売すると言った販売形式です。
閉鎖的な環境で販売を行うのは、詐欺行為が外部に漏れないための工夫です。
まっとうな案件は公式サイトやきちんとした広報を行っており、利回りも常識的です。
限定販売
限定販売にも注意が必要です。
販売者は「ここだけで販売」「日本だけで販売」と言った購買意欲を高めるような売り文句を使用します。
冷静になった時に、「それがおかしな案件だ」「HYIP (ハイプ)である」と気づかれる前に契約をとるためです。
避けるためには、別の日に契約を検討すると告げ、冷却期間を設けることです。
最低購入価格の設定
最低購入金額の設定をしている案件にも注意が必要です。
特に高額なものは注意しましょう。
相手も効率よくお金を集めて会社を飛ばすということが念頭にあります。
そのため、一円でも多く集めるために10万円単位、時に100万円単位の最低出資額を設定します。
あまりに高額な最低金額を設定している案件は回避すべきです。
このような点を押さえておくことでHYIP (ハイプ)を見分けることができます。
HYIP (ハイプ)投資するのはやめといた方が良い
HYIP (ハイプ)への投資はやめておいた方が良いです。
なぜなら多くのものが詐欺案件だからです。
仮想通貨には上場前に出資を募って格安の金額で新規の仮想通貨に出資できるICOというものがあります。
これもお金だけ集めて消えるパターンや上場してもすぐに紙くずになってしまうというパターンも存在します。
警察に取り締まってもらおうにも相手が海外だったり、匿名だったりすることがほとんどのため対応できません。
ただ、HYIP (ハイプ)に近い要素を持っているICOでも中には本気のプロジェクトがあります。
見極めるためにも、公式サイトのホワイトペーパー(事業計画書のようなもの)を読み、仮想通貨の目的や出資金の利用方法を知ることや最初から高収益を狙っていないか(狙っているものは怪しい)と言ったポイントを見るようにしましょう。
またTwitterなどでも情報収集できるので、そこからその仮想通貨の概要を知るという手段もあります。
いずれにしても余程の余裕がない限り、お金を捨てても良いと考えない限りHYIP (ハイプ)はやめた方が良いでしょう。
HYIP (ハイプ)のまとめ
HYIP (ハイプ)は高利回りの案件で、一年で出資金を倍にしたり、ひと月で5割にすると言った夢のような事案を提案します。
しかし、ほとんどの場合が出資を募っていきなり倒産したり活動を停止するなど、その多くが詐欺案件です。
最近は巧妙にビットコインと絡めたHYIP (ハイプ)を提案してくる場合もありますが、ほとんどが詐欺ですから注意して対応する必要があります。