
仮想通貨のビットコインは、2017年に急激な価格上昇がありました。
主要アルトコインも軒並み上昇し、仮想通貨投資で多額の利益を出す人が続出しました。
ところが2018年に入ってから状況は一変し、価格はダウンし続け、時折上昇の期待があったものの結局は下降の一途を辿りました。
それにより今度は仮想通貨投資で大きな損失を抱える人が増え、多数が市場から退場していきました。
2019年も当初は同じような状況でしたが、4月に入って急激にビットコインの価格が上昇し始めました。
1ビット40万円以下だったのが50万円以上に上昇し、その後瞬く間に100万円を超える状態になり、市場は活性化を取り戻しました。
価格は150万円まで上昇したものの、そこから急に価格が下落し、再上昇などもみ合いながら一時は110万円付近までダウンしました。
価格の値動きがあまりにも激しい仮想通貨に対して、期待の声と共に、大きな不安を抱える人もいる状況です。
仮想通貨が大幅下落!もう終わりなの?
急上昇した仮想通貨が大幅に下落し、大きな盛り上がりを見せていた2019年の仮想通貨市場も若干の停滞感が漂っています。
しかし2019年7月現在でも、ビットコインの価格は1ビット110万から130万円程度の上昇と下落を繰り返しており、底堅い印象があります。
2018年のような下降トレンドではなく、現在においても上昇トレンドは続いていると考えられます。
仮想通貨の歴史を振り返っても、大幅上昇や大幅下落を常に繰り返しながら、結局は価格を上昇させてきた経緯があります。
今回の下落に関しては大幅上昇後の調整と考える見方が多く、市場全体は決して悲観的な雰囲気ではありません。
大幅下落の原因となった悪いニュース3選
法定通貨の市場と同じように、仮想通貨市場でも大きなニュースが価格に影響を及ぼしています。
市場に肯定的なニュースが流れれば価格は上昇し、否定的なニュースで価格は下落するという状況です。
今回の価格下落の背景にあるネガティブなニュースについて考えてみましょう。
トランプ大統領が否定的なコメント
アメリカのトランプ大統領が仮想通貨に対して否定的コメントを出したことで、ビットコインの価格は急激に下落しました。
アルトコインの価格も下落し、この発言は非常に大きな影響を与えたと考えられます。
I am not a fan of Bitcoin and other Cryptocurrencies, which are not money, and whose value is highly volatile and based on thin air. Unregulated Crypto Assets can facilitate unlawful behavior, including drug trade and other illegal activity....
— Donald J. Trump (@realDonaldTrump) 2019年7月12日
トランプ大統領は仮想通貨に対し、自身のツイッター上で次のように発言しています。
「仮想通貨は通貨ではなく、価値の変動が非常に激しく、根拠とするものは一切ない」
また同時に、仮想通貨が規制を受けないことに言及し、不法行為に利用される危険性についても述べています。
そして、フェイスブックが計画している仮想通貨の「リブラ」に対しても批判しています。
リブラ計画は仮想通貨の価格上昇の大きな要因になりましたが、アメリカ大統領に批判されたことで市場はネガティブになり、逆に価格下落につながったと考えられます。
但し、急激な下落とは言っても、上昇トレンドを消すほどの影響は与えておらず、一時的な影響に留まっています。
パウエル議長はFBのリブラ計画を懸念
アメリカ連邦準備制度理事会のパウエル議長は、金融委員会の公聴会の中で、フェイスブックのリブラ計画に関して懸念を指摘しました。
「私は、マネーロンダリングなどすべての項目に対し、フェイスブックが幅広く満足させる対応をせずには計画を進めることはできないと考えている。データ保護や消費者プライバシーといった私が初めに列挙した数々のすべての懸念事項は、極めて慎重に厳格に対処する必要がある」
引用:コインテレグラフ
プライバシー・消費者保護・マネーロンダリング・金融の安定性に対する深刻な懸念を指摘したことで、仮想通貨市場はネガティブになりました。
この発言によりビットコインなどの仮想通貨は一時的に下落しました。
ビットポイントでハッキング流出被害
2019年7月12日に、日本の仮想通貨取引所のビットポイントは、仮想通貨の不正流出を発表しました。
ヒットポイントが扱っている5銘柄の仮想通貨が、ハッキングと思われる行為によって総額で35億円分が流出する事態になりました。
35億円という額は、2018年に発生したコインチェックに対する大規模なハッキング事件に比べれば低い額です。
今回被害を受けた仮想通貨は、ホットウォレットで管理していたものと考えられます。
現時点ではまだ原因究明の段階であり、詳細な被害状況も確定されていません。
ビットポイントは現在すべてのサービスを停止しており、ユーザーは仮想通貨の売買を行うことができません。
出金や送金もできず、新規の口座開設も停止している状態です。
ビットポイントは、ユーザーに対して補填を行う方針を示しており、流出事件による仮想通貨市場への影響は今のところ限定的です。
大幅に上昇した後に訪れる『調整』とは
仮想通貨市場では、価格の「調整」という言葉がよく飛び交っています。
「調整」とは、価格が上昇または下降した後に、一時的に反対の動き(下落または上昇)が起こる現象です。
上昇トレンドでは上昇過程で一時的に下落
上昇トレンドによって価格が一気に伸びていく過程において、一時的に価格の下落が起こり、その後また価格が伸びていくことがあります。
上昇トレンドにおいて、投資家は一時的な価格の下落時に押し目買いを行うことで、再び上昇した際の利益を狙うことができます。
下降トレンドでは下落過程で一時的に上昇
調整は、下降トレンドにおいても働きます。
価格が下がり続ける中でいったん上昇する局面があり、これも調整の一環です。
調整は投資家の集団心理がもたらす影響
仮想通貨は、購入だけではなく、最初に売却から入ることもできます。
購入の場合は価格が上昇すれば利益になりますが、売却の場合は価格が下落すれば利益が出ます。
上昇トレンドにおいては、一定ラインまで上昇すると多くの投資家が利益確定を行うため、価格が下がることがあります。
また下降トレンドにおいても、ある程度下落すれば売却から入った投資家が利益確定を行います。
調整は、投資家の集団心理がもたらす影響と考えられます。
調整はなぜ必要?
相場には、上昇トレンド、下降トレンド、レンジの3つが存在します。
これらの状況が交互に現れる点が特徴であり、投資家は利益確定や損切りなどを状況に応じて行っています。
価格が変動するということは、それだけ活発な取引が行われていることを意味し、市場において多くの金額が動いている証明でもあります。
多くの投資家が参入し、様々な取引を行うことによって市場は拡大していくため、調整による価格の変動は市場において必要です。
価格が上がれば売却する人が多くなり、価格が下がれば購入する人が増えるのは、市場において自然の流れです。
調整は市場が活発に動いていることを示しています。
ビットコインの価格はどこまで落ちる?
バブル崩壊後の急落の再発が危惧されている
一時は1ビット200万円台まで高値のついたビットコインですが、2018年から2019年の初めにかけて40万円以下にまで落ち込みました。
2018年は底なし状態でしたが、2019年の4月以降から始まった急激な価格上昇で、短期間のうちに一時は150万円程度になるなど、バブルを思わせるような状態が起こりました。
その後価格が下がったため、投資家の中には、2017年から2018年に起こったバブルからの急激な価格下落が再び発生するのではないかという危惧する声が聞かれます。
100万円以上で底堅く推移している
しかし、現状ではビットコインは底堅く推移しており、1ビット100万円を切るような事態にはなっていません。
もちろん、過去には200万円台から40万円以下にまで下落したこともあるため、価格下落のリスクは常に考えておく必要があります。
但し、仮想通貨を取り巻く環境は改善しており、仮想通貨の機能性に対する評価が広がり、多くの投資家の参入や法的整備も進んでいます。
下落したとしても、もはや40万円以下に戻るような事態はないと考えている専門家も多いです。
今後ビットコインの価格が上昇する可能性はある?
ビットコインの価格上昇については、著名な専門家の中で楽観的な意見を出す人もいます。
中には将来的に1ビット1000万円を超えるような予想を立てる人もおり、期待値の高い相場であることに変わりはありません。
フェイスブックのリブラ計画
フェイスブックのリブラ計画が前進するようなことがあれば、仮想通貨市場に大きな影響を与える期待ができます。
フェイスブックは全世界に数多くの利用者がいるため、そのインパクトは計り知れないものになると予想されます。
当然それはビットコインの価格にも肯定的な影響を及ぼす可能性があります。
ビットコインのETF承認
また、かねてから期待されているビットコインのETF承認がこれから行われるかどうかも注目ポイントです。
ETFが承認されれば、ビットコインは証券取引所に上昇することになり、金融商品として多くの投資家による資金参入が予想されます。
そうなればビットコインの価格は跳ね上がることが予想されますが、現状においては承認の有無はまだ確定的な段階ではありません。
アルトコインの価格は上昇する可能性はある?
ビットコインが市場の60%を独占
ビットコインが価格上昇すれば、アルトコインもそれにつれて価格上昇するのが一般的です。
しかし、仮想通貨市場に対するビットコインのドミナンス(市場占有率)が60%程度の高い推移を示しており、ビットコインに資金が集中している現状があります。
そのため、現在のところビットコインの伸び率ほどはアルトコインの伸び率は限定的になってきます。
ビットコインの価格が上がっても、アルトコインの価格がそれほど上がらず、逆にビットコインの価格が下がるとアルトコインも下がるという皮肉な現象も起こっています。
今後アルトコインに資金が流れる可能性は十分
但し、現在はビットコインに集中している資金が今後アルトコインに流れることは十分に予想されます。
リスクの分散の意味からもアルトコイン投資には意味があり、また実際の機能面においても革新的なアルトコインが多くあるため、将来的な価格上昇に期待する声は多いです。
改めて仮想通貨は本当に終わりなのか?将来性は?
仮想通貨市場は価格の乱高下が激しい
仮想通貨は値動きが極めて激しいため、上昇するときは一気に上昇し、しかも短期間で行われます。
同じように下落する時も一気に下落し、それもまた予測できないほどのスピードで起こることがあります。
そのため、上昇時には非常にポジティブな市場の雰囲気になりますが、下落すれば極めてネガティブな雰囲気になりがちです。
仮想通貨市場は成長度の高い分野
しかし大切なことは「仮想通貨は常に価格上昇や下落を伴いながら成長してきた」という過去の経緯があることです。
仮想通貨に寄せられる期待は大きく、仮想通貨の可能性について多くの企業が注目し研究している現状もあります。
国内の仮想通貨取引所も増えており、それだけ成長度の高い分野という認識があります。
大きく価格が下落すれば、仮想通貨は終わりと考える人も多くなりがちですが、過去の推移を冷静に分析しながら仮想通貨の将来における活用を予測してみれば、ポジティブに考えることのできる部分も多いことがわかります。
まとめ
仮想通貨市場は、値動きの激しさからハイリスクな投資方法という見方もされています。
リスク管理は極めて重要ですが、それを確実に行うことで、リスク軽減と共に仮想通貨の成長の恩恵を受けることも可能になる期待ができます。
仮想通貨FXのようにレバレッジをかける手法は、通常でも値動きの大きい仮想通貨市場では極めてリスクが高くなります。
レバレッジはできるだけ低く抑えるなど、損失を大きくしない方法を考えることが大切です。
また、仮想通貨を購入して持ち続ける長期投資の方法もあり、それぞれが自分に合った方法や得意とする方法を選択することが効果的です。
仮想通貨市場がより健全な市場に成長していけば、悲観的な見方も少なくなっていくと考えられます。