
みなさんはブロックチェーンという言葉を聞いたことがあるでしょうか?
恐らく仮想通貨取引などの経験がある人は耳にしたことがあると思いますが、それ以外の人はあまり聞きなれない用語だと思います。
しかし、ブロックチェーンは今や様々なサイトや本でも紹介されており、非常に注目されている言葉なのです。
この記事では、ブロックチェーンとはいったいなにか?ブロックチェーンがあることによって何が出来るのか?ブロックチェーンの活用例なども交えて紹介していきます。
ブロックチェーンで何ができる?
取引が可視化できるため、改ざんが困難
ブロックチェーンは、信頼性が必要な取引などに非常に向いています。
わかりやすい例をいくつかあげてみましょう。
- 土地の所有権
- 物品に関していうとダイヤモンドや真珠
- 金などの高級な物品の保証
- 目に見えないものなどでいうと著作権や選挙 など
もちろん取引としても株式取引をはじめ、様々な契約や貿易といったものにも活用することができます。
これらの取引にブロックチェーンを導入することにより、今まで、その物の価値や信憑性を保証していた中間組織を挟まなくても安心して取引ができ、その分の中間マージンの削減も行なうことが可能となるのです。
それほど取引の可視化、改ざんが困難ということは大きなことなのです。
公平性の担保
ブロックチェーンは、公平性の担保としても活用されることが多いです。
先述したとおり、中間組織が存在しないということは、組織の意図が参加者の不利益に繋がりにくいといった本質も持っています。
そのため、ブロックチェーン技術はメディアやカジノに非常に向いている技術だとして注目されています。
特にメディアで活用した場合、メディアが独断で取り上げるニュースを選んでいる現状から、メディアの意図が入りすぎるということを防ぐことができます。
ブロックチェーンの活用により、中身のある質のいい記事を書いた人にしっかりと報酬を付与し、またその記事を早く見つけた人にも報酬を与えることで、質のいい厳選された記事を目にする機会が増えるというようなことも起こります。
大きな信頼性
ブロックチェーンの大きな信頼性を活用するといった方法もあります。
大切な書類はもちろん、雇用している従業員の履歴書などといったものにも利用することが可能です。
ブロックチェーンの「過去の記録は改ざんしにくい」という特徴を活かして、自分の経歴などをブロック上にどんどん記録していき、そこに第三者の承認も組み合わせていくといった活用方法があります。
例えば、学歴などについても利用できる方法があります。
ある大学を卒業したという記録をブロックチェーンに自分で書き、その後大学側も事実保証をブロックチェーン側で行なえば、その人の学歴はかなり信憑性の高いという結果が生まれます。
複数の組織を介する取引においての品質保証
1番最初に取り上げた、取引の可視化、改ざんが困難というところに少し被ってしまうところもあるが、それに加えて保証の確認が簡単にできるという点もメリットのひとつです。
保証の確認が簡単にできるため、少し複雑になる貿易などに関して非常に効果を発揮します。
もちろん、貿易により食品流通も絡んでくる事案なので、食品流通の運用との相性も非常によいでしょう。
中央集権でない
ブロックチェーンの「中央集権でない」という点もかなり大きな特徴です。
この中央集権でない点を利用して、企業のサービスの一部をパブリックなブロックチェーンに載せることができれば、その企業が潰れてしまうようなことが起きてもサービスは潰れないといった活用が可能です。
例であげると、企業が発行するポイントサービスなどにこの手法を使えれば、ユーザー側も安心して運用していけるといったメリットもあります。
情報の管理やお金の流通を一元化できる
情報の管理やお金の流通を一元化できるという点は、全員が全ての情報を見れるということであれば大問題ですが、使い方によってはかなり有効な手段となります。
国が管理している個人情報をブロックチェーンで全て管理をすることができれば、給料などもブロックチェーンを経由で受け取ることで税金なども全てブロックチェーン上で完結できるため、透明性が高くなるといったメリットが発生します。
実際にブロックチェーン技術を活用している事例
医療保険会社の情報共有と非効率化へのソリューション
大手企業のIBMもブロックチェーン技術の活用を進めています。
IBMは医療保険会社3社と提携を結び、医療保険業界全体のコスト削減といったところに目を向けて、ブロックチェーン技術を活用しています。
提携を発表した医療保険のエトナでは、ヘルスケアシステムの効率化を掲げ、情報の正確性の向上を実現しようとしています。
今後構築されるブロックチェーンネットワークで、医療保険が業界が何年間も抱えてきた事案でもある、情報共有・顧客名簿の管理・保険金の処理・支払いなどの非効率性を改善・解決しようとしているのです。
他にも医療保険業界の競合同士が協力し、ブロックチェーンネットワークを駆使し、業界全体の発展や健全化に挑もうとしている点にも注目です。
今後、更に複数の医療保険会社とIT企業が手を組み、参加していく予定という話もあります。
IBMが、ブロックチェーン技術を用いて業界全体にソリューションを提供しようとしているのです。
著作権をブロックチェーンで管理
大手企業のソニー株式会社のブロックチェーン活用事例もあります。
ソニーが狙うのはコンテンツの管理に関するものであり、ソニーグループ各社の連名でブロックチェーン技術を応用した、デジタルコンテンツの情報処理システムの開発を発表しています。
コンテンツと著作権の管理でもっとも問題になるのは管理者であり、今では誰もがデジタルコンテンツを製作し、発信できる時代になったものの、権利情報の管理などは業界団体や作者が行なっているのが現状です。
今後もクリエイターが常に増え続けていく中で、膨大な量のコンテンツが効率的に管理できる手法というのは確立されていません。
そこでソニーは、情報の改ざんができないブロックチェーンをベースとした情報管理システムを作ることにより、下記5つのことを実現できるとしています。
- 電子データの作成時期の証明
- 改ざんできない事実情報登録
- 過去に登録された著作物と照合
- データの作成日
- 作成者の共有・証明
この、ブロックチェーンベースの著作権管理システムがあることにより、音楽、映画といった多数のコンテンツを守ることができるのです。
デンソーによる、自動車運転にブロックチェーンを搭載
日本の業界のデンソーも、ブロックチェーン技術を活用しようと模索をしています。
自動車部品シェア世界2位という実績を誇るデンソーは、ラスベガスで開催された世界最大級の技術展示会CES2019で独自のブロックチェーンプロダクトを発表しました。
デンソーが目標として見据えているのは、自動車運転におけるセキュリティ確保です。
車載するデータをブロックチェーン化することで、車の状態や周囲の状況に関する情報を改ざんから保護するといった効果が得られます。
もし自動車事故に巻き込まれた場合でも、ブロックチェーンに記録された改ざん不可能なデータが法的な面で車の持ち主やメーカーを守ることにもつながります。
また、ブロックチェーンで車のバリューを守るといった効果もあります。
車を手放したくなったとき、車載のブロックチェーン上に走行記録やメンテナンスの記録が残っていれば、その車の持つ価値を明確にできることになり、適正に売買ができるようになります。
これまで自動車業界の走行距離改ざんの問題はよくある事例で、対策方法もいろいろとされてきましたが、完璧な対策方法は見つかりませんでした。
ブロックチェーンを活用すれば、走行距離の改ざんといった問題もクリアできるようになります。
デンソーが少しずつ活用している方法は、ブロックチェーンを活用することにより、車の持ち主はもちろん、自動車メーカー側を守るだけでなく、自動運転などのこれからの技術にも活用していく動きを示してくれています。
ブロックチェーン技術の将来性
ブロックチェーン技術の活用は今後も増える
ブロックチェーン技術は、大手メーカーも活用しているように、これからもどんどん活用されることが見込まれています。
身近な日本の企業でも様々な用途での活用方法を見出しているため、今後もブロックチェーン技術を活用する企業は増えていくと予想できます。
活用事例が増えれば世界中で普及する可能性が高い
しかし、その一方で、ビジネス向けのブロックチェーンの取り組みは、当初の期待ほどは進んでおらず、過度な期待のピーク期ともいわれています。
しかし、このような結果もこれからは大いに覆せるとも思っています。
今後、世界中の大手企業や日本の大手企業が、身を乗り出してブロックチェーン技術を活用した事例をどんどんと発表していけば、少なくとも中小企業の経営層には、ブロックチェーン技術というものはどんどん広がっていくことでしょう。
どちらにせよ、今後の大手企業の動きには注目したいところです。
まとめ
ブロックチェーン技術という言葉は、あまり馴染みのない言葉ですが、中身を知れば日常生活の中でも応用されていることがわかります。
クレジットカード決済やインターネット決済にも、ブロックチェーン技術が使われていることが多いのです。
今後ますます生活の大きな助けにもなる可能性を秘めているブロックチェーン技術、これからの活躍にも期待を込めて見守っていきましょう。