
ブロックチェーン技術は、世界中の行政も取り入れている技術ですが、ブロックチェーンを知らずに日常で利用している場合も少なくありません。
そもそも、“行政“という言葉を知っていても行政について説明できない人が非常に多いのも現状です。
今回は行政とブロックチェーンについて詳しくご紹介します。
そもそも行政とは
立法及び司法と並ぶ国家作用の1つ
行政とは、立法及び司法と並ぶ国家作用の1つで、国家が国民を支配する作用のことを主に言います。
また、法律や条例などをより決定された内容を実現することでもあります。
行政(ぎょうせい、英: administration)とは、立法および司法と並ぶ国家作用の1つで、国家が国民を支配する作用のこと。法律や条例などにより決定された内容を実現することである。
引用:Wikipedia
Wikipediaには上記で説明されていますが、もっと分かりやすく行政を説明するとすれば、行政というのは「○○しなさい」「○○しなければならない」という法律によって作られた組織になります。
身近な例は警察
身近なもので例えるのであれば警察です。
“警察法“という法律により下記のように定められています。
「警察は法律に反している人を捕まえなくてはならない」
「警察は法律に反している人を裁判所に突き出さなくてはならない」
警察は、“警察庁“という組織を作り、毎日法律に反している人を捕まえる職務を果たしているのです。
行政は大きく分けると2種類
ちなみに、“行政“と一言で言っても、実は行政は大きく分けると2種類になります。
政府
1つは政府です。
政府は国の仕事をしている所で、下記のように様々な政府機関が存在しています。
- 警察庁は法律に反している人を捕まえる所
- 防衛省は日本を守る所
- 文部科学省は教育のことを考える所
- 財務省はお金のことを考える所 など
地方公共団体
2つ目は地方公共団体です。
地方公共団体は名前の通り地方の仕事をしています。
各都道府県や各市町村にそれぞれ組織があり、その中でそれぞれの役割を担当しています。
ちなみに、こうした全ての行政をまとめている1番偉い人は内閣総理大臣です。
なぜ行政はブロックチェーンに注目している?
行政がブロックチェーンに注目している理由を大きくまとめるとすれば、“近い将来必ず社会に役立つ“と考えているからです。
KYC認証基盤を構築することで可能性が広がる
ブロックチェーン上にKYC認証基盤を構築することで、下記のようなことが可能となります。
- 電子行政などの社会コストの削減や利便性の向上
- 地域活性化分野での共同研究開発に取り組める
- IT分野の教育や雇用に関する事業の協同や実証を通して地域が自立・自走
KYC認証基盤というのは、個人を特定するために公的書類で確認を取り、不正をなくすための手続きのことを言います。
KYC(Know Your Customer)とは、新規に口座開設する際に銀行側から要求される、顧客本人の身元確認における書類手続きの総称です。 今回オープンソースとして公開する「KYC」は、これをブロックチェーン上で実現することで、本人確認にかかる人的・金銭的コストの削減が実現できるプログラムです。
行政サービスを電子化できる
ブロックチェーンを取り入れることで行政のサービスが電子化できるという部分にも行政は注目していると言えます。
そもそもブロックチェーンを取り入れなくても電子化が可能なのも現状です。
ですが、ブロックチェーンを取り入れることにより行政の手続きが電子化され、近い将来には行政サービスが電子上だけで実現する日もそう遠くはないはずです。
生きやすい・生活しやすい社会になる
また、ITの活用をすることで、庁内の作業が自動化・省力化・コンパクト化できます。
行政だけではなく都民・市民側も役所等に足を運ぶ際に印鑑等を持って行くという作業がなくなり、近い将来にマイナンバー制度との連携も有り得るでしょう。
ブロックチェーンを取り入れることで、役所などに行った際の「印鑑が必要なので、印鑑がないと手続きができません」といった2度手間、3度手間になることがなくなったり、念のために印鑑等を持ち歩くという面倒がなくなり、生きやすい・生活しやすい社会となります。
技術者の育成や技術の活用に取り組んでいる地域がある
ちなみに、埼玉県のある地域では、具体的にAIやロボット技術などの技術者育成や活用できる場の構築に取り組んでいます。
主な内容としては下記の通りです。
- 小学生へのプログラミング教育
- 中学生へのAIワークショップ
- 採用支援サービスの専用サイトの開設
- 市役所業務の一部でPRAの採用
市役所事業の一部でPRAの採用というのは、データ入力を自動化するPRAを採用することで、時間外勤務や契約管理システム・電子入札システムの相互連絡、財産賃付・使用許可に非常に役立ちます。
ブロックチェーンを取り入れることで、現代もしくは近い将来の社会で確実に役に立つ、良い方向へ進むという結果が見え始めていることから、行政はブロックチェーンに今まで以上に注目していると言えるでしょう。
行政におけるブロックチェーンの活用事例
アメリカ
ブロックチェーンは医療分野でも使われています。
Skype発祥の国であるエストニアでは、カルテと処方箋のブロックチェーンによる電子化が実現しました。
電子カルテには今まで診察してきた個々の医療機関に保存されているデータを医師と看護士、患者が共有できます。
使い方も非常に簡単で、QRコードを読み取るだけです。
アクセスの権限も鍵を持つ医療機関や端末のみになるのでセキュリティの問題も心配ありません。
そして、電子処方箋はエストニアの患者99%が使用しており、手書きの処方箋によるヒューマンエラーや通院回数の減少によりスムーズ且つコストの少ない医療体制を実現することにも成功しました。
こうしたエストニアの医療分野での影響を受けたアメリカは、ブロックチェーンスタートアップ企業bithealthがヘルスデータを保存・共有するシステムを開発しました。
ブロックチェーンの書き換えが不可能な特性により高い信頼性を誇っています。
ガーナ
ガーナでは、行政におけるブロックチェーンの活用事例は残念ながらまだありません。
ですが、ガーナではブロックチェーンの技術に注目しており、貿易工業省の協力のもとローカルスタートアップが主体となっているブロックチェーンハッカソンを定期的に開催しているようです。
ガーナがブロックチェーンに注目している理由としては大きく分けると2つあります。
1つ目は“フェアトレードを普及させるブロックチェーン“です。
ガーナとコートジボワールでは約210万人の子供たちがカカオの生産に従事していると言われています。
分かりやすく言えば児童労働です。
ガーナではこうした児童労働の問題が度々話題となっています。
そのため、児童労働の問題を解決するにはフェアードを広めることでブロックチェーンの技術が児童労働の問題に非常に役に立つと考えています。
2つ目は“第一次産業で活用されるテクノロジー“です。
ガーナの行政は、ブロックチェーンを導入してカカオ豆の生産地や生産者、バイヤーや支払金額といった様々な情報を記録できるサービスを近い将来提供することを考えています。
生産から消費までの流通情報に誰でもアクセスすることができるようになれば児童労働の問題などの解決への第一歩となります。
また、ブロックチェーンは分散型システムで機能するため生産者と製造者の距離がより縮まるとも考えているようです。
スウェーデン
スウェーデンでは、土地の登記にブロックチェーンの仕組みを採用しました。
今までのスウェーデンは土地の登記や契約で電子署名を使用することは違法とされていました。
そのためブロックチェーンの導入の障害になっていたようです。
ですが2016年から、土地所有権管理機関ラントメーテリエットや金融機関、政府が連携してブロックチェーンの導入を開始しました。
ブロックチェーンを導入するまでは土地の登記や契約時に書類や対人での手続きでしたが、ブロックチェーンを導入したことにより年間120億円ものコストを削減することに成功しました。
今まで沢山のスタッフが動いて、書類作成のために使用していた何十枚、何百枚もの紙がブロックチェーンの導入によって不要になったことは、コスト削減だけでなく過重労働やエコにも良い影響を与えていると言えるでしょう。
ドバイ
ドバイでは、2016年に世界初のブロックチェーンの都市再編計画を発表しました。
また2020年完了を目標に、ブロックチェーンのイミューダブルな利点を最大限に活かしたスマート政策に向けて着々と動いているようです。
公文書管理をブロックチェーン化することで1度登録された住民や企業の基本情報が永久に保存されるようになります。
そうすることで年間約2500万時間の労力を削減することができるだけでなく、二酸化炭素の排出の抑制などにも期待できるとしています。
こうしたことから、ドバイでは都市計画の策定やオフィスの設置、各国や企業の容人やスタートアップを巻き込んだ動きの発信に取り組んでいて、テクノロジーを推進していく最新モデルにもなると各国がドバイに注目しています。
エストニア
Skype発祥の国であるエストニアでは、カルテと処方箋をブロックチェーンによって電子化が実現されました。
電子カルテには今まで診察してきた個々の医療機関に保存されているデータを医師と看護士、患者が共有できます。
電子処方箋はエストニアの患者99%が使用しており、手書きの処方箋によるヒューマンエラーや通院回数の減少によりスムーズ且つコストの少ない医療体制を実現することにも成功しています。
そして、2012年からは、ブロックチェーンを各種登録に関するオペレーションの一部として国民の健康や司法、立法やセキュリティー、商用コードシステムにも活用されるようになりました。
今後は個人医療やサイバーセキュリティー、データ大使館にブロックチェーンの活用を広げることを視野に入れて着々と動いているようです。
ブロックチェーンの将来性
ブロックチェーンの将来性については、今まで以上に活躍することが予測されています。
その理由としては、金融庁であれば金融取引、経済産業省であればサプライチェーンやマネージメント、農林水産省であれば食の安全性管理、法務省であれば不動産登記、厚生労働省であれば医療データ、内閣府であれば行政文書の管理(改ざん不可)、総務省であれば選挙のオンライン投票など、かなりの広い範囲での応用が可能になるからです。
様々な分野でブロックチェーンが導入されることによって、働きやすいもしくは暮らしやすい未来になるでしょう。
まとめ
日本だけに限らず、より多くの行政がブロックチェーンを取り入れることで、過重労働や児童労働の問題、人手不足や食の安全性、早い個人情報の特定などが可能となります。
今までの世の中では、こうした電子化がそれほど必要ではありませんでしたが、現代では電子化が進めば進むほど需要と供給が成り立つ社会になってきてると言えるでしょう。
ますます電子化が進む中、行政だけでなく様々な分野でブロックチェーン技術が活用されることで、今以上に働きやすくて生活のしやすい世の中になることを期待したいところです。