
数十万ビットコインを保有しているリ・シャオライ氏が仮想通貨投資を辞める!?
中国最大級のクジラ(※1)として有名なリ・シャオライ氏は9月30日、自身のSNS(Weibo)にて「今後はブロックチェーンやICO関連の全プロジェクトに投資することは無い」と発表し波紋が広がっています。

参照: リ・シャオライ氏微博(Weibo)公式アカウントより
クジラとは、経済用語のスラングです。
市場に大きな影響を与えるほどの巨額資産を動かす機関投資家のことを指します。
リ・シャオライ氏は、中国最大級のクジラとして同国の仮想通貨コミュニティで圧倒的な影響力をも持つ人物です。
その保有量は、数十万ビットコイン(BTC)を言われています。
※仮に10万ビットコイン(BTC)を保有していたとしても日本円で約746億円(2018年10月5日時点)です。
また、リ・シャオライ氏はベンチャーキャピタルであるBitfundの創設者としても知られています。
>>>Bitfund公式サイト
リ・シャオライのほかクジラとして有名な人物は、ジョージ・ソロスやロックフェラー家など。
ジョージ・ソロス(GeorgeSoros、1930年8月12日)は、ハンガリーブダペスト生まれのハンガリー系ユダヤ人の投資家、慈善家である。
「イングランド銀行を潰した男」("The Man Who Broke the Bank of England")の異名を取る。
ロックフェラー家(Rockefeller family)は、ドイツ南部のプロテスタントの一派バプテスト(浸礼派)として起源を持ったアメリカ合衆国の名門一族。
祖先はフランス系のユグノー出身であり、本来の家名はロクフイユ(Roquefeuille)であったが、ドイツへの移住とともにロッゲンフェルダー(Roggenfelder)となり、アメリカに移住してからロックフェラーと改称した。
ICOとは、Initial Coin Offring(初期資金調達)の略で、独自のトークン(仮想通貨)を事業者が発行し資金を集める手法のことです。
株式公開よりもハードルが低く、今一番注目されている資金調達方法です。
仮想通貨業界への投資を打ち切る発表を事の発端
事の発端はリ・シャオライ氏が自信のSNSで次のようにコメントしたことでした。
今後、私がブロックチェーン関連のプロジェクトなどに投資することは一切ないことをここに表する。
もし今後、”リ・シャオライが関わっている”とうたうプロジェクトが出てきてもそれは全くの嘘なので騙されないでほしい。
また「これからはキャリアを熟慮するのに数年を費やす」とも発言しています。
リ・シャオライ氏の発言に関して、完全に仮想通貨業界から足を洗うつもりだという意見もあれば、Bitfundは仮想通貨を保持しているままなので、リ・シャオライ氏個人での投資をやめるだけで企業や投資ファンドを介して仮想通貨関連の事業に今まで通り関わっていくという見方もあります。
どちらにしても、この件に関してリ・シャオライ氏本人から明確なコメントは出ていませんので、事の真意は闇の中ですね。
なぜリ・シャオライ氏は仮想通貨投資をやめるのか?
リ・シャオライ氏が仮想通貨関連の事業やプロジェクトへの投資をやめる原因についてはいまだ謎のままです。
しかし、有力な説として以下の2つが挙げられます。
- 様々な場面で批判が相次いでいたから
- 中国政府の取り締まり強化批判が相次いでいたから
批判が相次いでいたから仮想通貨投資をやめる説
リ・シャオライ氏は有名な仮想通貨取引所や人物を非難したり、「著名人を強引に巻き込み集客する」という旨の話をしている音声データが流出したりと、メディアでたびたび話題になる人物でした。
また、違法な仮想通貨関連のプロジェクト(詐欺)を合法に見せかけるために、無断で同氏の名前を使われたりする事件も多発していました。
これに関してリ・シャオライ氏は、
私の名前が使われている99%のプロジェクトは詐欺プロジェクトです。すべて僕が認知していないところで作られている。
と完全否定しています。
中国政府の取り締まり強化され始めているから仮想通貨投資をやめる説
リ・シャオライ氏が仮想通貨関連の投資をやめるといった背景には、「中国政府の規制強化」があります。
中国当局は2017年9月に、国内でのICOでの資金調達を法律で全面的に禁止し、2018年1月にはマイニング事業(※3)も禁止しています。
中国が「企業や個人が独自に仮想通貨を発行して資金調達するICOを全面的に禁止する」と発表したことで、仮想通貨市場の値動きが激しくなりましたよね。■ビットコインを巡る中国のジレンマ~eワラントジャーナル(馬渕磨理子)
ヤフーファイナンスhttps://t.co/iUjPPe3oeG pic.twitter.com/8pV9glzYsf— 馬渕磨理子 (@marikomabuchi) 2017年9月22日
また、2018年5月には海外の仮想通貨取引所への中国国内からのアクセスを禁止するなど規制は、日々厳しくなっていました。
Big news out of #China
1. Government releases notice: No more #Bitcoin or #crypto related events at hotels, conferences, office buildings, etc.
2. WeChat Official Accounts of many top #crypto media sources shut down: BiShijie, TokenClub, JinSeCaijin, Huobi, etc. pic.twitter.com/jse7zSH6m2
— Godfather (@CryptoGodfatha) 2018年8月22日
マイニングとは、ブロックに取引情報を書き込み次のブロックを生成すること。またそのインセンティブを獲得すること。
リ・シャオライ氏の仮想通貨投資徹底発言で勘違いしてはいけない点!
今回の一件を通して勘違いしてはいけない点が1つあります。
それは、リ・シャオライ氏が「ブロックチェーン技術の将来を案じたから、早めに投資を打ち切った」というわけではないという点です。
「クジラが投資を打ち切った」と聞けば「ブロックチェーンに未来はない」と思ってしまう方がいるかもしれませんが、それは間違いです。
むしろ、リ・シャオライ氏はブロックチェーンの将来性を楽観視していて、次のようにコメントしています。
私は、数年かけてキャリアの方向転換をする。次に何をするかは考えていない。
もちろん、ブロックチェーンは長期的には発展していくと思っている。
よって、今回のニュースを重く受け止める必要は無く、リ・シャオライ氏が「休暇を取る」という風にとらえても問題ありませんね。
【参考文献】