
Crypto Garage社がサンドボックス対象として認定
株式会社デジタルガレージの子会社であるCrypto Garage(デジタルガレージ)社は18日、同社が規制サンドボックス対象企業として日本政府から認定されたことを明らかにました。
株式会社デジタルガレージ(東証一部 4819、本社:東京都渋谷区、代表取締役 兼 社長執行役員グループCEO:林 郁、以下:DG)の子会社で、フィンテック分野におけるブロックチェーン金融サービス事業を展開する株式会社Crypto Garage(本社:東京都渋谷区、代表取締役:大熊 将人、以下:Crypto Garage)は、規制のサンドボックス制度にて、ブロックチェーンならびに、金融分野で第1号となる認定を取得しました。
日本において、同制度の認定が下りるのは今回で3度目ですが、ブロックチェーン及び金融分野での認定は今回が初めてです。
Crypto Garage社が開発したシステムは、仮想通貨交換業者同士が手持ちの仮想通貨と現金を同時に交換することができる、世界にも珍しいシステムです。
Digital Garageによると、現在の仮想通貨市場は以下のような課題を有しており、それらが要因となり結果的に仮想通貨取引の沈滞につながっているといいます。
- 交換業者へのカバーマーケットが確立していない
- 共通の決済基盤、取引基盤がないため法定通貨と暗号通貨を同時決済できない
- 参加者間で取引を秘匿しにくい
- 取引所が秘密鍵を管理することによりセキュリティリスクが高くなる
つまり、上記の課題に対する解決策としてCrypto Garage社の決済システムが有効的だったため、規制のサンドボックス制度に同企業を認定し開発の促進を後押ししたということですね。
Crypto Garage社は今後1年程度の期間を設け、複数の仮想通貨取引所の協力を得ながら新システムの実証実験を行う予定です。
次は、その実証実験の概要を簡単に紹介いたします。
Crypto Garage社の実証実験の概要
今回の実証実験では、Blockstream社が提供するサイドチェーン決済ネットワークであるLiquid Network上で、賛同する仮想通貨交換業者数社にむけ、
仮想通貨(L-BTC)と法定通貨(JPY-Token)を交換できるサービスを提供します。
交換業者はSETTLENET(※1)というプロダクトを活用することでLiquid Networkに参加することができます。
また、今回の実験ではアトミックスワップという技術を用いることで、Liquid Network上における仮想通貨(L-BTC)と法定通貨(JPY-Token)のリアルタイム決済を可能にします。
これにより、以下のようなメリットも実現するため、「仮想通貨市場がかかえる課題の多くを解決できる」と期待されています。
- 取引相手に対する信用リスクの排除
- 迅速で安全な取引の実現
- 秘匿性の高い取引の実現
- 不正取引の補足などを規制当局が必要に応じて検証可能
Liquid Network参加者に対して、アセット発行や売買、取引モニタリング等の必要な機能を提供するプロダクトのことを指します。
SETTLENETを利用することでLiquid Networkに参加することが可能になります。
サンドボックス制度とは?
サンドボックス制度とは、革新的技術やサービスを事業化する目的で、地域もしくは期間を限定し現行法の規制を一時的に停止する制度のことです。
サンドボックス制度は、テクノロジーの発展スピードが加速すると共に法整備がその進化に追い付くことが難しくなり、
法律をはみ出した画期的・革新的な技術に実験の場を提供するという目的で設けられました。
2019年1月では、サンドボックス制度の対象となっているのは、
- ドローン
- 自動走行
- フィンテック
- 人工知能(AI)
- IoT(Internet of Things)
などです。
その中、サンドボックス制度を世界で初めて導入したのはイギリスでした。
イギリスは2014年、フィンテックの技術革新を目的として世界で初めてサンドボックス制度を導入し、香港、タイ、インドネシアなどアジア地域を中心に世界各国がそれに続いています。
世界で進むサンドボックス制度
サンドボックス制度の導入により、誕生の地イギリスではすでに大きな成果が報告されています。
イギリスでは、サンドボックス制度を活用することにより、FinTech関連のビジネスが約200億ポンド(約3.2兆円)の経済価値と13万5,000人を超える雇用を生み出しました。
また、ドローン産業が発達している中国は、サンドボックス制度導入(2014年)後の2015年、ドローンの輸出額を前年の7倍(約4億7,200万ドル)に伸ばしています。
このように世界各国で成果報告が相次いでおり、サンドボックス制度の有用性が証明されつつあります。
日本でも2017年からサンドボックス制度が導入されており、すでに3つの技術・企業が認定されています。
自動運転やAIなどの分野で日本企業が成果を出す日も近いかもしれませんね。
【参考文献】