
仮想通貨は、特定の中央管理者が存在せずに分散し管理されることを最重視する「非中央集権」の思想が強く、またその思想が仮想通貨の機能に強く表れています。
イーサリアムクラシックは、そのような独自の思想を持ちイーサリアムから派生した仮想通貨です。
本記事では、イーサリアムクラシックの開発目的、特徴、評判や今後の将来性などについてご紹介します。
イーサリアムクラシック(ETC)のwiki的基本情報
仮想通貨名 | Ethereum Classic(イーサリアムクラシック) |
トークン名 | ETC |
公開月 | 2016年6月 |
発行上限 | 210,000,000 ETC |
発行枚数 | 111,373,449 ETC |
アルゴリズム | Ethash |
承認アルゴリズム | Proof of Work(PoW) |
中央機関 | - |
公式サイト | Ethereum Classicの公式サイト |
ホワイトペーパー | Ethereum Classicのホワイトペーパー(英語表記) |
@eth_classic | |
@ethereumclassic | |
Ethereum Classic | |
TelegramID | Ethereum Classic |
時価総額ランキングで常に20位以内に入るイーサリアムクラシックですが、公式サイトは次のことが書かれています。
ETHEREUM CLASSICとは何ですか?
Ethereum Classic(ETC)はよりスマートなブロックチェーンで、ネットワーク、コミュニティ、デジタル資産をさらに活用する暗号化方式です。
ETCは、人々が互いに価値を発信できるようにすることに加えて、自律的に動作する複雑な契約を可能にし、修正や検閲はできません。
これはBitcoinを固定電話として想像することで最もよく説明できます。それは非常にうまく一つのことです。
ETCはスマートフォンのようなものです。Bitcoinができることばかりでなく、もっと多くを行うことができます。
つまり、ビットコインよりも優れた機能を作ることを目的としている仮想通貨と言えますね。
イーサリアムクラシック(ETC)とは
イーサリアムクラシック(ETC)とは、イーサリアム(ETH)からハードフォークして新たなブロックチェーンに移行した仮想通貨です。
その発端となったのがいわゆるTheDAO事件なのですが、その前に1度TheDAOについてご説明いたします。
TheDAOとは
TheDAOとは、自律分散型の投資ファンドを実現させるプロジェクトのことで、ETHに搭載されているスマートコントラクトの技術を利用し「非中央集権」の下で投資活動の実施を目指し、当時のETH総発行量の約10%となる約800万ETH(日本円にして約150億円)の資金をもとに始まった大規模なICOでした。
TheDAOでは、独自トークンであるDAOトークンをETHの内部通貨であるイーサ(Ether)で購入することでファンドを形成し、提案者に資金提供する仕組みです。
投資家としてのメリットは、保有するDAOトークンに応じ、
- 投資策の選定に対する議決権を持てること
- 利益が出た際に分配が行われること
が挙げられます。
TheDAO事件とは
さて、そんな未来の投資ファンドの形であるTheDAOでしたが、システムの脆弱性をついた事件が2016年に発生しました。
事件の原因となったシステムはスプリットと呼ばれ、DAOトークンをイーサに変換する機能を持ちます。
この機能は、DAOの投資方針に賛同できない場合に、保有するDAOトークンをプールDAOから切り離し守ることができるものであり、28日間、切り離し先の資金プールから再度移動はできないという仕様設定でした。
TheDAO事件とは、このスプリット機能の脆弱性を突かれ360万ETH(日本円で約90億円)が盗まれた事件になります。
今まで新しい契約の形としてもてはやされてきたスマートコントラクトが、「どのような契約であっても、一度ブロックチェーン上に保存されれば修正できない」という原理的な問題点により不正送金が発生したことは当時の仮想通貨界隈にとって大きな衝撃となりました。
この不正送金に対する対応をめぐり対立が起き、イーサリアムクラシックは誕生したのです。
当時の具体的な対応方法は以下の3点でした。
- ハッカーのアドレスそのものの無効化(ソフトフォーク)
- 諦めて資金をハッカーに送金
- 不正送金をなかったことにする(ハードフォーク)
この時1番目の対応方法を選んだのが現在のイーサリアムで、3番目の対応方法を選んで開発されたものがイーサリアムクラシックになります。
ハッカーのアドレスそのものを無効化するやり方は、いざとなれば開発者に頼らざるを得ない「中央集権的」な構造であり、本来の特徴であった非中央集権プラットフォームの良さを喪失することにつながりかねないと判断したため、イーサリアム本来のブロックチェーンを維持しようと考えたのです。
コインチェックが動画でイーサリアムクラシックのことを分かりやすく解説していますので、併せてご覧ください。
イーサリアムクラシック(ETC)の特徴
さて、そのような理由から誕生したイーサリアムクラシックには、
開発経緯、利用目的、目的を実行するための機能、その機能を承認するアルゴリズムプロセス等の観点に以下のような特徴があります。
イーサリアムからハードフォークしたことで誕生
イーサリアムクラシックは、上述の通りTheDAO事件に対する対応・ブロックチェーンに関する思想の違いにより、Code is Lawという原則のもとにイーサリアム独自のブロックチェーンを守るためにハードフォークして誕生しました。
管理者不要の分散型アプリケーションの総合プラットフォーム
現在のイーサリアムと異なり、いざという時も管理者に頼らない「非中央集権」的分散型アプリケーションの総合プラットフォームです。
特にIoT((Internet of Things))プラットフォームの提供を目指し開発が進行中
イーサリアムとの差別化を図る一環として、これから急成長が見込まれるIoT方面に特化してプラットフォームを目指しています。
予め条件をプログラミングすると、条件が達成時に自動で契約が遂行(スマートコントラクト)
イーサリアムと同様、
- 契約における契約定義
- イベント発生
- 契約執行
- 決済
といった4ステップのうち、契約定義以外を自動で実行するスマートコントラクト機能を搭載しました。
従来の契約で不可欠であった、相手への信頼が不要になりました。
これにより、今まで必要としていた相手を信頼するためのコスト(信頼するまでに必要な時間や、あるいは介業者を挟むことによる金銭的損失)が不必要になりました。
契約時に起こりがちであった契約の改ざんがブロックチェーン機能により原理的に不可能になりました。
これにより、今まで必要としていた契約を保証するためのコスト(契約書の取り交わし、契約書の保存)も不必要になりました。
コンセンサスアルゴリズムは PoWのまま(イーサリアムはPoSに移行)
イーサリアムは、消費電力などの観点からPoS(Proof of Stake)に移行しました。
しかし、イーサリアムクラシックは「非中央集権」分散型プラットフォームを実現する独自の思想が強くPoW(Proof of Work)のままを維持しています。
イーサリアムクラシック(ETC)に対する懸念点
イーサリアムクラシック に対する懸念点は現在下記の3点です。
分散型プロトコルとしての意義を守る、Code is Lawという原則
大問題が発生しない限りプロトコル変更はしないという原則ですが、大問題の定義がなされていないため、逆に何か事件が発生した際に意見がまとまらずに再度分裂する可能性があります。
また、大問題が発生してもプロトコル変更が行われない場合、発生した損失額が補填されることがないため投資家の不安にも繋がります。
時価総額とマイナーの関係から51%攻撃が発生しやすい
米大手仮想通貨取引所Coinbaseが、2109年1月に実際に51%攻撃を含むReorg行為を発見したと報道されました。
ブラジルのFECAP大学の仮想通貨研究者 Husam Abboud氏は、
「イーサリアムクラシックは時価総額と比較しハッシュレートが低いため、約60億円のコストで約1,000億円の利益を享受することが可能」
と説明しています。
システムの開発力が徐々に低下し、コミュニティのユーザー数もイーサリアムと比べて小規模
イーサリアムクラシックの開発は、イーサリアムの開発者から有志へと引き継がれた形で継続しています。
そのため、イーサリアムに比べると開発力が劣っているという懸念があります。
また、コミュニティのユーザー数においてもイーサリアムと比較すると少なく、コミュニティも小規模なものとなっています。
イーサリアムクラシック(ETC)の評判・口コミ
ここからは、イーサリアムクラシックに対する評判や口コミを見ていきましょう。
良い評判
良い評判としては、ETH本来のチェーンを維持していることから、
- ETHのリハーサルとしてETCで搭載確認などすればwin-winの関係になるのではないでしょうか。
- ETC は日本の金融庁ホワイトリストにも入っている、安全性,信頼性の高い暗号通貨です。また、本来のEthereumのチェーンをロールバックせずに維持している、歴史のある暗号通貨とも言えます。
といったものがありました
EthereumClassic(ETC)
あの事件から約2年
元のチェーンからイーサは家出してしまったけど
その家をずっと守り続けてきたこれからはもっと協力して
万が一に備えて
新システムのリハーサルとして
ETCで搭載確認などすれば
win-winの関係に$ETC #ETC #イーサリアムクラシック #イークラ #仮想通貨 https://t.co/Th1RIxB35Z— ニイタク@BTCFX (@niizeki_BTC) 2018年6月23日
$ETC は日本の金融庁ホワイトリストにも入っている、安全性,信頼性の高い暗号通貨です。
また、本来のEthereumのチェーンをロールバックせずに維持している、歴史のある暗号通貨とも言えます。 pic.twitter.com/QW6fJvZHHo— EthereumClassic JAPAN (@etcjapan) 2018年6月23日
悪い評判
逆に悪い評判としては、コミュニティの少なさに起因して
- 資金調達できないようなETC開発業社がいて、それに伴いETCもダメなのではないか。
- (51%攻撃を受け)60億円のコストでかなりの利益を得られる試算が去年ありましたよね。こんな懸念がありながら金融商品に組み込むとかやっぱりあり得ない。
といったものがありました。
イーサリアムクラシックの開発会社の一つが当面の操業停止を発表した。2年半稼働してきたETCDevは、暗号市況の悪化により、事業継続に必要な資金調達で苦境に陥った。
「ETCDEVは現状では事業を継続できず、現行活動の停止を発表」現状で資金調達できないようなETC開発業者❗️
ETCも、もうやばい👎 https://t.co/9K888wgAcf— Inner god (@inner_god) 2018年12月4日
【イーサリアムクラシックに51%攻撃の懸念】
ついに来ましたか…。60億円のコストでかなりの利益を得られる試算が去年ありましたよね。こんな懸念がありながら金融商品に組み込むとかやっぱりあり得ないのかもしれませんね。https://t.co/kHs8vCBFMS— ツインズナオキ@プログラミング熱狂中 (@twins_naoki) 2019年1月8日
イーサリアムクラシック(ETC)の将来性
現在、イーサリアムクラシック(ETC)は、イーサリアム(ETH)のスマートコントラクト機能を利用し、IoT分野での活用を目指して開発が進められています。
IoT分野では、大量のセンサーをつけることから大量のデータ処理が必要になり、かつ秘匿情報も含まれるため高セキュリティも求められるため、ブロックチェーンと非常に相性が良いと考えられています。
また、IoT分野は近年急成長を遂げている分野でもあり、2020年の5G導入によって市場はさらに拡大すると考えられています。
そのため、IoT分野において利用拡大が進めば大きな将来性が見込まれるのではないでしょうか。
より詳しくイーサリアムクラシックの将来性を知りたい人は下記の記事をご覧ください。
イーサリアムクラシック(ETC)のまとめ
イーサリアムクラシックはTheDAO事件への対応方針の違いから開発された仮想通貨で、イーサリアムのスマートコントラクト機能は実装されたままPoWを維持しています。
一方、時価総額の割りにコミュニティの数がETHに比較し小さく、それが原因で51%攻撃が発生するなどの懸念点もあります。
しかし、現在はIoTプラットフォームへの活用を目指し開発が進められており、将来性は高いと言えるでしょう。