
先週の外出先から帰宅してテレビを付けてみたら、仮想通貨を絡ませた投資詐欺に関するニュースが報道されていました。
仮想通貨の業界については、3年間くらい関わっていますが、ここまで大体的な騒動に発展した例は見たことがありませんでした。
今回問題になったのは、SENERという投資商品を扱った詐欺行為となります。
被害に遭われた方は非常に気の毒ですが、これを機に改めて投資について考え直す機会と捉えて記事に起こしたいと思います。
SENER(セナー)の概要と特徴
SENER(セナー)とは一言で表現するとHYIPという系統に分類されます。
HYIPとは何かというと、「High Yield Investment Program」略称として頭文字をとったもので、高益投資プログラムです。
月10%の配当、紹介すると配当が増えるなどをセールスポイントにしている商品は漏れなく、これに該当します。
HYIPだけでも、割と1つの記事が書けてしまうので、上記の簡単な説明に留めさせて頂きます。
ちなみに私自身もHYIP案件に遊び感覚で投資したことがありますが、すべての案件が途中で音信不通となっていますね。
さて、SENERの概要と特徴を当時の説明会の内容で説明をさせて頂きますが、詐欺が立証されつつある今、真に受けないようにお願い致します。
こんな風に紹介していたんだなというつもりで見て頂ければと思います。
Sener(セナー)とは、2007年にアメリカで設立された投資ファンド会社と呼ばれていました。
CEOはSpenser Brownという人物が紹介されています。また、世界中に支社が存在しているとのことでした。
SENERの運用プロセスについて
次にどのように資産を運用していくのかという説明をしてみます。
- 顧客投資資金
- 第三者保管銀行
- 個々のMT4取引口座(MT4:投資をするためのプラットフォーム)
- 顧客基金の取引と管理を行う、
- プロフェッショナル取引とリスク管理チーム
- レバレッジ、ヘッジ、裁定取引戦略を活用して、利益を生み出す。
- インデックス取引を通じて、SENER(セナー)と顧客のための利益を生み出す
ここでのポイントとしては、②と③ですね。
第三者保管銀行ということで、資金管理をこの投資はしっかりしているんですよ!というアピールをしています。
(運用資金とそれ以外の資金を分ける分別管理という説明をしている可能性がありますね。)
そして、FXをやっている人は聞いたことがあると思いますが、MT4というFX取引を行う認知度が高いプラットフォームがあります。
メジャーなものを使っているので、安心ですよね?というアピールをしています。
おそらく、説明会を聞きに来た人のほとんどが②と③の時点で信じ込んでいるような気がします。
④、⑤、⑥については、利益が生まれるまでの過程なので、専門用語のオンパレードを並べておけばOKという感じですね。
ここまで来ると、あとは結局いくら儲かるのかという点が皆さんの関心毎になってきます。
ということで、当時の説明資料にあった配当プランを紹介します。
SENERNの配当プラン
以下の図が全ての報酬プランとなります。
縦軸に投資経過期間、横軸にパッケージという購入単価を示したマトリクスで表現されています。
当然ながら、投資期間が深くなり、パッケージ料金が上がる程リターンが上がる仕組みになっていますね。
これを見た参加者の方々は、どのくらいの期間で投資元金を回収できるかを無意識に考え始めたのかと思います。
次に、配当とは別に用意されている報酬プランについて紹介します。
SENERNの報酬プラン
グループボーナス
ダウンラインが受け取った配当の何%かがユニレベルで配当されます。
最初に購入したパッケージによって段数が変わります。
- 1~5段 : 配当額の10%(1000ドルパッケージはここまで)
- 6~10段 : 配当額の8%(5000ドルパッケージはここまで)
- 11~15段: 配当額の5%(1万ドルパッケージ以上はここまで)
ユニレベルとは、自分(1段目)、自分の下には2人(2段目)、そこから二又に分かれ更に4人(3段目)のような感じで段が形成されています。
<ブレイクアウェイボーナス>
グループ総売上によってタイトルとボーナスが支給されます。
- アシスタントマネージャー: 総売上4万ドルで達成、総売上の4%が支給
- マネージャー: 総売上20万ドルで達成、総売上の5%が支給
- シニアマネージャー: 総売上40万ドルで達成、総売上の6%が支給
- アシスタントデピティディレクター: 総売上200万ドルで達成、総売上の7%が支給
- デピティディレクター: 総売上400万ドルで達成、総売上の8%が支給
- ディレクター: デピティディレクター2人排出で達成、総売上の9%が支給
- シニアディレクター: デピティディレクター3人排出で達成、総売上の10%が支給
ニュースを見た時にそこまで多くの代理店営業がいるように見えなかったため、このプランが生まれたのだと思います。
口コミこそが最強の集客方法と言われているのを利用する営業形式ですね。
実際にこの報酬が支払われているかどうかは、情報として持っていません。もし支払っているとしたら、参加者の投資金額から捻出しているのだろうと考えられます。
SENER(セナー)が企画した台湾イベントについて
ここまでで十分参加者たちの目が曇り切っているのですが、さらに組織立っての台湾旅行イベントの企画をしていました。
イベント内容の詳細はわからなかったのですが、参加者たちは無料で参加ができて、イベント会場では俳優の中村雅俊さんが登場するなど盛り上がりを見せたようです。
おそらく、参加者が高齢ということもあり、このキャスティングになったのだと推測します。
実際に、中村さんの事務所側の回答として以下のようなものを受けています。
この件について、中村雅俊さんの事務所は14日、
「事前・当日も含め、米SENER社の人とは会っておらず、またステージ上でも米SENER社に関するコメントはしておりません」
とするコメントを発表した。
引用元:FNNPRINE
最近のモデルケースとして、ある程度組織として人が集まってきたら、このように派手にイベントを開催することが増えています。
事務所側も安易に仕事を選んではいけない気がしますね。
イベントの趣旨および目的を把握しないと、信用を落としかねないということが分かります。
ここでの考察としては、参加者および参加しようとしている人に対して、思考能力を奪うことが目的と考えられます。
イベントを行うことで、この投資は台湾でイベントを開くことができるほど、信頼があるものなんだ!しかも有名人まで呼ぶことができるなんてすげえ!みたいな方向に仕向けられています。
残念ながら、ここまでされてしまうと大体の人は思考停止状態となってしまっているでしょう。
よくよく考えてみると、有名人の出演についても高校、大学の学園祭に呼ぶことができることを考えると、皆さんが想像している額よりも安価で済んでいることが分かります。
派手なものほど、何かを隠している煙幕として機能していることがあることを私たちは学ばなければいけません。
SENER(セナー)は出金停止になったのか?
今回のSENERが事件として発展したのは、結局参加者のお金が出金できなくなったことが発端です。
それでは、なぜSENERでは出金できなくなったのか?と分かり切ったことを書いていきます(-_-;)
用語としては、ポンジスキームという言葉が今回の事件に当てはまります。
ポンジ・スキームとは、詐欺の一種で、「出資してもらった資金を運用し、その利益を出資者に(配当金などとして)還元する」などと謳っておきながら、謳っていることとは異なって実際には資金運用を行わず、後から参加させる別の出資者から新たに集めたお金を(やはり運用せず)以前からの出資者に“配当金”などと偽って渡すことで、あたかも資金運用が行われ利益が生まれてそれが配当されているかのように装うもののこと。
引用元:Wikipedia
ウィキペディアより引用させて頂きましたが、実際には運用していないことがほとんどということです。
- 配当額 < 入金額という運営状況であれば、このスキームは永遠に続きます。
- 配当額 > 入金額という逆パターンとなると、配当を出すことができません。
次第に、出金がしにくくなるという状況に陥ります。
それにしても、シンプルな仕掛けかついつか必ず破綻が来るのにもかかわらず、こういった案件を作成して世の中に広める感覚が全く理解できません。
SENER(セナー)の首謀者が逮捕された理由とは
今回、関係者を含めて8名の方が逮捕されるという形でいったん収束を迎えています。
首謀者である柴田千成容疑者の逮捕理由は、金融商品取引法違反という罪の容疑となります。
法律的には、金融商品を取り扱うためには、資格を有している必要があります。
また、金融商品自体も金融庁による承認が必要となります。いずれも、今回は抵触してしまっています。
そして、ニュースでは83億円という金額がキーワードだったりしています。
この83億円というのは、SENER全体で集めた金額となります。その内78億円が仮想通貨で集めたと言われます。
仮想通貨で集めた78億円は、法律的にはNGではないので、実際には5億円が今回の焦点となります。
今回の事件を受けて、法律のテコ入れが入りそうだと感じています。
現金だろうが、仮想通貨だろうが、その人にとっては資産であることには違いありませんからね。
個人で金融商品を扱うことは基本的にはないので、金融商品を勧められてたらスルーすることをオススメします。
話を聞いても絶対だめです。なぜならば、中途半端な知識で対抗しても、相手は必ず想定問答集を持っているので丸め込まれる可能性があります。
なので、丁重にスルーしてくださいね。
仮想通貨の出資には気をつけよう!
それでは、まとめに入ります。
今回の事件を教訓にして、以下のことを守ってみましょう。
- 個人からの金融商品の話は絶対に聞かない
- 利率が月利○○%、報酬プランをうたい文句にしているものは大体詐欺である
- 派手な演出は、何か隠したいことがあるので、そこを信頼ポイントとしてはいけない
- 自分のコントロール下にない資金は、なくなるものだと思う(出金するときに、自分でコントロールできない)
上記のことを守るだけで、詐欺リスクは格段に下がると思います。
最近も流行っているICOの中でも、報酬プランを用意しているものがあるものについては、要警戒です。
おそらく、まだまだ氷山の一角でいろいろな案件で被害というものは出ていたし、これからも出てくると思います。
本当は、こういう事例については、高校生くらいから教えてもいいんじゃないかなと思います。
しかし、人間というものは不思議で実際に当事者になった途端に目が曇ってしまいます。
曇る要因としては、その時々の心理状態であったり、財政状態であったりします。なので、教育をいかに受けても完全に防げはしないでしょう。
個人的には、投資については自分自身で実践する以外はやらないというルールを守るが固いと思います。
近道をしたくなっちゃうときほど、遠回りを選択するように心がけましょう!