
仮想通貨が投資対象として普及するようになって久しくなりました。
実際にビットコインに関しては、家電量販店の支払い方法として目にすることも珍しくなくなってきています。
しかし、仮想通貨についてそれほど詳しくない人にとっては、ビットコインとネムの違いもわからず、一括りに考えている場合も少なくありません。
または、ビットコインとネムの違いを聞くのも恥ずかしくてそのままになっているということもあるかもしれません。
そこで今回は、仮想通貨ネムとビットコインの違いについて、具体的にどんな違いがあるのかについて詳しくまとめてみました。
ネムとビットコインの違い
仮想通貨ネムとビットコインは、法定通貨である米ドルと日本円のように、仮想通貨(暗号通貨)としての通貨単位が違います。
しかし、それ以外にもネムやビットコインは何が違うのでしょうか。
一番の違いは権力の有無
ネムとビットコインは、用途や機能と言った様々な点で異なりますが、一番の違いは権力の有無です。
ネムには、ネム財団と言う大きな後ろ盾があり、それが団体や企業と言った組織から支持されています。
それに対し、ビットコインは権力と言うような存在がなく、みんなで発展させていくというコンセプトがあります。
取引承認作業の仕組み
そういった点が強く感じられるのが取引承認作業(ビットコインで言う所のマイニング)です。
ビットコインは誰でも参加できます。
一方ネムはネットワークにおけるユーザーの「重要度」(どれだけネムを保有し、取引を行っているのか)に応じて参加できるかどうかが決まってきます。
このように、ビットコインはネムよりも民主的な仮想通貨であるという点で違いがあります。
ビットコインのマイニングに参加するのも制限があるのが実情
しかし、ビットコインは仕組み上は誰でもマイニングを行うことができますが、マイニングを行うためにはハイスペックなPCや膨大な電力を必要とします。
そのため、実際には大量の計算処理が行えるシステムを保有している人が有利になる仕組みとなっており、「誰でも参加できる」という概念や平等さは形だけのものになろうとしています。
このように取引承認作業においては、ネムもビットコインもある種の制限がある点では共通しているため、現状の実質的な違いは用途や機能ということになります。
ここからは、ネムとビットコインそれぞれの用途や機能の面においての特徴を詳しくみていきましょう。
そもそもネムとは
ネムはサービス構築用プラットフォーム、つまり仕組みを作り出すと言う用途を目的として開発された仮想通貨です。
ネムの機能は様々な分野で応用できる
従来の貨幣にとって代わるという目的ではなく、それ以外の新しい経済(モノの売り買いなど)を作り出す仕組みとして開発されたのです。
ネムの仕組みは、仮想通貨としての機能だけでなく、会社内の帳簿などの台帳を管理するための仕組みとしても応用できますし、アプリ開発の仕組みとしても応用できるという性質を持っているのです。
低コストかつ省電力で取引ができる
また、PoIという取引検証アルゴリズム(※)を採用しているネムは、少ないエネルギーで承認が完了するため、送金やシステムを運営する側にとっても、低コストかつ省電力で取引ができるというメリットがあります。
冒頭でお話しした一部の重要度の高いユーザーの承認のみで取引が検証されるアルゴリズムのこと。
セキュリティが高く処理速度も早い
このほか、悪意のあるユーザーを排除することができるセキュリティレベルの高さやPOIによる迅速な処理で送金も速いという特徴を持っています。
更にその送金も、メッセージを入れて送金できるという便利な機能も有しています。
取引承認の重要度はネムの保有量+取引量
また、民主的という面ではビットコインに劣るとお話しましたが、ネムはそういった点についてある程度配慮がなされています。
それはネムの取引承認に関係する重要度です。
ネムでは取引承認の重要度を、ネムの保有量だけではなく「保有量+取引量=重要度」と定めています。
取引量も考慮されているため、どれだけネムを保有していてもそれだけでは重要度は上がらず、ネムをたくさん保有し尚且たくさん取引を行う人の重要度が高くなるという仕組みになっているのです。
ネムは、このような仕組みを定めることによって民主的な性質を高めようとしています。
ビットコインとは
ビットコインは決済を目的とした仮想通貨です。
時価総額・取引量・流通量、全てにおいて仮想通貨の中でトップに君臨しており、まさに仮想通貨の代名詞とも呼べる存在です。
従来の通貨と代わることを目的に開発された
このビットコインは、文字通り新しい貨幣として従来の通貨と代わることを目的として世界で初めて開発された仮想通貨です。
その特徴はブロックチェーンと言う管理の仕組みです。
世界各地のネットワークに分散された「ノード」と呼ばれるものに取引履歴が書かれた台帳が記録されています。
これによって管理が分散されているという特徴があります。
第三者機関を必要としない仮想通貨
非中央集権型のP2P暗号通貨(電子メールのように個人間でビットコインのやり取りができる。)という特徴から、中央で権力を握る存在である第三者機関を必要としないのです。
このような点からネムに比べて民主的と言えるのです。
決済手段としてすでに普及し始めている
また、決済を目的としているため、現実社会でも決済の手段として使用できる場所が増えているというのも特徴です。
ネムは仕組みが様々な分野で応用される仮想通貨であるのに対し、ビットコインは実際に使ってもらうという性質をもった仮想通貨なのです。
ネムとビットコインのスペックの違い
ネムとビットコインのスペックについてもお話ししていきます。
ネムとビットコインのスペックの違いとしては、以下の4つが挙げられます。
- 発行枚数
- ブロック生成時間
- スマートコントラクト(自動契約)の有無
- 送金スピード
発行枚数
ネムとビットコインの発行枚数は以下の通りです。
- ビットコイン→2,100万BTC
- ネム→8,999,999,999XEM(約90億XEM)
数字だけ見ると圧倒的にネムが多いように見えますが、最小単位の最小桁数が違うため実質的な差はありません。
ちなみにビットコインの最小桁数(1satoshi)は0.00000001BTC、ネムの最小桁数(1μXem)は0.000001XEMとなっています。
ブロックの生成時間
ネムとビットコインのブロック生成時間以下の通りです。
- ビットコイン→約10分
- ネム→約1分
このように、ブロック生成時間では、速度に大きな違いがあります。
スマートコントラクト(自動契約)の有無
スマートコントラクトとは、ユーザーが仮想通貨のネムを支払った瞬間に自動で売買成立(契約成立)する仕組みです。
これはネムにのみ実装されており、ビットコインは非搭載です。
基本的に多くの仮想通貨に実装されたシステムですから、ビットコインはこの自動売買契約においてはシステム的にやや主流ではないと言えます。
送金スピード
最後に送金スピードについてです。
- ビットコインは約10分
(取引量が多くなったり、マイナーが少なくなったりすると、10分以上かかる) - ネムは1分程度
このように、ネムの方が圧倒的に送金スピードが速くなっています。
これはネムがビットコインとは異なるコンセンサスアルゴリズム(取引承認の仕組み、全員で行うか、一部のユーザーのみで行うかと言ったもの)を採用していることが要因となっています。
このように、時価総額や普及面ではあらゆる仮想通貨に圧勝しているビットコインですが、スペックに関しては必ずしもネムなど他の仮想通貨に勝っていると言うわけではないのです。
ネムとビットコインの使い方の違い
ネムとビットコインの使い方についてもお話ししていきます。
ネムの使い方
ネムを利用する場合には、
- Nano Wallet
- NEM Wallet
- XEMの公式ウォレット
などを利用してネムを格納し、決済や送金などを行います。
Nano Wallet

出典:NANOウォレット
まず、Nano WalletはPCなどで利用が可能です。
- ネムの保管や残高確認
- 送受信
- アポスティーユ
(公証機能、電子ファイルの改ざんがないことを証明する機能のことで若干手数料がかかる) - マルチシグなどセキュリティに関する機能
(マルチシグ=送金に複数人の承認を必要とする機能のこと) - ビットコインで言う所のマイニングのようなことを行う(報酬を受け取る)ことができる機能
このように様々な機能を実装しているソフトウェアです。
NEM Wallet

出典:NEM Wallet
NEM Walletはスマホアプリです。
最小限の機能を備えたシンプルなアプリになっています。
- ネムの残高確認
- 送受信
- ハーベスティングの履歴確認
を行うことが可能です。
XEMの公式ウォレット
XEMの公式ウォレットは、現在開発中のウォレットです。
取引所から引き揚たネムを保管するのに適したウォレットになっています。
コストがかかるアポスティーユ(公証機能)を低コストで発行できる点や、最新のセキュリティ機能を備えて防御すると言ったことが可能です。
ネムは基本的に決済と言うよりは、様々な通貨を両替し送金したり保管する用途に適した仮想通貨と言えます。
ビットコインの使い方
対してビットコインは決済用途に優れた仮想通貨です。
仮想通貨の主要通貨となっているため、ほとんどの取引所やウォレットでも取り扱われており、気軽に利用することができます。
QRコード決済も可能
仮想通貨取引所のアプリであるビットフライヤーのウォレットアプリにビットコインを格納していれば、対応する店舗でQRコードを表示させて読み取りを行うことで、PayPayなどのように決済を行うことも可能です。
このほか様々なウォレットのソフトウェアやアプリが出ており、送金や保管などの機能が供えられています。
ネムとビットコインは、送金などに重きを置いたネムに対して、決済に重きを置いたビットコインと言う性質の違いがあります。
しかし、現状はいずれも投資対象の使い方が主流になっている傾向です。
ネムとビットコインの将来性の違い
ここからは、ネムとビットコインの将来性の違いについてみていきましょう。
ネムの方が機能面では将来性が高い
一言で言うと、ビットコインよりもネムの方が、仮想通貨の機能としては将来性が高いと言えます。
理由としては、
- スケーラビリティ問題を解消できること
- 仮想通貨システム以外への拡張性があること
が挙げられます。
ビットコインはスケーラビリティ問題が課題
スケーラビリティ問題は、実際の取引量が処理能力を超えてしまうことです。
ビットコインはこの問題に直面し、取引手数料が増してしまうことがありました。
ネムはカタパルトのアップデートに期待が集まる
ネムはカタパルトと呼ばれるアップデートを行い、処理能力を向上させセキュリティを強化するとアナウンスしています。
こういった具体的な動きがあるという点と、ネムの元々の開発目的であるプラットフォーム(仕組み)を仮想通貨以外にも応用することができる点からみると、機能的な面ではネムの方が将来性があると言えるのです。
しかし、規模の上では現状ビットコインの方が圧倒的に大きいため、未知の将来性の大きさを無視することはできません。
ネムとビットコインの保有率の違い
ネムとビットコインの保有率は大きな違いがあります。
国内での調査では、直近1年間仮想通貨保有者の保有通貨に関してビットコインが74.5%であるのに対し、ネムが20~30%前後と報告されています。
この違いは、ビットコインの知名度の高さや決済にも使えるという点と、相場の高騰による投資熱の加熱によるものが大きいでしょう。
しかし、仮想通貨の保有率自体は日本の人口の2%程度と言われています。
そのため、実際の通貨の代わりとなることを目指すビットコインも、通貨以外の新たな存在としての確立を目指すネムも、本来の目的はまだ達成できていないというのが現状なのです。
ネムとビットコインの評判の違い
ここからは、ネムとビットコインの評判の違いについてみていきましょう。
ネムの評判
ネムに関しては、コミュニティが活発で、参加者が非常にアグレッシブであるという特徴があります。
このような動きが強まる背景には、人気があるという評判や将来性を感じるといった評判があるようです。
また、ビットコインや他の仮想通貨に比べて相場が安定している点も評価が高い理由となっています。
また、自動で行うハーベスト(マイニングのようなもの)がパソコンを動かさずとも通貨が得られる点も高く評価されています。
ネガティブな評判をあげるとすれば、安定した価格が投資には不向きであるという点があります。
ビットコインの評判
ビットコインに関しては不安定な相場が投資向きと言う高評価を得ているものもあれば、価値がころころ変わるので決済にはやや不便と言う意見もあります。
投資としてまだまだ魅力的なビットコインと将来性を感じるネムの違いが評判に現れています。
ネムとビットコインの違いのまとめ
ネムはシステムの上でカタパルトと呼ばれる大規模アップデートを控え、システム的にも魅力が高く、将来性に期待が集まっている仮想通貨です。
一方ビットコインは、その知名度と取引量や保有率の高さから、現在仮想通貨のトップシェアを誇っています。
しかし、システム的にはネムにやや劣る面もあります。
それでもまだまだ大きな可能性を秘めた仮想通貨と言えます。
このように、ネムとビットコインにはそれぞれ特徴や魅力があるため、どちらも将来性の高い仮想通貨であると言えるでしょう。