2009年に正式発表された仮想通貨は、誕生してから10年が経ちました。
暴騰したり暴落したりと様々な展開を見せた仮想通貨業界ですが、これから仮想通貨取引を始めてみようという方もいらっしゃるのではないでしょうか。
この記事では改めて仮想通貨に関するメリットとデメリットをまとめてみたいと思います。
参考にしてみてください。
仮想通貨のメリット
まずはメリットから見ていきます。
大きく儲けられる可能性がある
仮想通貨を投資対象とした場合の話になりますが、仮想通貨は大きく儲けられる可能性があります。
仮想通貨の代表格であるビットコインは2009年に正式に発表されましたが、発表当時は1円にも満たない価格でした。
これがわずか8年後の2017年末には200万円を超える値を付けたのです。
もし、発表当時に100円分のビットコインを保有していたとしたら、2017年には2億円になっていたということになります。
また、1日の値動きだけを見ても、10%価格が上がることもざらにあります。
この「10%価格が変動する」という値動きは、株式や為替では異常値と言える状態であり、滅多に起こることはありません。
投資金額にもよりますが、仮想通貨はたった1日でも大儲けできる可能性を秘めているのです。
送金が早く、手数料が安い
仮想通貨で送金する場合、インターネット上だけで完結するうえに手数料も安いというメリットがあります。
一般的な送金
一般的にお金を送金する場合は、銀行などの金融機関を介して行います。
自身の銀行口座から送金手続きを行い、相手の銀行口座へ手続きが行われるという流れです。
2つの銀行で所定の手続きを行う必要があるため、時間がかかりますし、手数料もかかります。
海外へ送金する場合は、さらに時間と手数料がかかりますよね。
仮想通貨での送金
仮想通貨であれば銀行を経由する必要はなく、インターネット上でやりとりするだけなので、即座に送金が可能となります。
また、手数料も格安となります。
インターネット上でやり取りが完結するため、海外への送金も同じように即座に格安で行うことが可能なのです。
インフレに対応できる
仮想通貨の多くは、発行上限枚数が決まっています。
ビットコインは2100万枚と定められており、これを超えるビットコインが発行されることはありません。
上限があるということは、金と同じように、それそのものに価値が存在することになります。
法定通貨はその国の中央銀行が発行をしていますが、その上限に決まりはありません。
もし仮に中央銀行が大量に紙幣を発行した場合、インフレが発生し、お金の価値はどんどん下がってしまいます。
多くの仮想通貨は発行上限枚数が決まっているため、
インフレが発生しにくいと考えられており、一定の価値が担保されると言われています。
世界共通の通貨
仮想通貨は全世界共通の通貨です。
一般的にその国で発行される通貨を法定通貨と呼びますが、ほとんどの場合、その国でしか使うことができません。
他の国へ旅行に行く場合などには、その国で使える通貨に両替する必要があります。
また昨今キャッシュレス化が進んでおり、あらかじめ端末などにチャージをしておき、決済時に使用できる店舗も増えましたが、チャージするお金は自国の法定通貨でしかできないことがほとんどです。
仮想通貨は、どの国でも共通して使用できるため、わざわざ両替などをする必要もありません。
匿名性が高い
ビットコインによる取引では個人情報を送信する必要はなく、公開鍵と秘密鍵と言われるパスワードのようなもので取引が可能です。
その人が扱っているビットコインアドレスは公開されますが、複雑に暗号化されているため誰が扱っているか漏れ出す心配はありません。
インターネット上でクレジットカード決済すると、クレジットカード番号や有効期限などの個人情報を入力する必要があり、この情報が盗まれ、悪用されることがありますが、このようなリスクが非常に少ないと言われています。
送金の自由度が高い
株式やFXと比べ、仮想通貨は送金の自由度が非常に高いという特徴があります。
仮想通貨取引所や自身が保有するウォレット間を自由に送金することができ、かつ即座に安い手数料で行うことができます。
株式は他の証券会社に移管することはできますが、手間とコストがかなりかかります。
FXの場合は、ポジションを他のFX口座に移すことはできません。
仮想通貨のデメリット
ここからはデメリットを見ていきます。
インターネット環境がないと何もできない
インターネットが繋がる環境であれば世界中どこででも取引ができるのが特徴の仮想通貨ですが、
逆を言えばインターネットに繋がらなければ一切何もできないということになります。
ハッキングリスクがある
これまでもマウントゴックス事件やコインチェックのNEM流出事件など何度かハッキングにより多額の仮想通貨が盗難に遭っています。
仮想通貨はウォレットと呼ばれる仮想通貨の財布に保管をしておきますが、取引所などで扱っているウォレットは常にインターネットに繋がっている状態で保管されています。
そのため、インターネットを通じてハッキングが可能で、自身の資産を盗まれる可能性があります。
ウォレットの中には、インターネットから完全に切り離した状態で保管するものもあるため、これを利用すればハッキングされることはありません。
投資リスクが高い
メリットの一つにも挙げましたが、大きな儲けを得られる可能性があるということは、その逆に大きな損失を被る可能性もあるということになります。
2017年末頃、ビットコインは200万円を超える価格を記録しました。
ちょうどこの頃から億り人という言葉も誕生したように、仮想通貨投資で億を超える資産を築く人も増えたと言われています。
しかしこのわずか1か月後、コインチェックのNEM流出事件が発生し、金融庁の仮想通貨に関する規制などの影響もあり、仮想通貨の価格は暴落しました。
ビットコインは一時30万円程度まで暴落しました。
投資にリスクは付き物です。
仮想通貨は未だ発展する余地がありますが、今後の法整備など課題は山積みです。
今後の展開次第ではさらなる下落も考えられるため、
リスクを承知の上で、自己責任での投資が必要です。
税金が多くかかる
現在の税金制度に限っての話になりますが、仮想通貨で得た利益には多くの税金がかかります。
仮想通貨で得た利益は、雑所得という所得税に分類されています。
この雑所得の税率は、最大45%と定められています。
またこれに住民税が加わると、最大55%の税金がかかります。
分かりやすく言えば、仮想通貨で得た利益の半分以上が税金で持ってかれてしまうということです。
あくまでも確定された利益に対して税金が発生するため、含み益では税金はかかりません。
また年間20万円を超えなければ、税金がかかることはありません。
他にも節税対策はいくつかありますが、少し面倒な印象があります。
決済手段として使いにくい
現在の仮想通貨は投機対象になっていますが、本来は通貨として決済に使用されるものです。
しかし、現状では決済手段としては使いにくい印象を持ちます。
最も分かりやすいのがビットコインです。
ビットコインの決済スピードは約10分と言われています。
仮想通貨で決済する場合、複雑に暗号化された取引情報を解読し、ブロックチェーンと呼ばれる台帳に取引情報を書き込みます。
ビットコインの場合、このブロックチェーンに取引情報が書き込まれるまでに最速で10分かかるということになりますが、これでようやく決済が完了するということになります。
例えば、コンビニでビットコインを使用して決済したとき、決済が完了するまで10分間レジの前で待っていなければならないということになります。
想像すればわかると思いますが、相当長く感じると思います。
ビットコイン以外の仮想通貨で、数秒~数十秒で決済が完了するものも出てきましたが、仮想通貨全般に決済手段としては使いにくい印象があります。
利用できる場所が少ない
仮想通貨は全世界共通の通貨と紹介しましたが、その一方で仮想通貨を決済手段として利用できる店舗がまだまだ少ないのが現状です。
日本国内で見ても、大手家電量販店や一部のネットショップなどで利用することができますが、コンビニやスーパーなど日常的に利用する店舗ではいまだに使えません。
仮想通貨が抱えている今の問題点
スケーラビリティ問題
スケーラビリティ問題とは、処理スピードの低下やサーバーへアクセスが出来なくなる現象で、仮想通貨取引に支障が発生する問題のことです。
これは仮想通貨の仕組みに要因があります。
仮想通貨の取引情報は全てブロックチェーンに書き込まれていきますが、1つ1つの取引情報を書き込むためには複雑に暗号化された情報を解読しなければならず、ビットコインではその処理に10分の時間を要します。
一時的に取引量が増加すると、この処理が追いつかなくなり、サーバーそのものにアクセスできなくなることもあります。
犯罪に利用しやすい
仮想通貨の特徴として、ある程度匿名性が高いことが挙げられます。
銀行やATMでお金をやり取りする場合、本人確認を求められたり、最近ではICチップカードにより、誰が・誰に・いつ・どのような取引をしたかが全てデータで管理されています。
犯罪を起こしたとしても管理されたデータを見れば、お金の流れが一目瞭然です。
仮想通貨は、暗号化されていますが、誰が・誰に・いくら送金したかが分かるようになっています。
しかし中には匿名性が非常に高い通貨が存在し、全くわからない仕組みになっているものもあります。
これを利用し、マネーロンダリングなどの犯罪に利用される懸念があります。
実際に闇サイトで犯罪に利用されたこともあります。
記憶に新しいのが、コインチェックのNEM流出事件です。
ハッキングにより、500億円を超えるNEMが盗まれたにもかかわらず、犯人はいまだ特定されていないと言われています。
仮想通貨詐欺が横行している
ICOという言葉をご存知の方であれば、仮想通貨詐欺のこともご存知の方も多いと思います。
ICOとは、新規仮想通貨公開と呼ばれる資金調達法の一つです。
企業が新たな仮想通貨を発行し、その通貨に魅力を感じた出資者が出資します。
そして、その出資分の仮想通貨を企業が出資者に発行するというものです。
発行当初は、ほとんど価値のない通貨でも、ゆくゆくは価格が高騰し、大きな利益を得る可能性があるため、多くのICOが実現してきました。
しかし、このICOの仕組みを利用した詐欺が横行しています。
新しい仮想通貨を発行するもののその通貨には全く価値がなかったという詐欺や、そもそも仮想通貨そのものを発行しなかったりという詐欺など、様々な詐欺があるのです。
結局仮想通貨は将来的にどうなる?
インターネット上では、仮想通貨の今後について「上昇する・下降する」と両方の意見がありますが、個人的には2つのポイントがあると思います。
1つは、通貨としての実用性が高まることです。
現在の日本国内では、仮想通貨を暗号資産と呼ぶことが正式に決定され、通貨というより資産として扱われています。
投資対象商品ではなく通貨として利用されることになれば、流通量が格段に上がり、結果的に価格は上昇するでしょう。
そのためには、決済スピードを高め、利用店舗を増やす必要があります。
もう1つは、キャッシュレス化が浸透することです。
特に日本国内は現金主義国家で知られており、仮想通貨に対しての信頼度はかなり低いと言えます。
今後どれだけキャッシュレス化が進むかがカギになるでしょう。
仮想通貨の今後については、仮想通貨に関する制度や情報に耳を傾けていれば自ずと見えてくるはずです。